TNT / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた
デビュー盤。TONY HARNELL加入前のDAG INGEBRIGTSENが
ボーカリストだった頃の作品で、その後の彼等の方向性はまだ
ここでは見られず、全く別のバンドの作品と考えても良い
位だろう。JUDAS PRIESTの様なBakgardsrotterや、憂いを帯びた
バラードのEtydeifuzzーMalの他は、割とパワフルでシンプルな
ハード・ロックンロールと言う感じをさせる。N.W.O.B.H.M.の
影響が強く感じられる作品で、プロダクションも良くないし、
アレンジ面での工夫も見られない。[70]
KNIGHTS OF THE NEW THUNDER / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
2ndアルバム。アメリカ進出に伴って、ボーカリストが
DAG INGEBRIGTSENからTONY HARNELLに、ベーシストが
STEINAR EIKUMからMORTY BLACKに交代している。特にボーカルが
TONY HARNELLに代わった事で、そのハイ・トーンを活かした
キャッチーな作品ながらも、北欧メタルらしい叙情的なメロディの
ヘヴィ・メタルとなっており、デビュー時の音楽性から大きく
変化し、自らの音楽性を確立し始めたと言ったところだろう。
プロダクションも前作よりは良くなったが、まだまだの
部分もあるし、過渡期的なイメージをさせる作品だが、彼等の持ち
味は出ている。[80]
TELL NO TALES / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた
3年振りの3rdアルバム。クリエイティヴ面において、ギタリストの
RONNI LE TEKROが完全に主導権を握り、前作での音楽的方向性の
変化を更に押し進めたもので、ポップでキャッチーなメロディを
前面に押し出した、叙情的なメロディの北欧メタルと言う
スタイルが完成したと言って良いだろう。特に軽快な
Everyone's Starや優しく美しいAs Far As The Eye Can Seeと
言った佳曲がズラリと並んでおり、彼等の代表作と言えるだけの
名作に仕上がっており、ポストEUROPE的なバンドへの成長を
感じさせる。ハイ・トーンを駆使した、TONY HARNELLのボーカルが
効果的で、叙情的でポップなバンドの持ち味を活かしている。[87]
INTUITION / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
2年振りの4thアルバム。音楽的には、そのスタイルを確立させた
前作の延長線上とも言える作品で、北欧メタル的な叙情性と、
アメリカ的なキャッチーさを併せ持った作品に仕上がっている。
前作と比べると、Everyone's Starの様な軽快なナンバーが押さえ
気味になっており、全体的に落ち着いた雰囲気となっている。
そのため、やや変化と盛り上がりに欠ける事は確かだ。とは言え、
キャッチーで絢爛なIntuitionを始め、楽曲の粒は揃っているし、
TONY HARNELLのハイ・トーンを主体としたボーカルも相変わらず
素晴らしい。[84]
REALIZED FANTASIES / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
3年振りの5thアルバム。前作のアメリカでのセールス的不振と
レコード会社の移籍もあいまってか、音楽的方向性の修正が
感じられる。北欧メタル的な叙情性とアメリカ的なキャッチーさを
併せ持ったヘヴィ・メタルと言うのが彼等のスタイルだったが、
北欧的な憂いを持った叙情性が薄らぎ、よりアメリカ的な
エッセンスの感じられるアルバムに仕上がっている。それ故、
彼等の透明感を感じさせるメロディは減退し、よりのりを
感じさせるものとなっている。楽曲自体の出来は決して
悪くないのだが、これまでのファンとすれば、持ち味とも言える
部分がなくなった訳で、不満に思うところかも知れない。[82]
FIREFLY / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第一弾アルバム。
なのだが、昔の面影は全くない作品になっている。
THE BEATLES的なメロディ感覚の楽曲が並び、ENUFF Z'NUFFを
ヘヴィに湿っぽくしたような感じだ。まぁ、これはこれで
面白いとは思うが、旧来のファンには期待にそぐわない
作品だろう。演奏的にはTONY HARNELLのボーカルも
RONNIE LE TEKROのギターも素晴らしいし、楽曲もこれだけとれば
割と良いのだが、何故これをTNT名義で出したのかは謎だ。
割としんみりと落ち着いた感じがあり、昔のTELL NO TALESの
頃の面影はない。[79]
BRAVE MURDER DAY/ KATATONIA
詳細は良く知らないが、BEWITCHED等でも活躍する、BLACKHEIM
率いる北欧メロディック・ブラック・メタル・バンドの
アルバム。いわゆるブラック・メタル・ボイスとは違い、
どちらかというとデス・ボイスに近い唱法だ。クリア・ボイスは
良く通っていてはかなげで美しいさを醸し出していて、
この手のものでは評価に値する。バックはほぼ
メロディック・デス・メタルに近く、歌詞さえ除けばそういう
路線だと思って良い。割と叙情的で哀愁のこもったメロディが
淡々と続き、派手さはほとんどない。フックにも欠ける部分が
多く、故に、盛り上がらぬまま最後まで行ってしまうのは
いかんともし難いが、たまにはっとしたメロディに
出会うことはある。[78]
TRANSISTOR / TNT
ノルウェイのハード・ロック・バンドの再結成第2弾となる
アルバム。前作では、解散前と大きく違う方向性に戸惑った
ファンも多かった様だが、今作では本来の彼等らしい部分が
大きくなっている。出だしのNo Such ThingやWide Awakeに
キャッチーなメロディの楽曲に、TONY HARNELLの透った
ハイ・トーンのボーカルは、旧来のファンを十分納得させる
内容だと言って良いだろう。とは言っても、全面的に昔のままかと
言えば、そういう訳でもなく、後半になってくると様相が違って
来る。前作で聴かれた様なモダンでポップな楽曲が中心となって
来るが、そこはメロディ・センスが良いだけあって、決して
悪くはない。頭で、昔の様な楽曲を聴かせておいて旧来のファンを
納得させておいて、後半で今自分達がやりたい事をやった、折衷案
的な作品の様に思える。[82]
TASTE / TNT
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。
再結成してみたものの、その後の作品がどうも往年の姿とは離れた
内容であった事に失望感はあったが、それから4年もの沈黙の後に
出されたこの作品は、まさしく往年の彼等らしい叙情的で
ポップ・センスのある作品に仕上がっている。最後に
収められている往年の未発表曲、Destinyが飛び抜けた
内容であるのだが、それでも十分に新作を期待させるだけの
レベルである事は間違いない。Live TodayとGive Me A Signは
佳曲と言える内容で、ここで出してしまうのは勿体無い位だ。[90]