CLOUD / TIAMAT
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1992年に
リリースされた3rdアルバム。後々、メロディック・デス・メタル
的な色合いを捨て、よりゴシック・メタル然とした方向へと向う
事になるが、ここではそう言った耽美なゴシック・メタル色を
持ちつつも、ドゥーム・メタル的なエッセンスを打ち出した
メロディック・デス・メタルを聴かせてくれている。特に
In A Dream等は非常にダークな雰囲気が満ちており、CANDLEMASS
辺りの影響を感じさせてくれるが、テンポ自体は全体的にもっと
速い。The Scapegoatの印象的なメロディやテンポの変化が非常に
面白い。JOHN EDLUNDのお世辞にも上手いとは言えない
ボーカルには好き嫌いは分かれそうだが、個性的で中々良い
アルバムだ。プロデューサーは恒例のDESPAIR、GRIP INCの
ギタリスト、WALDEMER ZORYCHTAが行っている。[87]
THE SLEEPING BEAUTYーLIVE IN ISRAEL / TIAMAT
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1994年に
リリースされたライヴ・ミニ・アルバム。1993年に行われた
イスラエルでの公演の模様を収めたものだ。初期の彼等のライヴの
模様を伝える唯一の音源で、その耽美でドゥーミィな世界観は
ライヴでも決して損なわれる事はない。雰囲気が良く出せており、
多少の粗は叩き伏せるだけの説得力を感じさせてくれる。ただし
折角のライヴもプロダクションの状態がかなり悪く、
台無しになってしまっていると言って良いだろう。わざわざ
中東でのライヴ音源を使わずとも、地元でもっと良い状態で録音
出来たのではないかと思えると残念だ。[80]
PROJECT:TIME SCANNING / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドの1993年に
リリースされたデビュー・ミニ・アルバム。イタリアの
バンドらしい、叙情的なメロディを押し出した
プログレッシヴ・メタルで、組曲が多いがそう長い訳でもないので
聴き飽きてくると言う事もない。オーケストラレーションを
入れたり、適度に捻りもある。まだまだアレンジ面での未熟さを
感じるところもあるが、やりたい事は判るし悪くはないのだが、
唯一どうにもならないのがボーカルのANDREA RUGGERIで、
イタリアのバンドらしく下手だと言う事だろう。次作では
FOLCO ORLANDINIに変わる事になるので、この点も改善される
訳だが。[80]
DUNGEONS OF THE VATICAN / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に
リリースされた500枚限定のシングル。タイトル・トラックの
Dungeons Of The Vaticanのみがアルバム未収録曲で曲自体の
出来は、バンドとしては可も無く不可も無いレベル。残念ながら、
むしろアルバム収録曲の方が面白いと言えるだろう。やや
不気味さが漂うインストルゥーメンタルで、転調を
入れたりしているのだが、流れはあまり良くないし、
プロダクションも今一つだ。この手のバンド中ではかなりヘヴィな
方で、プログレッシヴ・ハード・ロックが聴けるならば
大丈夫だろう。録音はあまり良くないが良くないなりに音の処理に
工夫している用に思う。[81]
GAIA / TIAMAT
ドイツのメロディック・デス/ドゥーム・メタル・バンドの
1994年にリリースされたミニ・アルバム。基本的に、
When You're Inを除いて最新作、WILDHONEYに納められた
ナンバーをリミックスしたものだ。音が幾分クリアになり、
WILDHONEYであったけだるさはあまり感じられない風に
仕上げられている。唯一の未発表曲であるWhen You're Inは
ミドル・テンポの力強いインストゥルーメンタル・ナンバーで、
バンドのカラーとは少し異なる楽曲で、アルバムに
納められなかったのはうなずける。コレクターズ・アイテム
向きの作品ではあるが、出来は決して悪くない。[83]
CLASSICAL VARIATIONS AND THE THEMES / TIMO TOLKI
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドSTRATOVARIUSの中心人物の
ソロ・アルバム。白鳥の湖をやったり、イギリスの有名な民謡
Greensleevesをやったりと、普段バンドとしてはあまり
出来ないようなお遊びをふんだんに取り入れていて、ソロで
やるにはうってつけの素材だと思うのだが、バンドとの切り分けが
それ程はっきりされていなくて中途半端という感じを受ける。
クラシカルな美しいメロディは相変わらずだがバンドのそれには
及ばないし、ギター・アルバムというほどギター中心という
訳でもない。どちらかというと自己プロデュースが裏目に出た
感じで、アレンジがもう少しよければ違った印象も持てたと
思うが。[76]
TILES / TILES
アメリカのプログレッシブ・ハード・ロック・バンドの
デビュー盤。所々ボーカル・ラインはPOLICEで楽曲はRUSHっぽく
感じられる所がある。その一方でギター・サウンドは
フュージョンっぽかったりもするが、バンドの色にはそれ程
外れていない。PAUL RARICKのボーカルはそんなにうまい
訳ではなく、軽さはいがめないが、GEDDY LEEを想起させ、曲には
合っている。RUSHとPOLICEを足して叙情味を加えたと
言ったところで、完成度も中々高い。美しいメロディは叙情的で、
割とストレートで聴き易く、良く出来た作品だ。[87]
WILDHONEY / TIAMAT
スウェーデンのドゥーム/デス・メタル・バンドの4thアルバム。
その耽美路線はさらに磨きがかかり美しいが、前作で見せていた
様なドゥーム的な部分は引っ込んだ感がある。どちらかと言うと
方向的にはドゥーム・メタルからゴシック・メタルへやや
シフトした様な印象を受ける。クリア・ボイスを使い分ける
JOHAN EDLUNDのデス・ボイスはこの手のものとしては聴き易い
部類であり美しい楽曲にそれほど違和感なく溶け込んでいる。
プロデューサーは三人目のメンバーとも言える元DESPAIR、現
GRIP INCのWALDEMER ZORYCHTAが今回も担当している。
キーボードも彼が担当しており、その独特の世界を構築するのに
一役買っている。前作までと比べるとそのサウンドは耽美で自己
破滅的な絶妙な雰囲気の作品になっている。[87]
ACT II:GALILEO / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの
2ndアルバム。前作のミニ・アルバムの後に、日本向け輸出用に
500枚限定プレスのシングルを出していて、そのうちの1曲がこの
最新作に収録されているが、これは多分バージョン違いだろう。
コンセプト・アルバムで組曲構成になっており、それに相応しい
ドラマティックでクラシカルな美しい
プログレッシヴ・メタル作品に仕上がっている。ややともすると
盛り上がりに欠けるが、流れるような泣きのメロディは
素晴らしいし、演奏面でも全く問題ない。イタリアのこの手の
バンドは、ボーカルが難点であるバンドが多いが、
FOLCO ORLANDINIの場合、JEFF TATEタイプで非常に素晴らしい。
曲調のためか少し窮屈そうに歌うので、もう少しのびのびと歌えば
もっと素晴らしい作品になっただろう。[86]
PRAY FOR RAIN / TIM FEEHAN
カナダ人シンガー・ソング・ライターの5thソロ・アルバム。
アダルトでポップ・フィーリング溢れるロック・アルバムで、
方向的には元WISHBONE ASHのボーカリスト、O'RYANの
ソロ・アルバム的な、しっとりと落ち着いた甘く爽やかな
AOR作品だ。ヘヴィ・メタル系の人にどれだけ
アピールするものがあるか判らないが、ハードなロック・アルバム
的なエッセンスもあり、楽曲は結構フックがあって、全体的に良く
出来ている。キャッチーなメロディをじっくりと
聴かせてくれるし、中々良いアルバムに仕上がっている。[83]
A DEEPER KIND OF SLUMBER / TIAMAT
ドイツのメロディック・デス・メタル・バンドの5thアルバム。
初期はかなりドゥーミィな色合いを持ったサウンドだが、徐々に
耽美的な作品へと変質していき、それにつれてデス・メタル的な
色合いもなくなっていった。特にGRIP INCのWALDEMAR SORYCHTAが
プロデューサーから抜けた辺りから顕著だったが、この作品では
そういった傾向をよりはっきりと打ち出しており
プログレッシヴ・ロック的な色合いもある。非常に耽美な作品で、
暗くもの哀しい陰鬱な作品でゴシック的な傾向も強い。
クリア・ボイスのみで、キーボードもかなり押し出されている。
自己の世界がはっきりと形作られており、彼等の音楽もここで
一つの完成を見たといってもよいだろう。[90]
SHADES OF TIME / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドのミニ・アルバム。
これまでにもQUEENSRYCHEの影響は見て取れたが、今作では
明らかにQUEENSRYCHEそのものという雰囲気になっている。
時代的にはOPERATION:MINDCRIME辺りのそれであり、楽曲、演奏の
レベルは同じ指向のバンドとしてはトップ・クラスと言えるくらい
出来が良いので、昨今のQUEENSRYCHEに失望している人には
おあつらい向きの作品だ。あまりにもQUEENSRYCHEっぽくなり
過ぎたため、逆にオリジナリティが
見えなくなってしまっているのが難点と言えるだろう。
BLACK SABBATHのHeaven And Hellをカバーしているが、それすらも
QUEENSRYCHEっぽさを醸し出している。[87]
MEDIEVAL / TIERRA SANTA
詳細は良く判らないが、恐らく1997年にリリースされた
ポルトガルのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。スペインの
バンド等と共通するARTUROの巻き舌のボーカルが何とも特徴的で、
こういった一連のバンドに共通する発音が許容できないと
厳しいだろう。方向的には、所謂メロディアス・ヘヴィ・メタルと
言うやつだが、メロディの出来はそこそこと言う感じだし、楽曲は
展開があって悪くない。ただ、演奏を含めて未整理の部分が多く、
混沌とした感じがいつも付きまとうし、非常に垢抜けていない
作品だ。プロダクションの出来もお世辞にも良いとは言えず、
まだまだ課題となる部分は多い。[69]
ACT II:GALILEO / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシブ・ヘヴィ・メタル・バンドの1995年に
リリースされた2ndアルバムに、ライヴ・ミニ・アルバムを
付けた、2枚組みCD。本編の方は、リマスターされているが、
それ以外は変更はない。ライヴ・アルバムの方だが、
FOLCO ORLANDINIのボーカルは、意識してかそうではないのか
判らないが、ライヴを聴くと、やや不安定なところがあるが、
ANDRE MATOS的なボーカル・スタイルだ。ライヴの出来自体は
決して悪くないのだが、音のバランスが悪いのが今一つ気になる。
特に割と透った声質のボーカルがもたった様に聴こえるのは
残念だ。[82]
SECRET OCEANS PART2 / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドのアルバム、
ETERNITY ENDSよりリリースされた2枚のシングルのうちの1枚。
シングルではあるが、収録されている楽曲はタイトルと違い、
I Believe AgainとBehind The Crossの2曲という
構成になっている。それぞれアルバムに収録されているが、
バージョン違いだ。I Beleieve Againでリード・ボーカルを
取っているのは、レーベル・メイトであるANGRAの
ANDRE MATOSである。楽曲的にもANGRAのバラード・ナンバー
的なものであるため、どちらかと言うとANGRAを強く
意識させるような作品になっている。Behind The Crossはラテン
的な匂いのするメロディの中にも、彼等らしい叙情的なメロディに
ヘヴィさが見え隠れし、中々聴きごたえがある。[82]
ETERNITY ENDS / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドの2ndアルバム。
元々QUEENSRYCHEの影響の見え隠れするバンドだったが、前作の
ミニ・アルバムでは、QUEENSRYCHEのよりヘヴィ・メタル的な
部分をより強く打ち出していたのに対して、この作品では
PROMISED LANDの落ち着いてしんみりとした方向性を打ち
出していると言えるだろう。そういう意味からすると、
QUEENSRYCHEの即席を辿っているとも言えるが、より
プログレッシヴ的と言うか、シンフォニック・ロック的な
エッセンスが、このバンドの個性を導き出していると言える。
NICK FORTAREZZAのボーカルはパンチに欠けるが、透っていてこの
アルバムには合っていると言えるだろう。落ち着いた雰囲気の
中にもエッヂの効いたハードなギターがあって、中々良い出来の
アルバムだ。[85]
PRESENTS OF MIND / TILES
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの
3rdアルバム。方向的にはこれまで同様、RUSH的な洗練された
クリアなサウンドでより叙情的なメロディを強く押し出して
来ている。お洒落で洗練された雰囲気の中にも、幻想的な世界を
醸し出している。繊細ななかにも静と動のダイナミズム溢れる
展開があり、非常に良く出来たアルバムだ。DREAM THEATER
等よりは、よりシンフォニック・ロック的なエッセンスのある
作品だ。PAUL PARICKのボーカルもより安定して来た感があるし、
中々聴きごたえのある素晴らしい作品に仕上がっている。[85]
SKELETON SKELETRON / TIAMAT
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの6thアルバム。元々は
ドゥーム/メロディック・デス系のサウンドをやっていた
バンドだが、その方向性は徐々に変化していき、前作で
ゴシック・メタルとしての方向性を突き詰め、完成させたと言って
良いだろう。今作でも基本的な方向性は前作の延長線上と言って
良いものだが、ニュー・ウェーヴ的な要素を余りにも強く押しだし
過ぎたため、ややバランスの悪さを感じさせる
アルバムになってしまっている。JOHAN EDLUNDの
クリア・ボイスは、お世辞にも流麗と言った感じの
タイプでないため、全体の音作りに合っていない。アイデアは
悪いと思わないのだが、それを完全に消化仕切れていないと
感じるのだ。ROLING STONESのカバー、Sympathy For The Devilは
かなり大胆なアレンジになっている。[80]
SHADES OF TIME / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシブ・メタル・バンドの1997年に
リリースされたミニ・アルバムのリマスター盤。オリジナル盤では
正式に集録されていたBLACK SABBATHのカバー、Heaven And Hellが
何故かボーナス・トラックの扱いになっている。
Past And Futureだけはリマスターされておらず、昔の1997年に
録音したものと、1993年に録音されたものが集録されている。
ボーナス・トラックはこれにNever-ending Loveの1998年に
録音されたもので、これらはFABIO PAGANI、NICK FORTAREZZAが
ボーカルを取っている。特に未発表曲が含まれている
訳でもないし、コレクターズ・アイテム以上の価値はないが、
イタリアのプログレッシヴ・メタルとしてはレベルの高い作品だ。
[84]
TIERRAS DE LEYENDA / TIERRA SANTA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には
前作の延長線上とも言える、正統派のヘヴィ・メタルだ。メロディ
等随所にIRON MAIDENっぽさを伺わせるところがあるが、
そのものと言うより、エッセンスを取り込んだと言う感じで、
全体的に聴いてフォローワーと言う程の印象は受けない。全曲
スペイン語で、スペイン語独特の巻き舌のアクセントが気になる
事は気になるが、違和感を感じる程酷くもない。この
アクセントもあって、芋臭さはどうしても感じられるが、
様式美的なエッセンスとなっていて、これはこれで味わい深い。
[81]
HIDDEN SECRETS / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドの2枚組みアルバム。
未発表音源を集めたコンピレーション盤で、未発表曲、ライヴ、
バージョン違い等の音源が収められている。特に初期の音源と
思われるものに関しては、プロダクションがかなり悪いし、楽曲の
出来もかなりしょぼいと言わざるを得ない。叙情的なメロディは、
如何にも彼等らしくて悪くないのだが、楽曲の練りが足りず、録音
状態の悪さもあいまってB級的な匂いがする
結果となってしまっている。デビュー以降と思われる音源は、
さすがにプロダクションの状態もぐっと良くなっており、デモ
音源でももう少し聴けるものになっているが、それでもわざわざ
公式にリリースする程でもないだろう。そう言う意味では、ファン
向きのコレクターズ・アイテム以上の価値は見出せない。[72]
SECRETS ON PARADE / TIM CHRISTENSEN
デンマークのヘヴィ・メタル・バンド、DIZZY MIZZ LIZZYの
元ボーカリストによる初のソロ・アルバム。やや
オルタナティヴ・ロック的なエッセンスも感じられる、叙情的な
メロディアス・ロックで、ヘヴィ・メタル色は薄くなったが、その
音楽的方向性はDIZZY MIZZ LIZZYの延長線上と言えるものだ。それ
故に斬新さは全くないが、DIZZY MIZZ LIZZYのファンには安心して
聴ける内容と言って良いだろう。DIZZY MIZZ LIZZYでも
そうだったが、THE BEATLES似通ずる様な、彼の
メロディ・センスは素晴らしい。ミドル・テンポ中心で、静か目の
楽曲が多い為、やや盛り上がりに欠ける様な気がするのは
如何ともし難いが。[82]
STRANGE / TIME SCAPE
スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドの2ndアルバム。
都会的なクールな洗練さを感じさせるアルバムで、ENCHANTや
EMPTY TREMOR的なシンフォニックなエッセンスも感じさせる。
ただ、これらのバンドと比べると、よりプログレッシヴ・ロック
的な方向が感じられ、ジャジィな作品に仕上がっている。
アイデアとしては面白いと思うのだが、一方でそう言った部分が
流れを悪くしている様に感じられる。とは言え、この辺りの
アレンジ力の向上すればシンフォニックな洗練さが活かされ、
かなり良くなるのではないかと思わせるだけの素材ではあると
思う。[79]
ALIGER DAEMON / TIME MACHINE
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドのミニ・アルバム。
新曲が2曲にDesert Of Soulsのバージョン違い、既発音源2曲の
全5曲と言う構成になっている。SKYLARKのEDDY ANTONINIがゲスト
参加しての、新曲のEyes Of Fireは、彼のピアノが取り
入れられた、ゴシカルな雰囲気のあるもので、PINO TOZZIの
ボーカルや、楽曲のメロディ・ラインには彼等らしい
特徴があるが、これまでとはやや変わった趣が感じられる。
Army Of The Deadにもそう言った色合いが若干あるが、こちらは
より従来の彼等らしいプログレッシヴ・メタルに仕上がっている。
[80]
HYMN TO LIFE / TIMO TOLKKI
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンド、STRATOVARIUSの
ギタリストによる7年振りの2ndソロ・アルバム。方向的には
STRATOVARIUSの音楽性に囚われずに作成されたアルバムと
言えるもので、遊びをふんだんに取り入れながらもSTRATOVARIUSの
延長線上とも言える作品だった前作とは、全く切り口の
異なるものと言えるだろう。ヘヴィ・メタルらしいギターも時折
聴けるが、基本的にはヘヴィ・メタルの枠組みから外れたポップな
ナンバーが並んでいる。STRATOVARIUSのファンからすると、やや
期待外れな作品かもしれないが、楽曲自体は悪くないのでそう
言った事を考えなければ、Fatherの様なゴシック・メタル的な
不可思議な楽曲もあるが、決して悪い作品ではない。[80]
SANGRE DE REYES / TIERRA SANTA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。音楽的には
これまでの延長線上とも言えるもので、IRON MAIDENを
スパニッシュ・メタル的にアレンジしたものと言って良いだろう。
如何にもIRON MAIDEN的なメロディを随所に降りこみながらも、
ANGELの巻き舌のボーカルが、スパニッシュ・メタルらしい
雰囲気を醸し出している。これまでと比べると、アレンジ面での
成長が伺え、全体的に質の高さが感じられる様になtrた。
ボーカルがスペイン語なだけに、スパニッシュ・メタルで共通して
感じられる独特の発音が気になるかも知れないが、それ程芋臭く
感じられないところが素晴らしい。[83]
JUDAS CHRIST / TIAMAT
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの3年振りとなる
7thアルバム。その音楽スタイルはゴシック・メタル的な要素を
増して来ていたが、その流れの中での作品と言って良いだろう。
前作ではあまりにもニュー・ウェーブ的なエッセンスを強く押し
出し過ぎて、ややバランスの悪い作品になってしまっていたが、
今作ではそう言った部分は控えめになっている。PARADISE LOST
等の様に、ゴシック・ロック的な色合いを取り入れた極彩色的な
ゴシック・メタルだが、バイオリンを取り入れたりと耽美感も良く
出している。荘厳さもあって、決してゴシック・メタル的な部分を
切り捨ててしまっていないところに好感が持てる。[86]
TIME REQUIEM / TIME REQUIEM
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。実質的には
MAJESTICがバンド名を変えて再デビューしたと言ったところだ。
MAJESTICの中心人物であったキーボードのRICHARD ANDERSSONは
もちろん、ベーシストがLAST TRIBEのDICK LOVGRENである事を
除けば、そのままMAJESTICのメンバーだ。音楽的にも、MAJESTICの
ネオ・クラシカル的なヘヴィ・メタルを踏襲しているのだが、
あちらがより正統派的だったのに対して、このバンドではより
テクニカルでプログレッシヴ・メタル的な色合いを強めている。
ネオ・クラシカルとプログレッシヴ・メタルの中庸的な作品で、
独自の色を出している事が、ややもすれば没個性的だった
MAJESTICと比べると、大きな進歩と言えるだろう。[84]