カナダのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 初のフル・アルバム。デビュー・ミニ・アルバムではDEF LEPPARD 等の影響が強く見え、まだその方向性が定まっていない様に 感じられたが、この作品ではそう言った影響も消化して、より 不偏的なヘヴィ・メタルとなっている。方向性が定まった分、 バラエティさの彩りに欠ける気がするのは残念だが、Hauntedの 様な憂いを帯びた楽曲も取り入れていて、決して一本調子と言う 様な感じになってはいない。飛び抜けた楽曲はないが、カナダの バンドらしい叙情性とキャッチーさを兼ね備えており、悪くない 作品だ。[83]
アメリカのプロジェクトのアルバム。ノルウェイの ヘヴィ・メタル・バンド、TNTのアメリカ人ボーカリスト、 TONY HARNELLを中心としたプロジェクトで、SAVATAGEの ギタリスト、AL PITRELLI等が参加している。音楽的には アコースティック・アルバムと言えるものだが、あくまで TONY HARNELLのプロジェクトと言うこと事を考えると、彼の ボーカルを堪能出来ると言う意味では趣旨に沿っている。TNTの セルフ・カバー、Tonighte I'm Fallingを始め、カバーが 中心となっており、非常にリラックスした雰囲気の味わい深い 作品に仕上がっている。[80]
アメリカ人ギタリストの1994年にリリースした5thアルバム。 前作で発散した大胆な方向性の変化を求めたが、旧来の ファンにとっては戸惑いを覚える作品で、評判が良くなかった事も 考慮して、初期の方向性に揺り戻している。当然、いわゆる ギター・インストルゥーメンタル作品と言うやつなのだが、 この作品では彼らしいクラシカルなエッセンスに溢れている。 元OZZY OSBOURNE BAND、BAD ENGLISH、HARDLINEの ドラマー、DEAN CASTRONOVO、元THE FIRM、BLUE MURDERの ベーシスト、TONY FRANKLINが脇を固めているだけに、 演奏面では文句ない。[83]
元BLACK SABBATHのイギリス人ボーカリストの1992年に リリースされた初のソロ・アルバム。JERUSALEMを セルフ・カバーしているが、BLACK SABBATH的なエッセンスは ほとんどなく、どちらかと言うとオーソドックスな ハード・ロックをやっている。時にはブルージィさも見せ、 しみじみと彼のボーカルを聴かせてくれており、彼のボーカルの 素晴らしさが良く味わえる作品だ。楽曲自体も派手さはないが 粒が揃っており、GLENN HUGHESのソロ等にも通ずる部分がある。 元WHITESNAKE、GARY MOORE、BLACK SABBATHのベーシスト、 NEIL MURRAY、QUEENのギタリスト、BRIAN MAY等も参加している。 [87]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1989年に リリースされたデビュー盤。この頃のハード・ロックンロールと 言うと、いわゆるバッド・ボーイズ・ハード・ロックンロールと 呼ばれるワイルドでグラマラスなハード・ロックンロールが 中心となって来ていたが、彼等はそう言うグラマラスな面も 持ちながら、非常にオーソドックスなものを聴かせてくれている。 28 Days等はMOTLEY CRUEっぽさを感じさせながらも、より グルーヴ感を押し出したものとなっている。ブルーズ的な エッセンスも強く感じられ、この手のバンドとしてはかなり ユニークな作品と言って良いだろう。[85]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1992年に リリースされた3年振りの2ndアルバム。時代的には バッド・ボーイズ・ハード・ロックンロール隆盛の頃に 活躍しながらも、ブルーズのエッセンスを取り入れた、 オーソドックスなハード・ロックンロールを聴かせてくれていた バンドで、この作品でもそう言った方向性を貫かれている。割と ラフでワイルドな感じのするグラマラスなサウンドで、聴き 応えもある作品に仕上がっている。スマッシュ・ヒットした デビュー作からこれだけ時間が開いた理由は判らないが、その 出来は前作と比べても決して見劣りしない。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、SKAGARACKの ボーカリストによる1992年にリリースされた初のソロ・アルバム。 EUROPEのギタリスト、KEE MARCELLOが参加しているが、それがある 意味、この作品のSKAGARACKとの大きな違いと言って良いだろう。 SKAGARACKはキーボードを割と押し出した作品作りをしているのに 対して、この作品ではギターをかなり前面に押し出した 作品となっている。それ故、ハード・ポップ的な色合いを感じる SKAGARACKと比べると、よりロック然とした作品に 仕上がっている。When I Hold You In My Arms等は アメリカン・ロックと言う感じすらする。[80]
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1980年に リリースされたデビュー盤。叙情的なメロディを前面に押し 出したプログレッシヴ・ハード・ロックだ。アメリカの バンドとしては珍しく、キーボードを押し出した。ポップさを 見せる反面、楽曲によってはブリティッシュ的な哀愁を押し 出したものもある。楽曲自体はそう言ったポップなものや、 ブリティッシュ的なものから、アメリカらしいものまで意外と バラエティ豊かだ。プロダクションは今一つと言う感じもするが、 コーラスの上手さや楽曲のクオリティ等、そう言った面を補って 余りある。[84]
カナダのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバム。その後フルレンス・アルバムを 出しているが、それと比べるとまだ方向性が定まっておらず、やや 散漫な印象を受ける作品になってしまっている。 Time Has No Mercy等は如何にもDEF LEPPARDっぽく、その後の アルバムからは想像は出来ないだろう。もっとも逆にそれがこの アルバムのアクセントになっていて、バラエティさが出ていて、 救いとなっている訳だが。後半は尻すぼみで、だれ気味の 構成になってしまっているのは残念だ。[78]
アメリカのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤だが、実際にはアメリカ音楽市場の悪さもあいまって、 バンドはデビューする前に解散している。このアルバムはその後 ドイツでリリースされたものだ。RIK SCHAFFERのギターの音色は U2を思い起こさせ、一風変わったハード・ロック・アルバムに 仕上がっている。非常に扇情的でオリジナリティの高い 音楽をやっており、これだけのバンドがほとんど活動できぬまま 解散したのは非常に惜しまれる。浮揚感のある哀愁を持った メロディは実に不思議な枯れた世界を作っている。これと言った 楽曲はないのだが、全体的に出来は非常に良いし、微妙に ビブラートのかかったADAMのボーカルも、RIK SCHAFFERの ギターも実にそのサウンドに会っていて、派手さはないが味わい 深い作品だ。[91]
アメリカ人ギタリストによるギター・インストルーメンタルの ソロ・アルバム。GIT出身のギタリストと言うだけあって、それに 違わぬテクニカルなプレイを聴かせてくれる。楽曲はどちらかと 言うとフュージョン系と言った感じのもので、耳に心地好く、軽い 音作りではあるがノリは良い。テクニック的にはもちろん 問題ないし、楽曲もこれといったものはないが、まずまずの 出来なので、フュージョン系が好きならばそれなりに 楽しめるはずだ。JOE SATRIANIのSURFING WITH THE ALIENに 比べると幾分落ち着いた印象を受けるアルバムに仕上がっている。 [79]
アメリカ人ギタリストのソロ6作目のアルバム。音楽的には、 言わずもがなだが、いわゆる ギター・インストゥルーメンタルと言うやつで、最近の彼としては 若干フュージョンっぽい方向へとスライドしてきていたが、この 作品ではデビュー当時のようなネオ・クラシカル系の路線に戻って 来ている。美しいメロディに秀でたテクニックとこの手のものの 中でも完成度の高い作品に仕上がっているが、逆にこれといった 飛抜けたものもあまり感じられないのが残念だ。 クラッシック・ピアノをやっていただけあって、ピアノの演奏も さすがだ。[79]
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。元MANOWARの ROSS THE BOTH率いるHEYDAYにも参加していたCHALI CAYTEの ボーカルは、特別にうまいというほどでもないが、中々 エモーショナルな歌唱を聴かせてくれていてバンドの雰囲気を 倍加している。これという個性は感じられないが、キャッチーで 美しいメロディの楽曲は良く出来ている。ハートフルな曲、哀愁の メロディとバラエティには富んでいて飽きさせない中々良い アルバムだ。楽曲、演奏と全体的な良く出来ているし MICHAEL BOLTONのカバー、Tonightも哀愁味が出ていて良い 出来だ。[85]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。北欧メタル初期に活躍したバンドで、この頃の多くの バンドがそうである様に、N.W.O.B.H.M.の影響を受けた、 プロダクションの悪い作品だが、エネルギッシュでパワフルな 内容で、多分にダークさを持っており、いわゆる北欧メタルと 言うものとは一線を画している。歌いまわしはやや IRON MAIDENっぽいが、楽曲のレベルはまだそこまでに 至っていない。録音状態も悪いし、あまり 特筆すべきものはないのだが勢いだけは感じる。もう少し プロダクションが良くなればかなり変わったと思うのだが。[76]
スウェーデンのシンフォニック・ロック・バンド、 THE FLOWER KINGSのキーボードによるソロ・アルバム。故に キーボードが中心の静かで、幻想的かつ叙情的な判りやすい メロディがほとんどだが、ときおり思い出したかのように フュージョンっぽいプログレッシヴ然とした複雑な展開が 入り込んでくる。これが結構突然で、それゆえ流れが見えず、 繋がりが悪く感じるときがある。キーボードによる美しい叙情的な メロディが際立っているだけに、そういう流れといった部分を うまくアレンジして表現できればかなり良くなったと思うのだが。 [79]
アメリカのハード・ロック・バンドCOLORVINEがバンド名を変える 以前の7年前に制作し、お蔵入りになっていてものを CD化したもの。キーボードを前面に押し出した、甘く叙情的な ポップ・ナンバーが並ぶ作品に仕上がっている。 メロディ・センスは中々良いのだが、アレンジ力という点では まだまだで、自らの音楽を表現仕切れていない感がある。 LARRY SALTISのボーカルもミドル・レンジは良いのだが、 低音部でのだみ声がどうも雰囲気に合っていない。 楽曲によっては導入部が平凡でつまらない曲が、何曲があるのも 気になる。持ってるものは良いので、この辺りが改善されれば かなり良くなるはずだ。[78]
N.W.O.B.H.M.末期に活躍したイギリスの ヘヴィ・メタル・バンドで、ボーカリストをALAN MARTHに代わって VIC WRIGHTで新たに録音直し1984年にリリースされた 2ndアルバムをCD化したもの。この頃にすれば録音状態は かなりましな方で、扇情的で、緊迫感のある内容になっている。 VIC WRITEのボーカルは高音にやや幅のなさを感じるが、扇情的に 迫ってきて、バンドの方向性にはあっている。やや一本調子の感は いがめないが、出来自体は悪くない。このCD化で注目すべきは 8曲も収められたボーナス・トラックで、12インチ・シングル、 ミニ・アルバムのLIGHTNING STRIKES、MADAME GUILLOTINE、 THE CAVE SESSIONにそれぞれ収められていたものだ。[81]
カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドのデビュー作。 VON GROOVEのMATTHEW GERRARDがプロデュースを 行っているだけあって、キャッチーなメロディの佳曲が 並んでいる。VON GROOVEよりは、アメリカ的な指向の強い メロディで、哀愁のあるポップなナンバーからからっと明るい ロック・ナンバーまで取り揃っている。エッヂの効いた サウンドに、ややだみ声だがパワフルなボーカルも悪くない。 楽曲の出来、演奏のレベルもこの手のバンドではかなり上質の 作品で、プロダクション等もしっかりしていて中々の良作に 仕上がっている。[86]
N.W.O.B.H.M.後期に活躍したヘヴィ・メタル・バンドの1983年に リリースされたデビュー盤にボーナス・トラックとして ミニ・アルバムのMIDNIGHT RENDEZVOUSをカップリングしたもの。 その後の作品と比べると、プロダクションは格段に悪く、 演奏を始め全体的な作りも粗い。チープさがそこはかとなく 感じられるし、まだ方向性もそれ程固まっていないところが 見受けられるが、扇情的な哀愁のメロディーは心を 引くものがある。N.W.O.B.H.M.ものの中ではより扇情的で哀愁を 醸し出しているものとしてはアップ・テンポの作品だ。[85]
N.W.O.B.H.M.末期に活躍したイギリスの ヘヴィ・メタル・バンドで、1984年にリリースされた 2ndアルバム。その後ボーカリストをVIC WRIGHTで新たに 録音し直しているが、これはオリジナル・ボーカリストの ALAN MARTHで制作されたものだ。扇情的で、緊迫感のある作品で、 整った声のVIC WRITEに比べればALAN MARSHのボーカルは 下手なりにも荒々しく迫力が出ている。ボーナス・トラックとして 6曲収められているマテリアルは1990年に制作されたものだけに、 プロダクション、内容ともかなり異なっている。[81]
アメリカ人ギタリストの7thアルバムで、基本は ギター・インストルゥーメンタル・アルバムなのだが、3曲 JEROME JONESという無名のシンガーが歌っている。やや 枯れた声質で味のあるボーカルでLittle Gem等は曲も良いが、 アルバムの統一性からすると疑問だ。それは恒例のショパンの Chopin Etude #12 Opus 10にも言える事なのだが、 ピアニストでもあるのでやりたくなるのは仕方がないのだろうか。 メインはいわゆるネオ・クラシカルでテクニカルな ギター・アルバムで、YNGWIEに比べると湿り気はない。 全曲とまでは言えないが、それなりに引き付けるメロディは 出てくるし、演奏については全く問題がないので、決して悪い 作品ではない。[79]
アメリカ人ギタリストの1993年にリリースされた2年振りの 5thソロ・アルバム。音楽的にはいわゆる ギター・インストルゥーメンタルと言うやつで、 ホーン・セクションを導入したファンキーな Albert's Fat Sister等あるものの、元々のネオクラシカル系的な 方向へと回帰して来ており、昔からのファンには割と納得出来る 作品と言って良いだろう。恒例とも言えるクラッシクのピアノ 演奏も入っていて、彼らしいスタイルの作品に仕上がっている。 割とエモーショナルな作品作りとなっており、生々しさを 感じさせてくれるアルバムだ。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。バンド自体は 実際にはデビュー前の1992年に解散しており、もう既に 存在しない。解散後に数年前ドイツよりリリースされた デビュー盤が非常にクオリティの高いものだった。今回、未発表の マテリアルを集めてリリースされた訳だが、1stに漏れた曲とは 思えぬ位、良い出来の楽曲が取り揃っており、このバンドの質の 高さが伺える。侘しさを感じさせる叙情的なメロディは素晴らしい 出来で、Adamの優しいボーカルも楽曲に良くあっている。バンド 自体が持っているオリジナリティと言い、作り出すサウンドの質の 高さと言い、これだけのバンドが地味に消えていったのは もったいない限りだ。[89]
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。永らく お蔵入りになっていたデビュー盤に続く2年振りの作品だ。 方向的にはアメリカらしい叙情さを湛え、非常にポップで キャッチーな楽曲が取り揃っている。厚みのあるコーラスも あいまって、楽曲によってはDEF LEPPARDを思い 起こさせてくれる。ミドル・テンポ中心で進んでいくが、この DEF LEPPARD的キャッチーさが実に気持ち良い。アコースティック 曲など入れて、彩りを加えているが、むしろこのキャッチーな メロディ・センスにもっと的を絞って作品作りしても良い位だ。 [83]
MARK MANGOLD率いるアメリカの プログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1980年に リリースされたデビュー盤とお蔵入りになってしまった2nd アルバムをカップリングした2枚組みのアルバム。 MONSTERS OF ROCKに収録されたDon't You Know What Love Is等、 ボーナス・トラックを収録して、まさしく完全版と言える作品だ。 成功を手に収めながらアルバム1枚で消えていったが、 お蔵入りした2ndアルバムもポップで哀愁のメロディがたっぷりと 配されていて、楽曲的には1stにも負けていない。ROGER GLOVERが プロデュースしたTake It Backは非常に素晴らしいアルバムで、 2ndアルバムをTODD RUNDGRENではなく、RODGER GLOVERが全曲 プロデュースしていればこのバンドの命運ももっと 変ったのではないかと思える。[88]
STYX、DAMN YANKEESのアメリカ人ギタリストによる11年振りの 4thソロ・アルバム。JACK BLADES、MICHAEL CARTELLONE、 TED NUGENT、MARCO MENDOZA等が参加している事もあってか、 STYXの様なプログレッシヴ・ロック的な部分はほとんどなく、 どちらかと言うとDAMN YANKKESの方がまだ近いだろう。叙情的な メロディがあるがより土臭いアメリカン・テイストの強い ロック・アルバムと言う感じのサウンドだ。ソロ作品と言う 事もあってかDAMN YANKKES程のハードさはなく、より普遍的な ロックという感じがする。楽曲の出来も中々で、1980年代っぽくて リラックスして聴ける良い作品だ。[82]
アメリカ人ギタリストの初のライヴ・アルバム。全編 ギター・インストルゥーメンタルで、その演奏の完成度の高さは 一瞬ライヴである事を忘れるほどだ。ピアノでも非凡な才能を持つ 彼だけに、The Sage等でギターの傍ら、ピアノもプレイして 見せている。クラシカルで叙情的なギター・フレーズは非常に 美しく、これを聴くだけでも十分価値がある。2ndアルバム、 MAXMUM SECURITYからの選曲が多いが、デビュー盤から最新まで まんべんなく選曲されていて、好感が持てる。クラシカルとは 言っても、フュージョンやファンク風のテイストがあって、 YNGWIE MALMSTEEN等とは一風違っている。その多様さが変化を 与えていて良い結果を生んでいるとも言える。[83]
N.W.O.B.H.M.バンドの未発表音源集。録音状態や内容的には、 比較的新しい音源の様で、プロダクションの状態もかなり良い。 彼等らしい作品かと言われればはなはだ疑問ではあるが、新しい バンドの新作と言えば通用しそうな感じだ。方向的には ミクスチャー的な部分も感じられるような、ファンキーでダークな 作品で、1990年代のアメリカのバンド的な匂いがする。楽曲の 出来は決して悪くないのだが、彼等がこれをやる意義は 見出せないし、第一ボーカルが合ってない。ファンキーな 部分があって、それなりには面白いが、彼等のファンからすると 期待外れだろう。[76]
N.W.O.B.H.M.バンドの未発表音源集。1990年頃に録音されたものの 様だが、さすがに未発表になっていただけあって、出来は 今一つだ。元々、L.A.メタルへのN.W.O.B.H.M.からの回答みたいな 感じのバンドではあったが、妙にアメリカナイズされ過ぎていて、 こなれておらず面白味に欠ける楽曲がずらりと並んでいるのは いかんともし難い。後半を過ぎると、やや古めの音源だと 思われる、No Resistance To LoveやOne White Lieと言った 叙情的なメロディのドラマティックな楽曲は、プロダクションは チープなものの中々良いだけに、この路線を保たないのは疑問が 残る。[75]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 3rdアルバム。N.W.O.B.H.M.のバンドとしては、非常に アメリカナイズされたキャッチーなメロディのヘヴィ・メタルだ。 VICKI JAMES WRIGHTのボーカルは、微妙なビブラートがあって、 下手ウマ的な感じがする。そのせいもあって、全体的にどことなく チープで、B級的な感じがするのはいがめないところだ。 N.W.O.B.H.M.的な煮えきらなさがないので、そう言う部分を 期待するとこのバンドの場合裏切られるが、出来は悪くない。 Monkeys Bloodが今一つタイプ的に違っていて違和感を 感じたりもするが。[79]
アメリカ人ギタリストのソロ・アルバム。いわゆる ネオ・クラシカル系と言われるギタリストだが、今作ではその 作風の趣はかなり異なっていると言って良いだろう。言わば プログレッシヴ・メタルと言っても良い様な作品で、彼の下手ウマ 的な高くて線の細いボーカルが、そう言った感をより一層 強くしている。そう言う意味で、キーボードの導入度はこれまで 以上に高いアルバムとなっている。はっきり言って、急にこう言う 方向転換をしてきた事には戸惑いを隠せないが、出来自体は 悪くない。ネオ・クラシカル的な色合いはなく、やや フュージョンっぽいプログレッシヴ・メタルで、あえて言うなら FATES WARNINGっぽさも感じる。[82]
アメリカのロック・バンドの2ndアルバム。方向的には オルタナティヴ・ロックの流れを汲む様な、モダンな感じのする ロック・アルバムだ。しかし、オルタナティヴ・ロックよりは もっと叙情的なメロディを押し出していて、よりアップ・テンポで 展開が良く感じられる。キャッチーで甘く悲しいメロディは、 どことなく古臭さも感じさせ、ENUFF Z'NUFFにも通ずる 感じすらある作品だ。とにかくメロディの出来は秀逸で、 地味な感じながらも中々聴きごたえのあるアルバムに 仕上がっている。とにかく、彼等のセンスの良さが 発揮されているし、十分引き付けるものはある作品だ。[84]
フィンランドのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。 方向的にはPARADISE LOST的な部分があり、この手のものとしては 珍しくゴシック・ロック的な色合いをはっきりと打ち出している。 とは言っても、基本にあるのはやはりゴシック・メタルで、耽美で 流麗なサウンドを聴かせてくれている。特にTONMI LILLMANによる キーボードの味付けが良く、華やかさと愁いを良く出している。 JAPE PERATALOのボーカルは、特別上手いと言う訳ではないが、 その透明感のある声質がバンドのサウンドに良く合っている。 フックがあってテンポも良くて、一気に聴かせてくれるので聴き 飽きない。[84]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンド、SODOMの中心人物による ソロ・アルバム。ソロ・アルバムと言うことだけあって、 SODOMとはかなり違った事をやっていて、ドイツらしい酒場で 歌われそうなのりの良いハード・ロックンロールをやっている。 楽曲は正に昔から歌われてきた酒場の歌だけあって当然なのだが、 まぁ言わばこう言った楽曲をハード・ロック・アレンジする 企画盤と言ったところだろう。陽気なコーラスを入れているところ 等、そう言った雰囲気が良く出ている。まぁ冗談みたいな 作品なので、しのごの言わず笑い飛ばして楽しめれば良い。[78]
フィンランドのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。 方向的には前作の延長線上と言えるもので、ゴシック・ロックの テイストを盛り込んだ、パワー・メタル系のゴシック・メタルだ。 よりニュー・ウェイブ色が濃くなっており、ポップさが押し 出されている。哀愁感と妖艶な雰囲気を湛えており、 ロマンティックなゴシック・メタルを聴かせてくれている。 パワー・メタル的な色合いがある分、テンポも良いし非常に聴き 易い作品に仕上がっている。 LULLACRYの女性ボーカリスト、 TANYAが前作に引き続きゲスト参加しており、叙情感を盛り 上げている。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。後にPRAYING MANTISやRICHIE BLACKMORE'S RAINBOW 等に加入するDOUGIE WHITEと共に、MIDNIGHT BLUEを結成する キーボード、JEM DAVISも在籍している。N.W.O.B.H.M.末期に 登場したバンドと言う事で、FMやSHY等と同じくハード・ポップ 色の強い、キャッチーなメロディのヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。どちらかと言うとワイルドさも感じさせる SNAKEのボーカルだけに、FMやSHYと比べるとよりアグレッションの 効いた作品作りがなされている。そこに割とキーボードが前面に 配されており、ポップさを演出している。N.W.O.B.H.M.としては、 やはりプロダクションはチープと言えるが、酷いと言う 程ではない。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 3年振りの2ndアルバム。N.W.O.B.H.M.末期に登場したバンドで、 この頃登場したSHYやFMと同じく、ハード・ポップ系のサウンドを 聴かせてくれているだけに、このアルバムを最後に 解散してしまったのは何とも残念だ。アメリカナイズされた キャッチーなメロディで、中々聴き易い作品に仕上がっている。 これと言う飛び抜けた楽曲はないが、メロディ・センスも 悪くないし、SHYやFMに決して負けないだけの持っていると思う。 憂いのあるものから、アップ・テンポののりの良いものまで バラエティも豊かだ。[82]
METODS OF MAYHEMのドラマーによる初のソロ・アルバム。メタル 側のリスナーには元MOTLEY CRUEと言う方が通りが良いかも 知れないが、ここで聴かれるサウンドはMETODS OF MAYHEMのそれの 延長線上と言って良いだろう。METODS OF MAYHEMの成功で、 1980年代的なMOTLEY CRUEとは全く違う、現代風のモダンな音楽 スタイルを築き上げたと言えるだろう。ここでもヒップ・ホップや ラップ、テクノと言った音楽の要素を取り入れたヘヴィ・ロックを 聴かせてくれており、METODS OF MAYHEMのファンならば十分満足の 行く作品と言って良いだろう。そこに、オルタナティヴ・ロック 的な部分やキャッチーさを盛り込んで、より落ち着いた地に足の 着いた感じのするアルバムに仕上がっている。[82]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2枚組のアルバム。非常に 強い侠気をまとったダークな作品で、そう言う意味ではNEUROSIS 等にも近い感じを受ける。NEUROSISと比べると、モダンな ハード・コア的な色合いがあり、よりアンダーグラウンド的な エッセンスを強く押し出した作品と言えるだろう。モデムの 接続音等のノイズを随所に入れて来りと、非常に 実験的でもあるが、それだけに一般受けする要素等まるでない。 ここまで狂気と暗黒を煮詰めた作品となると、こう言った変態的 狂気を受け入れられる人には非常に面白い内容に違いない。[84]