LIFE GOES ON / T.O.JOKER
カナダのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
初のフル・アルバム。デビュー・ミニ・アルバムではDEF LEPPARD
等の影響が強く見え、まだその方向性が定まっていない様に
感じられたが、この作品ではそう言った影響も消化して、より
不偏的なヘヴィ・メタルとなっている。方向性が定まった分、
バラエティさの彩りに欠ける気がするのは残念だが、Hauntedの
様な憂いを帯びた楽曲も取り入れていて、決して一本調子と言う
様な感じになってはいない。飛び抜けた楽曲はないが、カナダの
バンドらしい叙情性とキャッチーさを兼ね備えており、悪くない
作品だ。[83]
MORNING WOOD / TONY HARNELL, AL PITRELLI, CHUCK BONFANTE, DANNY MIRANDA
アメリカのプロジェクトのアルバム。ノルウェイの
ヘヴィ・メタル・バンド、TNTのアメリカ人ボーカリスト、
TONY HARNELLを中心としたプロジェクトで、SAVATAGEの
ギタリスト、AL PITRELLI等が参加している。音楽的には
アコースティック・アルバムと言えるものだが、あくまで
TONY HARNELLのプロジェクトと言うこと事を考えると、彼の
ボーカルを堪能出来ると言う意味では趣旨に沿っている。TNTの
セルフ・カバー、Tonighte I'm Fallingを始め、カバーが
中心となっており、非常にリラックスした雰囲気の味わい深い
作品に仕上がっている。[80]
PREMONITION / TONY MacALPINE
アメリカ人ギタリストの1994年にリリースした5thアルバム。
前作で発散した大胆な方向性の変化を求めたが、旧来の
ファンにとっては戸惑いを覚える作品で、評判が良くなかった事も
考慮して、初期の方向性に揺り戻している。当然、いわゆる
ギター・インストルゥーメンタル作品と言うやつなのだが、
この作品では彼らしいクラシカルなエッセンスに溢れている。
元OZZY OSBOURNE BAND、BAD ENGLISH、HARDLINEの
ドラマー、DEAN CASTRONOVO、元THE FIRM、BLUE MURDERの
ベーシスト、TONY FRANKLINが脇を固めているだけに、
演奏面では文句ない。[83]
BACK WHERE I BELONG / TONY MARTIN
元BLACK SABBATHのイギリス人ボーカリストの1992年に
リリースされた初のソロ・アルバム。JERUSALEMを
セルフ・カバーしているが、BLACK SABBATH的なエッセンスは
ほとんどなく、どちらかと言うとオーソドックスな
ハード・ロックをやっている。時にはブルージィさも見せ、
しみじみと彼のボーカルを聴かせてくれており、彼のボーカルの
素晴らしさが良く味わえる作品だ。楽曲自体も派手さはないが
粒が揃っており、GLENN HUGHESのソロ等にも通ずる部分がある。
元WHITESNAKE、GARY MOORE、BLACK SABBATHのベーシスト、
NEIL MURRAY、QUEENのギタリスト、BRIAN MAY等も参加している。
[87]
SURPRISE ATTACK / TORA TORA
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1989年に
リリースされたデビュー盤。この頃のハード・ロックンロールと
言うと、いわゆるバッド・ボーイズ・ハード・ロックンロールと
呼ばれるワイルドでグラマラスなハード・ロックンロールが
中心となって来ていたが、彼等はそう言うグラマラスな面も
持ちながら、非常にオーソドックスなものを聴かせてくれている。
28 Days等はMOTLEY CRUEっぽさを感じさせながらも、より
グルーヴ感を押し出したものとなっている。ブルーズ的な
エッセンスも強く感じられ、この手のバンドとしてはかなり
ユニークな作品と言って良いだろう。[85]
WILD AMERICA / TORA TORA
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1992年に
リリースされた3年振りの2ndアルバム。時代的には
バッド・ボーイズ・ハード・ロックンロール隆盛の頃に
活躍しながらも、ブルーズのエッセンスを取り入れた、
オーソドックスなハード・ロックンロールを聴かせてくれていた
バンドで、この作品でもそう言った方向性を貫かれている。割と
ラフでワイルドな感じのするグラマラスなサウンドで、聴き
応えもある作品に仕上がっている。スマッシュ・ヒットした
デビュー作からこれだけ時間が開いた理由は判らないが、その
出来は前作と比べても決して見劣りしない。[84]
A BIT ON THE SIDE / TORBEN SCHMIDT
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、SKAGARACKの
ボーカリストによる1992年にリリースされた初のソロ・アルバム。
EUROPEのギタリスト、KEE MARCELLOが参加しているが、それがある
意味、この作品のSKAGARACKとの大きな違いと言って良いだろう。
SKAGARACKはキーボードを割と押し出した作品作りをしているのに
対して、この作品ではギターをかなり前面に押し出した
作品となっている。それ故、ハード・ポップ的な色合いを感じる
SKAGARACKと比べると、よりロック然とした作品に
仕上がっている。When I Hold You In My Arms等は
アメリカン・ロックと言う感じすらする。[80]
TOUCH / TOUCH
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1980年に
リリースされたデビュー盤。叙情的なメロディを前面に押し
出したプログレッシヴ・ハード・ロックだ。アメリカの
バンドとしては珍しく、キーボードを押し出した。ポップさを
見せる反面、楽曲によってはブリティッシュ的な哀愁を押し
出したものもある。楽曲自体はそう言ったポップなものや、
ブリティッシュ的なものから、アメリカらしいものまで意外と
バラエティ豊かだ。プロダクションは今一つと言う感じもするが、
コーラスの上手さや楽曲のクオリティ等、そう言った面を補って
余りある。[84]
UNSIGNED / T.O.JOKER
カナダのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた
デビュー・ミニ・アルバム。その後フルレンス・アルバムを
出しているが、それと比べるとまだ方向性が定まっておらず、やや
散漫な印象を受ける作品になってしまっている。
Time Has No Mercy等は如何にもDEF LEPPARDっぽく、その後の
アルバムからは想像は出来ないだろう。もっとも逆にそれがこの
アルバムのアクセントになっていて、バラエティさが出ていて、
救いとなっている訳だが。後半は尻すぼみで、だれ気味の
構成になってしまっているのは残念だ。[78]
TOMORROW'S CHILD / TOMORROW'S CHILD
アメリカのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた
デビュー盤だが、実際にはアメリカ音楽市場の悪さもあいまって、
バンドはデビューする前に解散している。このアルバムはその後
ドイツでリリースされたものだ。RIK SCHAFFERのギターの音色は
U2を思い起こさせ、一風変わったハード・ロック・アルバムに
仕上がっている。非常に扇情的でオリジナリティの高い
音楽をやっており、これだけのバンドがほとんど活動できぬまま
解散したのは非常に惜しまれる。浮揚感のある哀愁を持った
メロディは実に不思議な枯れた世界を作っている。これと言った
楽曲はないのだが、全体的に出来は非常に良いし、微妙に
ビブラートのかかったADAMのボーカルも、RIK SCHAFFERの
ギターも実にそのサウンドに会っていて、派手さはないが味わい
深い作品だ。[91]
TODD DUANE / TODD DUANE
アメリカ人ギタリストによるギター・インストルーメンタルの
ソロ・アルバム。GIT出身のギタリストと言うだけあって、それに
違わぬテクニカルなプレイを聴かせてくれる。楽曲はどちらかと
言うとフュージョン系と言った感じのもので、耳に心地好く、軽い
音作りではあるがノリは良い。テクニック的にはもちろん
問題ないし、楽曲もこれといったものはないが、まずまずの
出来なので、フュージョン系が好きならばそれなりに
楽しめるはずだ。JOE SATRIANIのSURFING WITH THE ALIENに
比べると幾分落ち着いた印象を受けるアルバムに仕上がっている。
[79]
EVOLUTION / TONY MacALPINE
アメリカ人ギタリストのソロ6作目のアルバム。音楽的には、
言わずもがなだが、いわゆる
ギター・インストゥルーメンタルと言うやつで、最近の彼としては
若干フュージョンっぽい方向へとスライドしてきていたが、この
作品ではデビュー当時のようなネオ・クラシカル系の路線に戻って
来ている。美しいメロディに秀でたテクニックとこの手のものの
中でも完成度の高い作品に仕上がっているが、逆にこれといった
飛抜けたものもあまり感じられないのが残念だ。
クラッシック・ピアノをやっていただけあって、ピアノの演奏も
さすがだ。[79]
WORLD ON FIRE / TOUR DE FORCE
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。元MANOWARの
ROSS THE BOTH率いるHEYDAYにも参加していたCHALI CAYTEの
ボーカルは、特別にうまいというほどでもないが、中々
エモーショナルな歌唱を聴かせてくれていてバンドの雰囲気を
倍加している。これという個性は感じられないが、キャッチーで
美しいメロディの楽曲は良く出来ている。ハートフルな曲、哀愁の
メロディとバラエティには富んでいて飽きさせない中々良い
アルバムだ。楽曲、演奏と全体的な良く出来ているし
MICHAEL BOLTONのカバー、Tonightも哀愁味が出ていて良い
出来だ。[85]
TORCH / TORCH
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた
デビュー盤。北欧メタル初期に活躍したバンドで、この頃の多くの
バンドがそうである様に、N.W.O.B.H.M.の影響を受けた、
プロダクションの悪い作品だが、エネルギッシュでパワフルな
内容で、多分にダークさを持っており、いわゆる北欧メタルと
言うものとは一線を画している。歌いまわしはやや
IRON MAIDENっぽいが、楽曲のレベルはまだそこまでに
至っていない。録音状態も悪いし、あまり
特筆すべきものはないのだが勢いだけは感じる。もう少し
プロダクションが良くなればかなり変わったと思うのだが。[76]
AN ORDING NIGHT IN MY ORDINARY LIFE / TOMAS BODIN
スウェーデンのシンフォニック・ロック・バンド、
THE FLOWER KINGSのキーボードによるソロ・アルバム。故に
キーボードが中心の静かで、幻想的かつ叙情的な判りやすい
メロディがほとんどだが、ときおり思い出したかのように
フュージョンっぽいプログレッシヴ然とした複雑な展開が
入り込んでくる。これが結構突然で、それゆえ流れが見えず、
繋がりが悪く感じるときがある。キーボードによる美しい叙情的な
メロディが際立っているだけに、そういう流れといった部分を
うまくアレンジして表現できればかなり良くなったと思うのだが。
[79]
A LITTLE BIT OF FIRE / TOWER CITY
アメリカのハード・ロック・バンドCOLORVINEがバンド名を変える
以前の7年前に制作し、お蔵入りになっていてものを
CD化したもの。キーボードを前面に押し出した、甘く叙情的な
ポップ・ナンバーが並ぶ作品に仕上がっている。
メロディ・センスは中々良いのだが、アレンジ力という点では
まだまだで、自らの音楽を表現仕切れていない感がある。
LARRY SALTISのボーカルもミドル・レンジは良いのだが、
低音部でのだみ声がどうも雰囲気に合っていない。
楽曲によっては導入部が平凡でつまらない曲が、何曲があるのも
気になる。持ってるものは良いので、この辺りが改善されれば
かなり良くなるはずだ。[78]
NIGHT OF THE BLADE / TOKYO BLADE
N.W.O.B.H.M.末期に活躍したイギリスの
ヘヴィ・メタル・バンドで、ボーカリストをALAN MARTHに代わって
VIC WRIGHTで新たに録音直し1984年にリリースされた
2ndアルバムをCD化したもの。この頃にすれば録音状態は
かなりましな方で、扇情的で、緊迫感のある内容になっている。
VIC WRITEのボーカルは高音にやや幅のなさを感じるが、扇情的に
迫ってきて、バンドの方向性にはあっている。やや一本調子の感は
いがめないが、出来自体は悪くない。このCD化で注目すべきは
8曲も収められたボーナス・トラックで、12インチ・シングル、
ミニ・アルバムのLIGHTNING STRIKES、MADAME GUILLOTINE、
THE CAVE SESSIONにそれぞれ収められていたものだ。[81]
TOTAL STRANGER / TOTAL STRANGER
カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドのデビュー作。
VON GROOVEのMATTHEW GERRARDがプロデュースを
行っているだけあって、キャッチーなメロディの佳曲が
並んでいる。VON GROOVEよりは、アメリカ的な指向の強い
メロディで、哀愁のあるポップなナンバーからからっと明るい
ロック・ナンバーまで取り揃っている。エッヂの効いた
サウンドに、ややだみ声だがパワフルなボーカルも悪くない。
楽曲の出来、演奏のレベルもこの手のバンドではかなり上質の
作品で、プロダクション等もしっかりしていて中々の良作に
仕上がっている。[86]
TOKYO BLADE / TOKYO BLADE
N.W.O.B.H.M.後期に活躍したヘヴィ・メタル・バンドの1983年に
リリースされたデビュー盤にボーナス・トラックとして
ミニ・アルバムのMIDNIGHT RENDEZVOUSをカップリングしたもの。
その後の作品と比べると、プロダクションは格段に悪く、
演奏を始め全体的な作りも粗い。チープさがそこはかとなく
感じられるし、まだ方向性もそれ程固まっていないところが
見受けられるが、扇情的な哀愁のメロディーは心を
引くものがある。N.W.O.B.H.M.ものの中ではより扇情的で哀愁を
醸し出しているものとしてはアップ・テンポの作品だ。[85]
NIGHT OF THE BLADE-THE NIGHT BEFORE- / TOKYO BLADE
N.W.O.B.H.M.末期に活躍したイギリスの
ヘヴィ・メタル・バンドで、1984年にリリースされた
2ndアルバム。その後ボーカリストをVIC WRIGHTで新たに
録音し直しているが、これはオリジナル・ボーカリストの
ALAN MARTHで制作されたものだ。扇情的で、緊迫感のある作品で、
整った声のVIC WRITEに比べればALAN MARSHのボーカルは
下手なりにも荒々しく迫力が出ている。ボーナス・トラックとして
6曲収められているマテリアルは1990年に制作されたものだけに、
プロダクション、内容ともかなり異なっている。[81]
VIOLENT MACHINE / TONY MacALPINE
アメリカ人ギタリストの7thアルバムで、基本は
ギター・インストルゥーメンタル・アルバムなのだが、3曲
JEROME JONESという無名のシンガーが歌っている。やや
枯れた声質で味のあるボーカルでLittle Gem等は曲も良いが、
アルバムの統一性からすると疑問だ。それは恒例のショパンの
Chopin Etude #12 Opus 10にも言える事なのだが、
ピアニストでもあるのでやりたくなるのは仕方がないのだろうか。
メインはいわゆるネオ・クラシカルでテクニカルな
ギター・アルバムで、YNGWIEに比べると湿り気はない。
全曲とまでは言えないが、それなりに引き付けるメロディは
出てくるし、演奏については全く問題がないので、決して悪い
作品ではない。[79]
MADNESS / TONY MacALPINE
アメリカ人ギタリストの1993年にリリースされた2年振りの
5thソロ・アルバム。音楽的にはいわゆる
ギター・インストルゥーメンタルと言うやつで、
ホーン・セクションを導入したファンキーな
Albert's Fat Sister等あるものの、元々のネオクラシカル系的な
方向へと回帰して来ており、昔からのファンには割と納得出来る
作品と言って良いだろう。恒例とも言えるクラッシクのピアノ
演奏も入っていて、彼らしいスタイルの作品に仕上がっている。
割とエモーショナルな作品作りとなっており、生々しさを
感じさせてくれるアルバムだ。[80]
ROCKY COAST, ROUGH SEA / TOMORROW'S CHILD
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。バンド自体は
実際にはデビュー前の1992年に解散しており、もう既に
存在しない。解散後に数年前ドイツよりリリースされた
デビュー盤が非常にクオリティの高いものだった。今回、未発表の
マテリアルを集めてリリースされた訳だが、1stに漏れた曲とは
思えぬ位、良い出来の楽曲が取り揃っており、このバンドの質の
高さが伺える。侘しさを感じさせる叙情的なメロディは素晴らしい
出来で、Adamの優しいボーカルも楽曲に良くあっている。バンド
自体が持っているオリジナリティと言い、作り出すサウンドの質の
高さと言い、これだけのバンドが地味に消えていったのは
もったいない限りだ。[89]
ALL OR NOTHING / TOWER CITY
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。永らく
お蔵入りになっていたデビュー盤に続く2年振りの作品だ。
方向的にはアメリカらしい叙情さを湛え、非常にポップで
キャッチーな楽曲が取り揃っている。厚みのあるコーラスも
あいまって、楽曲によってはDEF LEPPARDを思い
起こさせてくれる。ミドル・テンポ中心で進んでいくが、この
DEF LEPPARD的キャッチーさが実に気持ち良い。アコースティック
曲など入れて、彩りを加えているが、むしろこのキャッチーな
メロディ・センスにもっと的を絞って作品作りしても良い位だ。
[83]
THE COMPLETE WORKS I & II / TOUCH
MARK MANGOLD率いるアメリカの
プログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1980年に
リリースされたデビュー盤とお蔵入りになってしまった2nd
アルバムをカップリングした2枚組みのアルバム。
MONSTERS OF ROCKに収録されたDon't You Know What Love Is等、
ボーナス・トラックを収録して、まさしく完全版と言える作品だ。
成功を手に収めながらアルバム1枚で消えていったが、
お蔵入りした2ndアルバムもポップで哀愁のメロディがたっぷりと
配されていて、楽曲的には1stにも負けていない。ROGER GLOVERが
プロデュースしたTake It Backは非常に素晴らしいアルバムで、
2ndアルバムをTODD RUNDGRENではなく、RODGER GLOVERが全曲
プロデュースしていればこのバンドの命運ももっと
変ったのではないかと思える。[88]
7 DEADLY ZENS / TOMMY SHAW
STYX、DAMN YANKEESのアメリカ人ギタリストによる11年振りの
4thソロ・アルバム。JACK BLADES、MICHAEL CARTELLONE、
TED NUGENT、MARCO MENDOZA等が参加している事もあってか、
STYXの様なプログレッシヴ・ロック的な部分はほとんどなく、
どちらかと言うとDAMN YANKKESの方がまだ近いだろう。叙情的な
メロディがあるがより土臭いアメリカン・テイストの強い
ロック・アルバムと言う感じのサウンドだ。ソロ作品と言う
事もあってかDAMN YANKKES程のハードさはなく、より普遍的な
ロックという感じがする。楽曲の出来も中々で、1980年代っぽくて
リラックスして聴ける良い作品だ。[82]
LIVE INSANITY / TONY MacALPINE
アメリカ人ギタリストの初のライヴ・アルバム。全編
ギター・インストルゥーメンタルで、その演奏の完成度の高さは
一瞬ライヴである事を忘れるほどだ。ピアノでも非凡な才能を持つ
彼だけに、The Sage等でギターの傍ら、ピアノもプレイして
見せている。クラシカルで叙情的なギター・フレーズは非常に
美しく、これを聴くだけでも十分価値がある。2ndアルバム、
MAXMUM SECURITYからの選曲が多いが、デビュー盤から最新まで
まんべんなく選曲されていて、好感が持てる。クラシカルとは
言っても、フュージョンやファンク風のテイストがあって、
YNGWIE MALMSTEEN等とは一風違っている。その多様さが変化を
与えていて良い結果を生んでいるとも言える。[83]
PUMPHOUSE / TOKYO BLADE
N.W.O.B.H.M.バンドの未発表音源集。録音状態や内容的には、
比較的新しい音源の様で、プロダクションの状態もかなり良い。
彼等らしい作品かと言われればはなはだ疑問ではあるが、新しい
バンドの新作と言えば通用しそうな感じだ。方向的には
ミクスチャー的な部分も感じられるような、ファンキーでダークな
作品で、1990年代のアメリカのバンド的な匂いがする。楽曲の
出来は決して悪くないのだが、彼等がこれをやる意義は
見出せないし、第一ボーカルが合ってない。ファンキーな
部分があって、それなりには面白いが、彼等のファンからすると
期待外れだろう。[76]
MR.ICE / TOKYO BLADE
N.W.O.B.H.M.バンドの未発表音源集。1990年頃に録音されたものの
様だが、さすがに未発表になっていただけあって、出来は
今一つだ。元々、L.A.メタルへのN.W.O.B.H.M.からの回答みたいな
感じのバンドではあったが、妙にアメリカナイズされ過ぎていて、
こなれておらず面白味に欠ける楽曲がずらりと並んでいるのは
いかんともし難い。後半を過ぎると、やや古めの音源だと
思われる、No Resistance To LoveやOne White Lieと言った
叙情的なメロディのドラマティックな楽曲は、プロダクションは
チープなものの中々良いだけに、この路線を保たないのは疑問が
残る。[75]
BLACKHEARTS & LADED SPADES / TOKYO BLADE
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
3rdアルバム。N.W.O.B.H.M.のバンドとしては、非常に
アメリカナイズされたキャッチーなメロディのヘヴィ・メタルだ。
VICKI JAMES WRIGHTのボーカルは、微妙なビブラートがあって、
下手ウマ的な感じがする。そのせいもあって、全体的にどことなく
チープで、B級的な感じがするのはいがめないところだ。
N.W.O.B.H.M.的な煮えきらなさがないので、そう言う部分を
期待するとこのバンドの場合裏切られるが、出来は悪くない。
Monkeys Bloodが今一つタイプ的に違っていて違和感を
感じたりもするが。[79]
MASTER OF PARADISE / TONY MacALPINE
アメリカ人ギタリストのソロ・アルバム。いわゆる
ネオ・クラシカル系と言われるギタリストだが、今作ではその
作風の趣はかなり異なっていると言って良いだろう。言わば
プログレッシヴ・メタルと言っても良い様な作品で、彼の下手ウマ
的な高くて線の細いボーカルが、そう言った感をより一層
強くしている。そう言う意味で、キーボードの導入度はこれまで
以上に高いアルバムとなっている。はっきり言って、急にこう言う
方向転換をしてきた事には戸惑いを隠せないが、出来自体は
悪くない。ネオ・クラシカル的な色合いはなく、やや
フュージョンっぽいプログレッシヴ・メタルで、あえて言うなら
FATES WARNINGっぽさも感じる。[82]
SUGAR / TONIC
アメリカのロック・バンドの2ndアルバム。方向的には
オルタナティヴ・ロックの流れを汲む様な、モダンな感じのする
ロック・アルバムだ。しかし、オルタナティヴ・ロックよりは
もっと叙情的なメロディを押し出していて、よりアップ・テンポで
展開が良く感じられる。キャッチーで甘く悲しいメロディは、
どことなく古臭さも感じさせ、ENUFF Z'NUFFにも通ずる
感じすらある作品だ。とにかくメロディの出来は秀逸で、
地味な感じながらも中々聴きごたえのあるアルバムに
仕上がっている。とにかく、彼等のセンスの良さが
発揮されているし、十分引き付けるものはある作品だ。[84]
ALL ETERNITY / TO/DIE/FOR
フィンランドのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。
方向的にはPARADISE LOST的な部分があり、この手のものとしては
珍しくゴシック・ロック的な色合いをはっきりと打ち出している。
とは言っても、基本にあるのはやはりゴシック・メタルで、耽美で
流麗なサウンドを聴かせてくれている。特にTONMI LILLMANによる
キーボードの味付けが良く、華やかさと愁いを良く出している。
JAPE PERATALOのボーカルは、特別上手いと言う訳ではないが、
その透明感のある声質がバンドのサウンドに良く合っている。
フックがあってテンポも良くて、一気に聴かせてくれるので聴き
飽きない。[84]
EIN SCHONER TAG / TOM ANGELRIPPER
ドイツのスラッシュ・メタル・バンド、SODOMの中心人物による
ソロ・アルバム。ソロ・アルバムと言うことだけあって、
SODOMとはかなり違った事をやっていて、ドイツらしい酒場で
歌われそうなのりの良いハード・ロックンロールをやっている。
楽曲は正に昔から歌われてきた酒場の歌だけあって当然なのだが、
まぁ言わばこう言った楽曲をハード・ロック・アレンジする
企画盤と言ったところだろう。陽気なコーラスを入れているところ
等、そう言った雰囲気が良く出ている。まぁ冗談みたいな
作品なので、しのごの言わず笑い飛ばして楽しめれば良い。[78]
EPILOGUE / TO/DIE/FOR
フィンランドのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。
方向的には前作の延長線上と言えるもので、ゴシック・ロックの
テイストを盛り込んだ、パワー・メタル系のゴシック・メタルだ。
よりニュー・ウェイブ色が濃くなっており、ポップさが押し
出されている。哀愁感と妖艶な雰囲気を湛えており、
ロマンティックなゴシック・メタルを聴かせてくれている。
パワー・メタル的な色合いがある分、テンポも良いし非常に聴き
易い作品に仕上がっている。 LULLACRYの女性ボーカリスト、
TANYAが前作に引き続きゲスト参加しており、叙情感を盛り
上げている。[80]
WILD ON THE RUN / TOBRUK
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
デビュー盤。後にPRAYING MANTISやRICHIE BLACKMORE'S RAINBOW
等に加入するDOUGIE WHITEと共に、MIDNIGHT BLUEを結成する
キーボード、JEM DAVISも在籍している。N.W.O.B.H.M.末期に
登場したバンドと言う事で、FMやSHY等と同じくハード・ポップ
色の強い、キャッチーなメロディのヘヴィ・メタルを
聴かせてくれている。どちらかと言うとワイルドさも感じさせる
SNAKEのボーカルだけに、FMやSHYと比べるとよりアグレッションの
効いた作品作りがなされている。そこに割とキーボードが前面に
配されており、ポップさを演出している。N.W.O.B.H.M.としては、
やはりプロダクションはチープと言えるが、酷いと言う
程ではない。[81]
PLEASURE + PAIN / TOBRUK
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
3年振りの2ndアルバム。N.W.O.B.H.M.末期に登場したバンドで、
この頃登場したSHYやFMと同じく、ハード・ポップ系のサウンドを
聴かせてくれているだけに、このアルバムを最後に
解散してしまったのは何とも残念だ。アメリカナイズされた
キャッチーなメロディで、中々聴き易い作品に仕上がっている。
これと言う飛び抜けた楽曲はないが、メロディ・センスも
悪くないし、SHYやFMに決して負けないだけの持っていると思う。
憂いのあるものから、アップ・テンポののりの良いものまで
バラエティも豊かだ。[82]
NEVER A DULL MOMENT / TOMMY LEE
METODS OF MAYHEMのドラマーによる初のソロ・アルバム。メタル
側のリスナーには元MOTLEY CRUEと言う方が通りが良いかも
知れないが、ここで聴かれるサウンドはMETODS OF MAYHEMのそれの
延長線上と言って良いだろう。METODS OF MAYHEMの成功で、
1980年代的なMOTLEY CRUEとは全く違う、現代風のモダンな音楽
スタイルを築き上げたと言えるだろう。ここでもヒップ・ホップや
ラップ、テクノと言った音楽の要素を取り入れたヘヴィ・ロックを
聴かせてくれており、METODS OF MAYHEMのファンならば十分満足の
行く作品と言って良いだろう。そこに、オルタナティヴ・ロック
的な部分やキャッチーさを盛り込んで、より落ち着いた地に足の
着いた感じのするアルバムに仕上がっている。[82]
SADNESS WILL PREVAIL / TODAY IS THE DAY
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2枚組のアルバム。非常に
強い侠気をまとったダークな作品で、そう言う意味ではNEUROSIS
等にも近い感じを受ける。NEUROSISと比べると、モダンな
ハード・コア的な色合いがあり、よりアンダーグラウンド的な
エッセンスを強く押し出した作品と言えるだろう。モデムの
接続音等のノイズを随所に入れて来りと、非常に
実験的でもあるが、それだけに一般受けする要素等まるでない。
ここまで狂気と暗黒を煮詰めた作品となると、こう言った変態的
狂気を受け入れられる人には非常に面白い内容に違いない。[84]