ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。プロデューサーをVICTORYのボーカリスト、 FERNANDO GARCIAが担当している事からも伺える様に、方向的には キャッチーなメロディの叙情的なヘヴィ・メタルで、楽曲自体は 中々秀逸だ。適度に憂いもあって、Hold On To Your Dreamsを 始め、ポップ・センス溢れるナンバーが並んでいるが、サックスを 正式メンバーに加えているのがユニークなところだ。まだ何とか 我慢出切るレベルだがプロダクションははっきり言って今一つだ。 それよりむしろ我慢出来ないのはPEACH STOCKLIのボーカルで、 はっきりと下手と言って良いだろう。折角楽曲が良くても、この ボーカルが全てぶち壊していると言って過言ではない。[80]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言える、 哀愁味を加えたキャッチーで叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルだ。前作と比べると、プロダクションが飛躍的に 良くなっており、アルバムの完成度も当然 スケール・アップしている。そのおかげで、弱点だった PEACH STOCKLIのボーカルは相変わらず上手いとは言い難いが、 聴き難いと言う程ではない。サックスはANDY WEBERから BORIS MATAKOVICに交代しているが、ポイント、ポイントで エモーショナルなプレイを聴かせてくれており、このバンドを 特徴付けている。[82]
アメリカのスケーターズ・ロック・バンドの1992年に リリースされたアルバム。方向的にはハード・コア、ファンク、 ヘヴィ・メタルのクロス・オーバーとも言うべき作品で、 彼等らしいクランチな内容と言って良いだろう。ただし、 これまでの作品と比べると、キーボードを導入したり、 Accept My Sacrificeの様なメランコリックなメロディを前面に 押し出している楽曲があったりと、かなり独自色を出した 作品となっている。幅の広さを感じる分、激烈さは減少した様に 感じられるが、決してコアな色合いは失われていない。[81]
アメリカのスケーターズ・ロック・バンドの1993年に リリースされたアルバム。通常のアルバムではなく、デビュー盤の SUICIDAL TENDENCIESを再レコーディングし、3曲加えた 構成になっている。ファンク色のある、スラッシィな ハード・コアとヘヴィ・メタルのクロス・オーバー的な作品で、 これは彼等の一貫した音楽スタイルで変わらない。前作では メランコリックさを打ち出したり、方向性の変化が伺えたが、 ここではもちろん初期のよりヘヴィで攻撃的な音楽性に 満ちている。新たに加えられた曲も2曲はJOIN THE AWAYの曲を 録音し直したもので、音楽的には一貫性が保たれている。[80]
アメリカのスケーターズ・ロック・バンドの1994年に リリースされた、オリジナルとしては2年振りの7thアルバム。 ファンク色のある、スラッシィなハード・コアとヘヴィ・メタルの クロス・オーバー的作品である事はデビュー以来変わりないが、 前作で見せたメランコリックな音楽的変化が今作でも 継承されている。音楽の幅がこれまで以上に広くなっており、特に 導入部であるInvocation等は、あまりの落差に驚かされる。前作は メランコリックな方向に傾き過ぎた印象を受けたが、今作はかなり バランス良くなっており、前作程偏った印象は受けない。[82]
アメリカのロック・バンドのアルバム。方向的には アメリカン・プログレッシヴ・ロックと言ったタイプの作品で、 昔のSTYXを思わせる様な懐かしい部分がある。如何にも1970年代 後半風という感じを漂わせたハード・ポップ的なメロディが続き、 今では流行らない様な楽曲ではあるが、懐かしさだけは 感じられる。録音自体もクリアさに欠け、古臭さを助長しているので 尚更そう言った印象が強くなる。甘く優しいメロディが延々と続くと 言った感じのアルバムなのだが、残念ながらこれと言った 面白味がなく、盛り上がりに欠けるのは如何ともし 難いところだ。[79]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 元BLACK SABBATH、BADLANDSのボーカリスト、RAY GILLANの 遺作となった作品で、8曲中4曲をRAYが歌っている。 全曲でないのはRAY GILLANが途中で亡くなった為か、それとも ゲスト参加だったためだろうか。残りは2曲はギタリストで実質の リーダーでもあるAL ROMANOとゲスト・ボーカリストのBUZZが 取っている。AL ROMANOがプロデュースから自費出版まで 行っている様だ。残りのメンバーはALICE IN CHAINSの MIKE STARR、BLACK SABBATHのBOBBY RONDINELLIが担当している 事を考えても、プロジェクトであった可能性が強い。どういう 人脈か判らないが、やはり不思議なのはJOHN McCOYとの関係で、 その関係から半分の楽曲が、実はBELLADONNAが作曲で絡んでいる。 そのせいかかなり初期ANTHRAXをパワー・メタルよりにした様な 楽曲もあるが、これがBELLADONNAより面白いと思えるのはやはり ボーカリストの力量の差なのだろう。[80]
ドイツのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 ハードでドラマティックなサウンドだが、時折見せる叙情的で 憂いを含んだメロディは中々美しい。残念ながらプロダクションは いまいちで、楽曲もう少し練って欲しいところだ。リフ等は結構 格好良いのだが、テクニカルな部分になると急に 面白味がなくなる。楽曲の展開は、起伏に富んでいて、中東風の メロディを差し挟んだりして、キーボードの味付けも具合が良い。 MICHAEL TANGERMANNのやや粘り気のあるボーカルも バンドにあっている。結構見るべき要素がそここことあるので、 プロデュースが良くなればかなり変わると思う。[83]
多分ドイツのヘヴィ・メタル・バンドで、1991年にりりーすされた アルバム。パワフルで扇情的なサウンドだが、これが思ったより なかなか良い。FRANK GRAFFSTEDTのボーカルはお世辞にも うまいという感じではないのだが、かなりパワフルで結構扇情感を 出すのに一役買っている。楽曲もGoing Astray等、 アップ・テンポ系の曲は勢いがあるだけにかなり 聴きごたえがある。楽曲も良くあっていて、所々光るところを 見せてくれる。プロダクションは今一つだし、どうしても B級臭さを感じぜずにはいられないが、思わぬ掘り出し物だ。[85]
アメリカのスケーターズ・ロック・バンドのベスト盤。方向的には いわゆるハード・コア・パンクと言うやつだが、バックはかなり スラッシュ・メタル的な作品となっている。MIKE MUIRの ボーカル・スタイルは楽曲によっては、明らかにラップ的で、 これこそがこのバンドのアイデンティティを確立していると言って 良いだろう。リフ主体の攻撃的なサウンドは確かに速くて スラッシィではあるが、それ程ヘヴィさを感じる訳ではないので、 ある程度ハード・コアを楽しめる人でないとそれ程面白いとは 思えないかも知れない。勢いと攻撃性は感じさせてくれるので、 のりは良く出ているが。[78]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの恐らく2ndアルバム。 方向的には軽快かつポップなサウンドで、結構のりの良く、優しい メロディが印象的な作品だ。コーラスも良い 味付けになっているし、整った楽曲にはいやらしさがなく、 すんなり聴ける。逆にこの灰汁のなさによって今一つ焦点が弱く 感じるところでもあるが、楽曲には適度にフックもある。名曲と 言える様な曲はないが、平均的に良く出来ていて安心して聴ける 作品だ。ややアップ・テンポ気味のヘヴィ・メタルと言うよりは ヘヴィなハード・ポップという感じといった方が良いだろう。[82]
詳細は良く判らないが、多分北欧のゴシック・メタル・バンドの アルバム。いわゆるニュー・ウェーブ系と呼ばれる系統のもので、 ダンサブルなシンセサイザーを中心としたバックに MATHIAS LODMALMのクリア・ボイスをのせている。この手としては 最もゴシック色が薄く、故に耽美な感じはほとんどしないので、 ゴシック・メタルと言えるかどうかもかなり微妙だ。一度録音した 数種類のパートを、ノイズを挟んで切り替えていくのはかなり うっとうしいので出来ればやめて欲しかった。出来自体は特別 素晴らしいというほどのものではないが、まぁ悪くない。[78]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1991年に リリースされた恐らくデビュー盤。2ndアルバムではギターが4人も 居たりしたが、この作品でクレジットされているのはPAULとMATTの LIFFENGREN兄弟だけで、恐らくPAUL LIFFENGRENの プロジェクト・バンドというのが実態ではないだろうか。楽曲は やはりAOR的な感じのするところはあるが、2ndよりも臭くて整った 感じはなく、むしろこの方が幅があって良いくらいだ。 Turn Around等は女性ボーカルを立てた臭い哀愁漂う曲だが、 味がある。特にPAUL LIFFENGRENのキーボードはなかなか 味があって、キーボードが前に出ている部分は結構面白い。[84]
ドイツのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。叙情的で メロディアスなハード・ロックが身上のバンドだったが、この バンドで、最も問題であったのは下手なボーカルだったのだが、 そのボーカリストが脱退して、新たにFRANCIS SOTOが 加入している。特別うまいと言う程のボーカルではないのだが、 ボーカルがましだとこれほど違うのかというほど、前任者が 下手だったので、十分納得出来てしまう。前作まではサックスを メンバーとして入れていたが、今作からはサックスを 入れておらず、ポップでキャッチーだった部分は減退し、内容も よりメロディアスでハードな作品に仕上がっている。哀愁を 湛えながらも勢いがあってのりが良く、前作とはやや趣が違うが この変化はむしろ良い結果を出している。[89]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1997年に リリースされた3rdアルバム。軽快で爽やかなハード・ポップと 言う感じだった前作から比べると、その方向性は随分と 変化しており、哀愁に満ちた叙情的なメロディのハード・ポップと 言う感じで、随分と良くなっている。新しく加入した KURT HEINZMANのボーカルは、女性的なキーの高いもので、独特の 味わいを付けている。愁いのあるメロディの楽曲は ドラマティックで全体的に良く出来ているし、演奏も意外と ハードで聴きごたえがあり、情感に訴えて来る素晴らしい アルバムに仕上がっている。[85]
イギリス、スウェーデンのミュージシャンによるプロジェクトの ミニ・アルバム。THE WiLDHEARTSのGINGER、BACKYARD BABIESの DRENGEN、THE HELLACOPTERSのNICK ROYALSとプロデューサーの TOMAS SKOGSBERGと言う編成だ。そのメンバー編成からも 期待される様に、方向的にはパンキッシュな バッド・ボーイズ・ロックンロールだ。ラフでワイルドな中にも、 彼等らしいキャッチーなメロディが織り込まれており、中々格好の 良いアルバムに仕上がっている。Dangermindのさび等 聴いていると、流石と思わずにはいられない。歪ませた サウンド・プロダクションもらしさが感じられて良い。[82]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンド、KING'S Xのボーカリスト、 DOUG PINNICKとイギリスのドゥーム・メタル・バンド、TROUBLEの 元ギタリスト、BRUCE FRANKLINを中心としたプロジェクトの アルバム。いかにもDOUG PINNICKらしいソウルフルなボーカルを 聴かせてくれているが、そのサウンドの根底にあるのはあくまで BRUCE FRANKLINが奏でるドゥーム色の濃いヘヴィ・ロックだ。 そう言う意味では、TROUBLEサウンドを蘇らせたと言っても 良いが、TROUBLE時代の様なダークさはあまりなく、どちらかと 言うと1970年代のヘヴィ・ロックと言う感じがする。それが DOUG PINNICKのボーカルと、絶妙のマッチングを見せており、中々 ユニークな作品に仕上がっている。[86]
日本のラウド・ロック・バンドの2ndアルバム。マジマの ボーカル・スタイルがPHILIP ANSERMOっぽい事も含めて、 PANTERAを思わせるモダン・ヘヴィネス的なエッセンスを 感じさせるが、パートによってはもっと速くて スラッシィなものとなっている。それにも増して、より パンキッシュな感じのする作品で、ハード・コア、 モダン・ヘヴィネス、スラッシュ・メタルのミクスチャー的な 作品と言って良いだろう。緊迫感があり、攻撃的で、強烈な アフレッションを感じさせるブルータリティ溢れるアルバムに 仕上がっている。[79]
カナダのスラッシュ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には JAMES HEADFIELDS風のボーカルで、METALLICA型の スラッシュ・メタルと言えるが、ややドゥーミィな色合いを 持っており、BLACK SABBATH辺りの影響も感じられる。 スラッシュ・メタル的なザクザクとしたリフに、ドゥーム・メタル 的なグルーヴ感が加わり、中々面白いアルバムに仕上がっている。 まだまだ荒削りとも思えるところがあるが、強烈な アグレッションとのりがぐいぐいと引きつけてくる辺りは評価 出来る。Phlegmatic Sunでのギター・ソロもエッヂが立っていて 面白いし、オリジナリティを感じさせてくれる。THE DOORSの カバー、Break On Throughはやや消化不足な感はいがめない。[79]
詳細は全く判らないが、ハンガリーのゴシック・メタル・バンドの アルバム。方向的には流麗なゴシック・メタルで、淡麗で シンプルなサウンドながら、意外とヘヴィなギター・メロディを 入れて来る。ただし、このヘヴィなギターの導入がやや不自然で、 流れの悪さを感じさせるのが残念だ。Lsd等ではミステリアスな 色合いも入れて来るが、流麗な感じが損なわれるので、こう言った 部分は好き嫌いが分かれるかも知れない。女性ボーカリスト、 KYRAHの線の細さを感じさせるボーカルは、こう言う雰囲気にまた 良くあっているし、コーラス等は特に素晴らしい。 Life After Lightでデス・ボイスを入れて来たりするが、 余計なので止めた方が良いだろう。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 デス・メタル・バンド、MORTUMのギタリスト、RILLI SVENSSONと CHRILLE ANDERSSONが中心となって結成されたバンドだが、 FALCONER以上にエクストリーム色のない正統派と言える ヘヴィ・メタルをやっている。ジャーマン・パワー・メタルの エッセンスを少し取り入れた、哀愁味のある叙情的なメロディの 北欧メタルと言う感じで、STRATOVARIUS等にも 通じるところがあるが、よりキャッチーなセンスが良く出ており、 決して2番煎じと言う風には感じられない。Keeper Of The Deadの さび等も印象的で、JOAKIM OLSSONのねっちっこく伸びる ハイ・トーンのボーカルも良い感じだ。[86]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。PANTERAの ボーカリスト、PHILIP ANSERMO、EYEHATEGODのギタリスト、 JIMMY BOWER、CROWBERのギタリスト、KEVIN BOND等による プロジェクト・バンドだ。PANTERAやこのバンド以外にも、DOWNや VIKING CROWN、NECROPHAGIA、BODY & BLOODと言った プロジェクトを抱えているだけにまたかと言う感じだが、 音楽的にはPHILIP ANSERMOらしい、モダン・ヘヴィネスと ハード・コア色を採りこんだ、エクストリームな作品に 仕上がっている。VIKING CROWNやNECROPHAGIA他の プロジェクトとの切り分けは今一つ明確ではないが、その強烈な エナジーは十分感じられる。[82]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。元 DIMMU BORGIRのドラマー、TJODALVを中心としたバンドだ。 ブラック・メタルとしては、ATHERAのボーカルは 歪ませたものではあるが割と聴きやすいもので、クリア・ボイスも 多用して来る。メロディック・デス・メタル的なメロディの取り 入れ方と、ブラスト・ビートも取り入れた禍禍しい破壊力のある サウンドは、まさにエクストリーム・ミュージックである事の 現れなのだが、そこにモダン・ヘヴィネス的なグルーヴ感を入れて 来り、ゴシック・メタル的なメロディを入れて来たりと、旧来の 音楽を取り合わせる試みが感じられる。[81]
ドイツのプログレッシヴ・メタル・バンドの4年振りの 3rdアルバム。元々DREAM THEATER等を下敷きにした、ヨーロッパ 的な叙情派のメロディを押し出したプログレッシヴ・メタルを 聴かせてくれていたが、今作ではよりモダンなヘヴィさを押し 出した作品となっている。その割には今一つ洗練されておらず、 プログレッシヴ・メタルとモダン・ヘヴィネスの融合と言う、 折角のアイデアもアイデア倒れの感がある。これでもデビュー 当初に比べると、かなり垢抜けた感はあるのだが、こう言った 方向性に進むのならば、もっと緻密な作品作りをする必要がある。 [82]