スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。CONCEPTION的な冷たさを感じさせる部分があるが、 もっとテンポの良さを前面に押し出した作品だ。フレーズは 印象的だし、のりの良さもあるし、オリジナリティも見える。 楽曲の出来も決して悪くないのだが、全体的にやや散漫で、自らの アイデアを活かし切れていない様に感じられるのが残念だ。 全体的にクールな雰囲気に満ちており、声質は好き嫌いが 判れるかも知れないが、KRISTIAN "KRILLE" ANDRE'Nのボーカルも そう言った雰囲気に良くマッチしている。持っている素材としては 良いものがあると思うだけに、アレンジ面等で工夫出来ればもっと 良くなると思うのだが。[80]
フランスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1975年に リリースされたデビュー盤。音楽的には憂いを帯びた叙情的な メロディを前面に押し出した、シンフォニックな プログレッシヴ・ロックで、美しいメロディを存分に 堪能させてくれるアルバムに仕上がっている。もちろん1970年代の 作品だけに、今聴くと古臭さは感じさせるのだが、 ポップ・センスもあってそれ程気にならないだろう。静寂感と 透明感溢れるメロディに、ドラマティックな楽曲は非常に 素晴らしく、まさしくフレンチ・ロックの名作と言える 作品だろう。[91]
フランスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1976年に リリースされた2ndアルバム。ベトナム系フランス人のKHANH MAI、 TAI SINH兄弟を中心としたバンドで、叙情的なメロディの美しい プログレッシヴ・ハード・ロックを聴かせてくれている。 方向的には前作の延長線上と言えるもので、静寂感を伴う叙情的な メロディを聴かせたかと思えば、扇情感のある激しさも 見せてくれる。心情的風景を見せる様な、憂いを帯びた美しい メロディは素晴らしく、シンフォニックでドラマティックな 作品に仕上がっている。前作に負けず劣らず、フレンチ・ロックの 代表作と言える名作と言えるだけの内容だ。[90]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。元YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEのベーシスト、 MARCEL JACOBを中心とするバンドで、同じく 元YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEのボーカリスト、 JEFF SCOTT SOTO、元YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCE、 SILVER MOUNTAINのキーボード、MATS OLAUSSON等が参加している。 キーボードを前面に押し出した、叙情的なヘヴィ・メタルで、 適度にキャッチーで憂いもあって、洗練された北欧メタルを 聴かせてくれている。楽曲の出来ものみならず、 JEFF SCOTT SOTOのソウルフルなボーカルが素晴らしい。[85]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りの2ndアルバム。元YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEの ベーシストのMARCEL JACOBとボーカリストのJEFF SCOTT SOTOを 中心とするバンドだ。MARCEL JACOBがドラマーも兼任しており、 この頃はプロジェクト的な色合いが濃かったと言って良いだろう。 前作では北欧らしい洗練された叙情的なヘヴィ・メタルを 聴かせてくれていたが、今作では憂いは押さえ気味になっており、 ややアメリカナイズされてきた様に感じられる。アレンジ面等は 格段の進歩を見せており、楽曲はより洗練され完成度を 増している。JEFF SCOTT SOTOのボーカルは、よりパワフルで、 全体的にグルーヴ感が押し出された作品に仕上がっている。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた ライヴ盤。1993年に行われた日本での公演の模様を収めたものだ。 同年にリリースされたGENESISのレコーディング時はまだ ドラマーがおらず、バンドとしての形態を保てていない プロジェクト的なものであったが、元TREATのJAMIE BORGERを 加え、ようやくバンドとしての形態になっている。前作でも MARCEL JACOBのベースが前面に出た音作りがなされていたが、この ライヴでもそう言った部分は変わらない。残念ながら プロダクションはお世辞にも良いとは言えないのだが、 JEFF SCOTT SOTOのボーカルはライヴでも相変わらず素晴らしい。 [80]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 3rdアルバム。これまでバンドの態をなしておらず、ベーシストの MARCEL JACOBとボーカリストのJEFF SCOTT SOTOによる プロジェクトと言った色合いが強かったが、元TREATのドラマー、 JAMIE BORGERを加え、ようやくパーマネントなバンドとなったと 言って良いだろう。前作から顕著になりだしたグルーヴ感を押し 出したサウンドは、今作ではより顕著になっている。その分、 北欧メタル的な色合いはますます薄くなり、よりモダンで エネルギッシュな作品に仕上がっている。もちろん彼等らしい 叙情性もある訳だが、この変化はやや好き嫌いが判れるかも 知れない。[82]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 3rdアルバム。タイトル的にはそのPART 2となっているが、実際は HUMANIMALの日本盤とは内容違いでリリースされたヨーロッパ盤と 同じもので、日本盤からは6曲削除されており、5曲 追加されている。日本盤に収められなかった楽曲を聴くと、その 方向性の違いが良く出ていて面白い。日本盤はよりグルーヴ感を 押し出した、のり中心の楽曲で統一されているのに対して、 こちらにのみ収められている楽曲はどちらかと言うと スロー・テンポからミドル・テンポの楽曲で、アルバムとしての バランスやバラエティの豊かさに気を配った内容だと 言えるだろう。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。元JOSHUA、SHOUTのボーカリスト、KEN TAMPLINを 中心としたバンドだ。方向的にはアメリカらしい洗練された 適度にキャッチーさを持ったヘヴィ・メタルだ。KEN TAMPLINの パワフルなボーカルを活かした、ソウルフルな作品で、 アップ・テンポののりの良い楽曲が中心となっている。飛び抜けた 楽曲はないものの、アメリカ的な明るい楽曲が並んでおり、この テンポの良さが良く出ていると言って良いだろう。分厚い コーラス・ハーモニーも効果的で、意外にハードな作品に 仕上がっているのも好感が持てる。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。音楽的には前作の延長線上とも言える、 ブルーズ・ロック的なエッセンスを持ち込んだ勢いの良い ヘヴィ・メタルだが、よりヘヴィな音作りがなされており、 楽曲的な幅も広がって来た様に感じられる。ややキャッチーな 色合いも増しており、如何にもアメリカのバンドらしい作品だ。 ボーカリストが交代し、ギタリストはDOUG GORDON 一人となっているが、ややハスキーでソウルフルな MIKE LeCOMPTEの声質はバンドに良く合っていると言って 良いだろう。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 4年振りの5thアルバム。THE DAMNEDのベーシスト、ALGY WARDを 中心とした、元々MOTORHEADのスタイルを継承したバンドとして N.W.O.B.H.M.期に登場して来たが、ここではそれから方向 転換した、爆走型のロックンロールを基本としながらも、叙情的な メロディを持ち込んだ音楽性を打ち出した、THIS MEANS WAR以降の サウンドの延長線上と言えるものだ。残念ながらN.W.O.B.H.M.の バンドらしく、プロダクションはお世辞にも良いとは言えないし、 楽曲的にも彼等の全盛期と言えるTHIS MEANS WARや HONOUR & BLOODには劣ると言わざるを得ない。何より、長い沈黙の 間にN.W.O.B.H.M.自体が終焉を迎えてしまい、今更彼等の音楽が 受け入れられる受け皿が市場に残ってはいなかったのだが。[80]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた ライヴ盤。1990年に行われた、ドイツでの公演の模様を 収めたものだ。演奏の安定感もあるし、スタジオ盤と比べても それ程遜色なく、意外とライヴ・バンドとしてのレベルの高さを 感じさせるが、逆にライヴ感と言うのが希薄に感じられるかも 知れない。ライヴとしては観客の反応もそれなりに出ているし、 悪くないライヴ作品と言って良いだろう。録音状況も まずまず良くて、バックとボーカルの乖離具合が少し気になる 位だ。割とワン・パターンで決めになる曲がないので、平坦な 感じを受けるが、彼等のファンであれば聴いて損はないだろう。 [80]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた デビュー盤。方向的にはBLACK SABBATH的なエッセンスの 感じられるサウンドだが、そこに北欧メタル的な憂いと叙情性を 感じさせるメロディを融合させているのがユニークで、彼等の オリジナリティと言った部分が良く出ている。非常に扇情感を 感じさせる楽曲で、グルーヴ感もあって聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。楽曲の出来も悪くないし、MARCO HIETALAの パワフルなボーカルも彼等のサウンドをより特徴付けている。 ただ、惜しむらくはプロダクションが非常にチープな事で、折角 素材が良くてもそれを活かしきれていない状況だったのが残念だ。 [80]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。方向的には前作の延長扇情とも言うべき 作品で、北欧メタルらしい叙情的な部分も当然あるのだが、むしろ BLACK SABBATH的な影響も感じられる作品となっている。 アップ・テンポの扇情的な楽曲のヘヴィ・メタルで、全体的に ミステリアスな雰囲気に満ちている。好き嫌いは分かれるかも 知れないが、MARCO HIETALAの独特の声質のボーカルが、そう 言った色合いを助長している。プロダクションは前作よりは 良くなったが、お世辞にも良いとは言えず、ギターの音が生々し 過ぎて少し気になる。[82]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 5年振りの3rdアルバム。ツイン・ギターがZACHARY HIETALA 一人だけになり、代わりにキーボードのJONNE TOLSAが 加わっている辺りにサウンドの変化が少し感じられるが、 基本的には前作の延長線上とも言える作品だ。元々 BLACK SABBATHの影響の感じられるバンドだったが、この作品では それがより顕著になっており、完成度においても追いついて来たと 言う感じだ。Children Of The Graveをカバーしている辺りにも そう言う嗜好が良く出ているし、TYR辺りのBLACK SABBATHが 好きならば気に入るだろう。これまで最も弱点と 言える部分だったプロダクションが大きく改善され、完成度が 非常に高くなっている。[84]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた ライヴ盤。1994年にフィンランドで行われた公演の模様を 収めたものだ。BLACK SABBATHの影響を受けた北欧メタルらしく、 いきなりカバーのChildren Of The Graveで幕を開ける辺りに そのまま表している。ZACHARY HIETALAの生々しい ギター・サウンドはライヴでもそのままで、非常に エモーショナルな感じが出ている。ただし、プロダクション的には やや離れたところから録音された様な、距離感を 感じてしまうところがあるのが残念だ。とは言え、彼等らしい ソウルフルでエナジーの感じられるサウンドは十分伝わって 来るし、決して悪いライヴではない。[80]
L.A.メタルのバンド、WHITE SISTERの元メンバー等によって 結成されたハード・ロック・バンドの2ndアルバム。方向的には プログレッシヴ・ロック的な感覚を持っていたWHITE SISTERとは 全く違う作品で、南部的な埃っぽさを感じさせるブルージィな ロックンロールをやっている。スローなナンバー辺りは THE BLACK CROWES辺りを思わせる部分もあるし、逆に アップ・テンポの曲はBAD LANDSに相通ずるところがある。楽曲の 出来も悪くないし、ハモンド・オルガンやハーモニカも良い 味付けになっていて面白い作品ではある。[82]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。北欧の メロディ・センスも持ち合わせているが、むしろ正当派という 感じのサウンドだ。ボーカルのMARCO HIETALAはRONNIE JAMES DIO タイプで、情感たっぷりの歌声は独特で中々良い。楽曲は ミドル・テンポ中心で非常にヘヴィに押し進めるパターンは 相変わらずで、バンドとしてもう既にワン・パターンで変化が 少ないため飽きがくる。しかし、北欧メタルとしてはやや特異とも 言える、ダークな独特の世界を築いていて、出来自体決して 悪くない。むしろ初期RAINBOWやRONNIE JAMES DIO後の BLACK SABBATHに相通ずる部分がある。[81]
北欧パワー・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では押しの 部分だけが表に出ていてその他の部分は散漫な印象しか 受けなかった。今作ではギター・メロディーを前面に押しだし、 それにキーボードが絶妙に絡む展開で曲の美しさが良く 感じられる。プログレッシヴ的な展開をたまにみせるのは余計に 思えるが、前作よりは全然美しい。ボーカルは扇情的だがさほど パワーがなく、それを十分承知してか良くも悪くもあまり前面に 出てこない。楽曲の流麗さもあいまって、全体的にこれと言った フックが感じられないのが難点だ。カバーの Gates Of Babylonをやるにはボーカリストは力量不足と言って 良いだろう。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。最近では TAKARAでサウンドにマッチした、非常に素晴らしいボーカルを 聴かせてくれていたJEFF SCOTT SOTOだが、本職のバンドでも それに劣らない素晴らしいボーカルを聴かせてくれている。楽曲は メロディアスで良く出来ているし、TAKARAと比べてよりアメリカ 的だが、出来自体はそれほど遜色ない。ただ、このバンドの弦楽器 系はややうるさかったり、あざとかったりで、少し聴きがたく 感じるときもある。例えこじんまりしててもTAKARAの方が バランスが良くて聴き易い様に思える。ギターに関しては ソロ以外の部分では中々良かったが。[90]
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。ボーカルが 決まらないため、前作に続きプロデュースのJEFF SCOTT SOTOが ボーカルを務めている。いわゆる正統派のメロディアスな ハード・ロックなのだが、楽曲の完成度は思いのほか高く、非常に 素晴らしい作品に仕上がっている。今のTALISMANならばこちらの 方がクオリティは高いし、JEFF SCOTT SOTO向きだとも 思えるので、彼がパーマネントなボーカルでないのは非常に 惜しい。正式なボーカルが誰になるのかは判らないが、他の部分も 文句ないだけに、人選だけはきっちりやって欲しい。とにかく 美しくてかっこ良い作品で、傑作と呼べるだけのアルバムだ。[94]
女性ボーカルをフューチャーしたドイツの プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 どちらかと言うとギター・ラインを除けば、 プログレッシヴ・ロック的傾向が強く、RUDIGER BLANKの キーボードがかなり前面に押し出されている。 JENNIFER HOLZSCHNEIDERの声は平坦で、とても上手いと言える 代物ではないが、クリアで哀愁感を醸し出しており、雰囲気的には 悪くはない。叙情的な部分を出すときの、メロディの深みは 素晴らしいものがあるが、楽曲を通して全体的に続かないのは 残念だ。[80]
スウェーデンのパワー・メタル・バンドで2ndアルバムに続く、 ミニ・アルバム。前作でやや方向的に変化がみられたが、 MEMENTO MORIのMIKE WEADがプロデュースした成果か、1stで見せた ヘヴィなサウンドに戻っており、さらにドゥーミィな重々しさを 加え重厚なサウンドを作り出す事に成功している。故に 2ndからすると随分シンプルな構成になっているが、 このバンドにはむしろそういう方向があっている。2ndでは線の 細さが気になったKRISTIAN ANDRENのボーカルもこういった 方向には合うのか、さほど気にはならない。楽曲の出来も 今までより良くなっているので、この作品は彼等の作品としては 最高と表して良いだろう。KRISTIANはこれが縁でか、 MEMENTO MORIに移籍してしまったので今後が心配される。[86]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 2ndアルバム、CHEMICAL INVASIONと1989年にリリースされた 3rdアルバム、THE MORNING AFTERをカップリングして CD化したもの。楽曲は非常に荒々しく、良い出来だとは言い 難いが、ハード・コア風なスピーディなリフが妙に迫力を醸し 出しており、パワーと勢いは十分に感じられる。とにかく速い とにかくスラッシュ・メタルが好きだと言う分には 悪くないだろう。3rdアルバムでは幾分プロダクションが 良くなっているが、基本的には2ndアルバムと大きな変化はない。 [76]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 7thアルバム。方向的にはそれまでとなんら変わりなく、 パンキッシュで単調なサウンドは、ほとんどワン・パターンと 言ってしまって良い位だ。コアで攻撃的な方向性は、狙いとして 悪くないと思うのだが、もう少し工夫が欲しいところだ。Mindwild 等を一部を除けば楽曲は変化が乏しいので、どうやっても飽きは 来るが、楽曲は扇情的で、そのパワーはストレートに伝わって 来るのはまだ評価できる。J.GAILS BANDのカバーCenterfoldは流れ 的に少し違和感を感じるが、個性的にはそれほど悪くない選曲だ。 [75]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 4thアルバム、THE MEANING OF LIFEと1989年にリリースされた ミニ・アルバム、ALIENをカップリングしたもの。そのリフは 攻撃的だが単調さは相変わらずで禁じ得ないが、多少メロディに バラエティさが出てきているので我慢出来る範囲だ。良くも悪くも GERREの平坦なボーカルの個性による影響は大きい。それ以前の 作品よりは出来的には良く出来ているので、こういうコアな スラッシュ・メタルが好きなら悪くないだろう。ミニ・アルバムの 方は若干プロダクションが悪い出来だ。[77]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 4thアルバム。N.W.O.B.H.M.期に登場した当時は、MOTORHEADの 弟分という扱いを受けていたが、そのサウンドも徐々に変化を 見せ、このアルバムではMOTORHEAD的なスピードとその疾走感は 残っているものの、より叙情的なメロディを押し出した 形になっている。ドライヴ感よりも、メロディ中心に 向かっており、そのバランスは大きくメロディよりに傾いていると 言って良いだろう。録音状態はやや悪い程度で、この辺りの バンドとしてはむしろ良い位だ。楽曲の出来は素晴らしく彼等の 代表作といえる作品に仕上がっている。[84]
N.W.O.B.H.M.バンドの1983年にリリースされた3rdアルバムを リマスターしたもの。リマスターしていると言っても、まだまだ 音質には難ありなのだが、それでもだいぶクリアになっている。 メンバーが3人構成から、4人組みになって、音にだいぶ厚みが 出てきており、疾走感を保ちながら、それまでよりは よりメロディを押し出した作品になっている。This Means War等は 次作に通ずるメロディアスな名曲だが、全体的に見るとまだまだ 徹底されておらず、過渡期的な印象はぬぐえない。それでも、 つぼにはまったときののりはずば抜けていて、非常に格好良い 作品だ。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 4thアルバムをリマスターしたイギリス盤。オリジナルの方は N.W.O.B.H.M.のバンドらしく、御多分に漏れずやや録音状態も 悪かったのだが、リマスターされることにより音はクリアになり、 それほどこもった感じはしなくなり、随分と良くなっている。 日本盤の再発盤は随分と入力レベルが低かったが、こちらはそれも 改善されている。どちらか一方というならば、このリマスター盤を 買う方が良いだろう。メロディアスでのりの良い楽曲も 素晴らしいし、まさに彼等の代表作と言うに相応しい作品だ。[88]
ハンガリー人ギタリストTAMAS SZEKERES率いる ハード・ロック・バンドの4thアルバム。TAMAS SZEKERESの ギターはネオ・クラシカルな叙情的なメロディを奏でるが、 決してギター・アルバム的な色彩は強くない。キーボードも かなり前面に押し出されており、どちらかといえば、非常に ポップ的な色合いの濃いアメリカン・ハード・ロック風という 感じだ。半分はインストルゥーメンタルなのだが、それで大きく 印象を変えるほど方向性に差異はない。力強いEDWIN BALOGHの ボーカルも悪くないし、割と安心して聴ける作品だ。[81]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた アルバム。方向的には、ハード・コア的な香りが漂う、如何にも 彼等らしいB級スラッシュ・メタルで、彼等らしい ワン・パターンさを感じさせる作品だ。Days Of The Gunの様な スロー・テンポのメロディアスなナンバーを挟んで変化を 入れると言った工夫がなされている点は評価できるが、 それにしてもメインの楽曲が単調で聞き飽きてしまうのは 如何ともし難いところがある。それ程酷い作品でもないし、 相変わらず勢いだけは感じるさせてはくれるのだが。[70]
ドイツのテクニカル・スラッシュ・メタル・バンドの1995年に リリースされたデビュー盤。確かに変拍子やら転調やらで テクニカルといわれればテクニカルなのでが、捻りがないというか 単に変拍子をやっているだけというか、楽曲を通しての 流れというものが全く無視されているし、面白味もない。特に ボーカルのTHOMAS LAASCHのハイ・トーンは、確かに 良く通っているのだが、一本調子で無機質な事この上ない。 Terrorizedの出だしのように、ミドル・テンポで変に何か やろうとしていないメロディ中心の部分の方がかえって面白いので、 変にテクニカルに走らない方が良いのではないだろうか。[62]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。前作では プログレッシヴ・メタル的な方向を模索しながらも、その 中途半端さが災いして盛り上がりを欠いた様な印象を受けたが、 ミニ・アルバム辺りから、自己の方向づけがある程度 固まってきており、今作で結実した感じだ。特にボーカルが URBAN BREEDに交代しており、あまりうまいという 感じではないが、これがエネルギッシュで扇情的で、アルバムには 良い味付けになっている。それほどプログレッシヴ的な要素が 強いという程でもなく、大仰なヘヴィ・メタルで、ダークで ドラマティックで扇情的な作品作りはなかなか評価できる。 重々しく冷たい雰囲気を放ち、結構良い作品に仕上がっている。 [86]
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ・アルバム。MR.BIGの ベーシストBILLY SHEEHANがオリジナル・メンバーでバンドを 復活させて行った、昨年のアメリカでのライヴの模様を 収めたものだ。14年ぶりとは思えない息の合った所を 聴かせてくれるライヴだ。今のBILLY SHEEHANのプレイやShy Boyを やっている事もあって幾分MR.BIGっぽさを感じるアルバムで、今の MR.BIGのファンでも取っ付き易い作品だろう。KING CRIMSONの カバー21th Century Schizoid Man等はやや意表を突かれる 選曲で、異質に感じるかもしれない。全体的にMR.BIGっぽさを 感じさせながらもより1980年代のアメリカ的なテイストをがある。 [84]
アメリカのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。今回も パーマネントなボーカリストは見つからなかったのか、 JEFF SCOTT SOTOがボーカルをまたしてもボーカルを 担当している。前作では非常に素晴らしい、叙情的な正統派 ハード・ロックを聴かせてくれていたが、今作でもそれは 変っていない。楽曲の出来は前作にやや譲るが、それは前作の 出来が名盤と言える様な飛び抜けたものであったからで、今作も 十分素晴らしい作品に仕上がっている。やや明るめの朗らかな 楽曲が増えたような気もするが、NEAL M.GRUSKYの叙情的な メロディ・センスは超逸品である。JEFF SCOTT SOTOの素晴らしい ボーカルもあいまって、楽曲、演奏、プロダクションと三拍子 揃っている。後は、良いパーマネントのボーカリストを見つけて ライヴ活動が出切るかだろう。[88]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。 ごり押しとも言える様なパワフルな少し前のBLACK SABBATH的な サウンドと、様式美的なメロディはこれまでと変わりないが、初期 RAINBOW的な色合いはかなり薄れたと言って良いだろう。楽曲の 出来も決して悪いと言う訳ではないのだが、このバンドに 問題があるとすればどの曲も月並みで、これと言った 曲がないことだろう。北欧の正統派バンドとしては最もダークで ヘヴィなサウンドだが、それ以上の物がないと何度も聴こうと言う 気にならない。STRATOVARIUSのTIMO KOTIPELTOがゲスト 参加しているが、あまり存在感はない。[78]
ハンガリー人ギタリスト、TAMAS SZEKERESのライヴ・アルバム。 1997年に行われた地元ブタペストでのライヴの模様を 収めたものだ。ネオ・クラシカル系と言われるが、情感豊かな ギターの音色は暖かみがあり、そう言ったギタリストとはまた 違った魅力も感じられる。どういう経緯かは判らないが、 ボーカルにはELEGYのIAN PARRYが参加していて素晴らしい声を 聴かせてくれている。楽曲は、STEVE LUKATHERの Hero With 1000 EyeysやTONY MacALPINEのIce Princess等を カバーしている他にも、ボーナス・トラックにはRAINBOWの Can't Let You Goまでがカバーされていて中々興味深い。[83]
中国のプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1995年に リリースされたデビュー盤。全体的に軽めで爽やかなサウンドで、 特に難解な事をやっている訳ではないが、それなりに展開と 言うものがあって、場合によってはかなりシアトリカルだ。全曲 中国語で、丁武のボーカルはお世辞にもうまいとは言い難いが、 バンドの方向性には合っているので、まだ聴ける方だ。特に太陽 辺りの曲はボーカルも割と安定しているし、透った声が雰囲気を 良く出している。出来的には可もなく不可もなく程度だし、 中国語の歌詞がネックになっているが、印象的な メロディもあるし、プロダクションも思ったよりは良い出来だと 思う。[71]
アメリカのハード・ロック・バンドのベスト・アルバム。 ボーカリストの脱退に伴い、プロデューサーのJEFF SCOTT SOTOが 代わりにボーカルを入れたはずだったのだが、オリジナルの ボーカルは入る様子もなく、その後もJEFF SCOTT SOTOが アルバムでは歌い続けると言う奇妙な状態がずっと続いている。 しかし、それによってクオリティの高さを保てているのが、この バンドの妙だろう。新録音としてRestless HeartとYour Loveの アコースティック・バージョンが収録されていて、これの出来 自体は決して悪くないのだが、あくまでも付録的な 感じしかない。これまでの作品を持っているファンがわざわざ 手にするかは疑問だが、初心者入門用にはちょうど良い 作品だろう。[87]
MOTORHEADの弟バンド的な位置づけをされて来た、N.W.O.B.H.M. バンドのライヴ盤。1997年に突如復活したときのライヴの模様を 収めたものだ。いきなり名曲、This Means Warで始まるが、あの 破壊力のあるボーカルはここにはなく、何だか普通の 声になってしまった様な印象を受ける。バックに関しては、あの 当時の熱さを感じさせる様な、のりとパワーが 感じられるものだけに何とも残念だ。とは言え、ALGY WARDが中心 人物なだけに、彼の調子が良くなければいかんともし難いのだが。 今後を占うとでも言うべき、新曲が2曲収められているが、 In The Last Hours Before Dawnはミドル・テンポで、本来の 彼等が持っている破天荒さが全く感じられない。 And Then We Head The Thunderはむしろ荒々しいのりで、 如何にも彼等らしい楽曲でが、ここでもALGY WARDのボーカルは らしさが感じられない。[76]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。JONAS LINDBLADの咆哮は凄まじく、 デス・ボイスとしては最も破壊力のあるものの一つだろう。 方向的にはメロディを取り込みながらも、アグレッシヴで ブルータルなサウンドを体現しており、AT THE GATES等に近い。 全体的に叙情的なメロディをまといながらも、破壊力を持って押し 進んでおり、パワー・メタル型のメロディック・デス・メタルが 主流となった現在、むしろ新鮮さを感じる位だ。楽曲の出来も それ相応のレベルには達しているし、演奏的にも問題はない。[81]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りとなる復活 5thアルバム。元々JEFF SCOTT SOTOとMARCEL JACOBの2人を 中心としたバンドだが、休止中の間も2人はHUMAN CLAYと言う プロジェクトをやっていた訳で、実際には復活と言うより 都合により名前を変えていただけと言う感の方が強いが。 彼等らしいオーソドックスなハード・ロックの Let Me Entertain Youから、JEFF SCOTT SOTOが切々と歌う バラードのHeaven's Got Another Heroまで、非常にバラエティに 富んだ作品だ。今一つ散漫に感じる部分もなくはないが、より 歌ものとしての色合いが強く出ており、JEFF SCOTTのボーカルの 素晴らしさが実感できる。[81]
ALIENのSTRAFFAN LINDE等が在籍していて、1988年にアルバムを1枚 リリースして解散したスウェーデンのハード・ロック・バンドで、 ギタリストのANTONIO SALUENAによるプロジェクト・バンドとして 復活しての1998年にリリースされた自費出版アルバムだろう。この バンドのオリジナル・ボーカリストであった元CANDLEMASSの THOMAS VIKSTROMが、半分以上ボーカルを取っており、歌詞も 書いている。方向的にはポップで叙情的なAOR作品で、部分的には アダルトな雰囲気も感じられる部分がある。特に Top Of The Mountainは名曲と呼べるだけの佳曲で、 THOMAS VIKSTROMのボーカルもあいまって、扇情的で フックのある、憂いを含んだキャッチーなナンバーに 仕上がっている。楽曲の出来にはやや波があるようにも 感じられるが、悪くない作品だ。[82]
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1998年にリリースされた アルバム。そのバンド名が示すとおり、IRON MAIDENの フォローワーなのだが、楽曲が全てオリジナルとは信じられない程 徹底している。特にAbolition Of Slaves等はどこから聴いても IRON MAIDENそのもので、ここまで来ると苦笑ものだ。 MARIO PASTOREのボーカルも明らかにBRUCE DICKINSONを 意識しているが、やや苦しそうな感じがする。それにしても、 スタジオ・アルバムでハウリングが入っていると言うのは始めて 聴いた。予算的に録り直せなかったのかも知れないが、少し 恥ずかしい。出来自体は悪くないが、これだけ オリジナリティがないと、一般のリスナーならばIRON MAIDEN 本体で十分な訳で、将来の展開は感じられない。[78]
スウェーデンのハード・ポップ・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。ボーナス・トラックとして、未発表曲2曲は兎も 角として、何故か1998年にリリースされた2ndアルバムから4曲、 THOMAS VIKSTROMのソロ・アルバムから2曲収められている。 後にCANDLEMASSやBRAZEN ABBOTで活躍する、THOMAS VIKSTROMが 正式なメンバーとして在籍している頃の作品で、当然彼が全曲 歌っている。彼のボーカルが素晴らしいのは当然として、楽曲が 非常に素晴らしい。哀愁に満ちた叙情的なメロディの洗練された ハード・ポップを聴かせてくれているが、これが実に良い出来だ。 タイプ的には特にSHY辺りに近く、SHYが好きならば外す事はないと 言って良い程だ。[91]
元SOTRMWIRCHのギタリスト、HAROLD SPENCERによるドイツの ヘヴィ・メタル・プロジェクトのアルバム。プロデュースや コンポーザーとしては大いに力を発揮したが、実際に彼は プレイはしておらず、元CHROMING ROSEのギタリスト、 UWE HORMANN、元ZARのボーカリスト、THOMMY BLOCH、BRAINSTORMの ドラマー、DIETER BERNERTによって演奏されている。方向的には 彼らしいSTORMWITCHの流れを汲むもので、如何にもヨーロッパの バンド的なメロディアス・ヘヴィ・メタルだ。楽曲の出来自体は STORMWITCHよりも評価出来る位なのだが、プロデューサーを 本業にしている彼がプロデュースしたとは、とても思えないほど チープな音は遺憾ともし難い。THOMMY BLOCHのボーカル等は 意外とはまっているだけに何とも残念だ。[80]
スウェーデンのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。今では、 その実態はギタリストのANTONIO SALUENAのプロジェクトと言って 良いが、かつてはALIENのSTRAFFAN LINDEや元CANDLEMASSの THOMAS VIKSTROMが在籍していた事で知る人も多いだろう。 方向的にはポップで叙情的なAOR作品で、部分的にはアダルトな 雰囲気もありと、前作の延長線上とも言える作品であるのだが、 今作ではポップさやAOR的な部分がより増して、ハードさはかなり 落ちてしまっている。それ故落ち着き過ぎと言った感じが強く、 デビュー盤であったハード・ポップ的な感じがほとんどしないのが 残念だ。THOMAS VIKSTROMは多くの曲にコーラスとして 参加しているが、リード・ボーカルはANTONIO SALUENA自身と TOMMY DENANDERと言うボーカリストが取っており、 THOMAS VIKSTROMはメインでは歌っていない。[80]
フランスのシンフォニック・ロック・バンドの再結成第1弾となる 21年振りとなる4thアルバム。正に彼等ならではリリカルで 叙情的な美しい楽曲が並んでおり、切なく美しい静寂感のある メロディは絶品で、透明感溢れる空間が広がっている。昔と 比べると楽曲的にはやや小粒でドラマティックさが少し 欠けるだけに地味な様な気もするが、KHANH MAIらしい心洗われる 様なメロディだ。昔のファンからしても、大きくイメージを 逸脱する事無く、そのまま時が過ぎて現代に引き継がれた様な 作品で、十分納得の行く出来と言って良いだろう。[86]
日本のヘヴィ・メタル・バンド、SABER TIGERの ボーカリストによる初のソロ・アルバム。音楽的には、いわゆる アコースティック・アルバムと言うやつだが、良くある アコースティックによるリメイクと言った様な作品ではない。 Inner VoiceとToo Young And VaneのDOUBLE DEALERでの楽曲による セルフ・カバーも収録されているが、ほとんどがこの アルバムのための新曲だ。ほのぼのとしたものが多くなりがちな この手の作品だが、Dance And Danceの様な哀愁味たっぷりの 楽曲もあり、それを切々と歌う彼の情感のこもった歌声は 感動的だ。ボーナスCDにはSABER TIGERの新曲が収録されていて、 アコースティックから一転したヘヴィなナンバーが格好良い。[87]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りとなる 4thアルバム。これまでのプログレッシヴ・メタル的な色合いは 薄くなっており、より様式美系のパワー・メタル的な作品に 仕上がっている。叙情的で憂いのこもった扇情的なナンバーは、 非常にドラマティックさを醸し出している。そう言う意味では 3rdアルバムを転換点として、その方向性の変化をより推し進めた アルバムと言って良いだろう。URBAN BREEDの決して上手いとは 言い難いボーカルは、初期に比べてもB級臭さを感じさせるが、 エネルギッシュでより扇情感を出しており、グルーヴ感を 感じさせてくれる。[80]
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドのデビュー盤。 元DAYS OF THE NEWのボーカリストを除くメンバーによる新しい バンドだ。アコースティック・ギターを前面に押し出したR.E.M.や ALICE IN CHAINS的なエッセンスの感じられる作品だ。 アコースティックを主流にする事で、オルタナティヴ・ロックの 素朴で、ダークな湿り気の感じられるメロディが際立っている。 ややだみ声のかかったHUGO FERREIRAのボーカルも、彼の熱唱も 相俟って中々味わいが感じられる。ハードな部分もあるが、 全体的にシンプルにする事によって、楽曲の良さが非常に良く 出ている。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。1981年に行われた ドイツでの公演の模様を収めたものだ。後に4人編成となり、より 叙情的なメロディを持ち込んだ方向性へと向っていくが、ここでは まだ初期のMOTORHEAD直系と言える、爆走型の ハード・ロックンロールを聴かせてくれている。彼等の初期の 代表曲とも言えるShellshockで幕を開け、一気に ヒート・アップさせていくエナジーは凄まじい。N.W.O.B.H.M.と 言うと録音状況の悪さが気になるが、ここでは非常にクリアな サウンドを聴かせてくれており、これだけ状態の良いテープが 残っているのは奇跡的と言って良いだろう。[86]
ポルトガルのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。方向的には 叙情的なメロディを押し出した、キャッチーなヘヴィ・メタルを 聴かせてくれており、ヨーロッパのメロディアス・ハード系の バンドと言える作品だ。ポルトガルやスペインのヒスパニック系の ヘヴィ・メタル・バンドと言うと、どことなく垢抜けない、 らしさの感じられるバンドが多く見受けられるが、彼等にはそう 言う部分は一切感じられない。この手のメロディアス・ハードと 言うと、キャッチーな方向に走り過ぎて、軽い サウンドになってしまう場合も多いが、彼等の場合はかなり ヘヴィな音作りがなされており、好感が持てる。アレンジ力や プロダクションがもう少し良くなれば、かなり期待出来る内容だ。 [81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの15年振りの6thアルバム。 そのタイトルとジャケットが示す通り、彼等の最高傑作、 THIS MEANS WARの延長線上にある、まさしく彼等らしい作品と 言って良いだろう。再結成第1弾となるアルバムだが、当時と 変わりない姿を見せてくれている。ハード・ロックンロールを 基調としたヘヴィ・メタルで、MOTORHEADの流れを汲むが、どこか 彼等独特の憂いを感じさせるところがある作品だ。当時と比べて 音が良くなった所為か、どこかワイルドなラフさが減退した様に 感じられるのと、楽曲の出来にむらがあるのが少し残念だ。[86]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの5thアルバム。 北欧メタルらしい叙情的なメロディを湛えながらも、芋臭さも 感じさせる様な暑苦しいパワフルさを感じさせるバンドだったが、 この作品ではもっとオーソドックスなヘヴィ・メタルへ 変化している。元来持っていたダークな部分は残しながらも、より 洗練されて、暑苦しいB級メタルっぽさはあまり 感じられなくなったが、その一方で北欧らしい叙情性も 減じている。ドラマティックでパワフルなヘヴィ・メタルに 仕上がっており、楽曲の出来もまずまず良いし、こう言った変化は 悪くないと思う。[82]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの5年振りの6thアルバム。 方向的にはこれまでの延長線上と言えるもので、 アメリカナイズされたヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。 ファンキーな色合いを持ったグルーヴィな作品で、叙情的な メロディを出しながらも、アメリカっぽい爽快感を 感じさせてくれるものとなっている。正に彼等らしいと言える 作品で、これまでのファンならば十分楽しめるだろう。 JEFF SCOTT SOTOのボーカルも相変わらずパワフルで素晴らしく、 ギタリストにFREDRIK AKESSONが復帰して、磐石と思わせる アルバムだ。[85]