SCRATCH AND BITE / TREAT

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。非常にアメリカナイズされたヘヴィ・メタルで、 北欧メタルっぽさはあまり感じられない。北欧メタル的な憂いを 帯びた叙情派的な部分はあまりなく、どちらかと言うと明るく のりの良さを感じさせるChangesやGet You On The Run等の哀愁を 効かせたアメリカン・ハード・ポップ風の楽曲が並んでいる。 そう言う意味ではBON JOVI辺りにも通ずる部分もあるが、もっと ミドル・テンポに主眼を置いたサウンドだと言えるだろう。 ブリティッシュっぽさも加味しながら、北欧メタルとしてはかなり 特異な方向性を持っていて面白い。[83]

ORGANIZED CRIME / TREAT

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 4thアルバム。元々北欧のバンドらしくない、 アメリカナイズされたヘヴィ・メタルを聴かせてくれていたが、 今作でもその方向性は変わっていない。だが、今作では ブルージィなエッセンスが強く出ており、それは PATRICK APPELGRENのハモンド・オルガン風のキーボードや、 ANDERS WIKSTROMのギターに良く現れている。特にバラードの Stay Away等はブルージィで、この頃原点回帰としてブルーズに 歩み寄ったアメリカのバンド等と同じ感じがするが、出来自体は 悪くない。[84]

TREAT / TREAT

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3年振りの5thアルバム。中心メンバーでもあった、ボーカリストの ROBERT ERNLUNDが脱退し、元SWEDISH EROTICAのMATT LEVENが 加入している。前作ではブルージィな面が押し出され、ポップ色の 薄い作品となっていたが、今作ではその路線を更に押し進めた 形となっている。MATT LEVENのボーカルもあって、よりパワフルで グルーヴィなサウンドとなっており、元々アメリカナイズされた 音楽性を見せていたが、そう言った部分が際立っている。そう 言った意味では、ポップ性や叙情性は減退しており、初期の ファンには少し辛いかも知れない。[80]

THE WORKS / TRESPASS

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた アルバム。N.W.O.B.H.M.当時の音源を集めたレア音源集で、 解散までにリリースされた3枚のシングルと、未発表 音源からなっている。実際にはそれまで1枚のアルバムも リリースしておらず、ほとんど全ての音源と言って良いだろう。 後に中心メンバーであったSUTCLIEFE兄弟がBLUE BLOODを 結成しており、そちらの方で記憶している人の方が多いかも 知れない。N.W.O.B.H.M.らしい、哀愁に満ちたメロディの、 ロックンロールを基調とした、煮え切らなさを感じさせる楽曲が 中心で、実際の完成度はともかくとして、N.W.O.B.H.M.の ファンからすると垂涎のアルバムだろう。[89]

LUST PROVIDER / TRILOGY

スウェーデンのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。再結成しての作品だが、実質はEUROPEのドラマー、 IAN HAUGLANDを中心としたプロジェクトと言った方が良いだろう。 方向的には1970年代的なオーソドックスなハード・ロックを 基調としたもので、ややブルージィな感じのするアルバムに 仕上がっている。ベーシスト兼ボーカリスト、MARC GRANSTENの 野太い声質もあって、非常に男臭いハード・ロックを 聴かせてくれている。洗練さとは対極にある様な作品だが、それ 故にパワフルでエネルギッシュさを非常に感じさせる作品だ。[80]

NEVER SURRENDER / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1983年にリリースされた 2年振りの6thアルバム。前作がスマッシュ・ヒットし、上り 坂にあった彼等の最高傑作と言って良いだろう。All The Wayや A World Of Fantasy、Never Surrenderと言った憂いを帯びた メロディを押しだした佳曲があり、カナダのバンドらしい叙情性も 兼ね備えている。カナダのバンドとしては、よりヘヴィで メタリックな音作りがなされており、ヘヴィ・メタル・シーンが 盛り上がって行く中での名作の一つと言って良いだろう。 扇情感のある格好の良いハード・ロックで、ギタリスト兼任の RIK EMMETTのハイ・トーンのボーカルも良い味付けになっている。 [90]

SURVEILLANCE / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた 9thアルバム。これまでヘヴィでハードな音楽性を 聴かせてくれていたが、前作でよりポップでキャッチーなものへと 変質して行った。今作でも前作でのハード・ポップ性と言う路線を 継承しながらも、よりハードな音作りがなされており、やや揺り 戻した印象を受けるアルバムに仕上がっている。ALLIED FORCESの 頃とまでは行かずともかなりヘヴィで、そこに前作で見られた ポップ性を織り込んでいると言う点においては、前作での行き 過ぎたハード・ポップ化への反省が見られる。とは言え、以前と 比べると明らかに洗練された印象があり、あのぎらついた感性が 伝わり難いところもある。[83]

EDGE OF EXCESS / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 5年振りとなる10thアルバム。ギタリスト兼ボーカリスト、 RIK EMMETTのポップ指向と、ベーシスト、MIKE LEVINEと ドラマー、GIL MOOREのハード指向のギャップが決定的となり、 遂にRIK EMMETTの脱退と言う事体を迎え、長い沈黙を 余儀なくされたが、元FROZEN GHOSTのギタリスト、PHIL Xを迎え、 GIL MOOREがボーカリストを兼任すると言う形での再出発となった 作品だ。それだけに、よりハードな音楽性へと戻っているが、 叙情性はかなり減退していると言う、RIK EMMETTが居なくなった 事を象徴する作品と言って良いだろう。決して悪い 作品ではないのだが、RIK EMMETTのハイ・トーン・ボーカルが 無くなった事で、彼等の特徴が感じられなくなってしまっている。 [80]

TRIXTER / TRIXTER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。時代的にはヘヴィ・メタルは完全に斜陽を迎え、 バット・ボーイズ・ハード・ロックンロール勢が頑張っていると 言う状況において、正統的なアメリカン・ヘヴィ・メタルを 聴かせてくれており、それでもスマッシュ・ヒットを記録したのは 驚嘆に値するし、アメリカのヘヴィ・メタル・シーンで最も末期に 成功を手にしたバンドと言って良いだろう。叙情的なメロディは 素晴らしく、ヒットしたバラードのSurrenderや憂いを感じさせる キャッチーなHeart Of Steel等、優れた楽曲も多く、それだけの 価値がある。[83]

HEAR! / TRIXTER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。時代的にはL.A.メタルから バット・ボーイズ・ハード・ロックンロールへと移り、 ロックンロールを基調としながらも、如何にもアメリカ的と言った ヘヴィ・メタル聴かせてくれている。そう言った意味では遅れて 来たバンドと言った感じだが、Surrenderのスマッシュ・ヒットで 注目を浴びる形となった。前作同様、As The Candle Burnsや Runaway Trainと言ったバラードも収められているが、今作では よりハードな作品作りがなされており、勢いの感じられる アルバムに仕上がっている。[82]

TROUBLE / TROUBLE

アメリカのドゥーム・メタル・バンドの1989年にリリースされた 3年振りの4thアルバム。BLACK SABBATH直系のおどろおどろしい ドゥーム・メタルが彼等の身上だが、前作ではレーベルとの認識の ずれから、焦点のぼやけた作品となってしまっていたが、今作では レーベルも移籍し、心機一転彼等らしいサウンドを 聴かせてくれている。歌詞は聖書を題材としながらも、ダークな サウンドと言うミス・マッチさは相変わらずで、それが彼等の持ち 味と言って良いだろう。楽曲の出来も良く、個性も良く出ていて、 彼等としては初期の傑作に上げれるだけの作品に仕上がっている。 [83]

MANIC FRUSTRATION / TROUBLE

アメリカのドゥーム・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3年振りの5thアルバム。基本的にはこれまでの音楽性を 踏襲しながらも、より1970年代的なものへとその方向性を 変えている。ダークさは軽減され、よりサイケデリックで グルーヴィさを押し出したものとなっており、そう言う意味では、 その後のヘヴィ・ロック・シーンに繋がる作品と言っても 良いだろう。特に顕著なのは'Scuse MeやHello Strawberry Skies 等で、ミドル・テンポ中心の楽曲をこれまでやって来た 彼等としては珍しいアップ・テンポの楽曲で、これまでなかった のりの良さも感じられるアルバムに仕上がっている。曲間を 開けず、繋げてしまって一気に聴かせてしまうところも面白い。 [88]

TRUST / TRUST

フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた ライヴ盤。1980年に行われたフランスでのツアーの模様を 収めたものだ。N.W.O.B.H.M.とともに登場し、フランスでは最も 知られたヘヴィ・メタル・バンドと言って良いだろう。後に IRON MAIDENに加入する事になる、ドラマーのNICKO McBRAINを 排出し、入れ替わりにIRON MAIDENを辞めたCLIVE BURRが一時 加入したりもしていた。ノイズはあるものの、昔の音源としては クリアで録音状況は悪くない。フランス語でボーカルにはやはり 違和感を感じる部分があるが、ロックンロールを基調とした アップ・テンポの楽曲をやっているだけに、のりは良い。[80]

THE SKULL / TROUBLE

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。方向的にはデビュー盤同様、初期BLACK SABBATHの 方向性を受け継いだもので、より重厚でおどろおどろしい作品に 仕上がっている。Fear No Evil等、如何にもと言う感じの BLACK SABBATH的なリフが格好良い。ERIC WAGNERのボーカルは、 OZZY OSBOURNEとは異質のもので、WITCHFINDER GENERAL等の様に かなり意識的にボーカル・スタイルを似せたりしている 訳ではない。おどろおどろした怪奇さが全面に押し出されていて、 雰囲気はある作品だが、楽曲の出来には残念ながら波がある。[79]

PSALM 9 / TROUBLE

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの1984年にリリースされた デビュー盤。如何にも初期BLACK SABBATHを思わせる、 ドゥーミィなギターリフがおどろおどろしく雰囲気を盛り 上げている。OZZY OSBOURNEのボーカルを意識し過ぎたのか、 ERIC WAGNERのボーカルは、THE SKULL以上に違和感が 感じられるのが残念だ。プロダクションも決して良いとは言えず、 音のバランスも良くないし、マイナーなバンドのデビュー盤に ありがちな録音状態だと言って良いだろう。しかし、逆に そのおかげで荒々しい迫力も見えてくるし、曲もそう言ったものに 見合ったものになっている。BLACK SABBATHよりはヘヴィで、 独自の雰囲気を持っていて、個性としては悪くない。[75]

RUN TO THE LIGHT / TROUBLE

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの1987年にリリースされた 3rdアルバム。方向的には、OZZY OSBOURNE在籍時代の BLACK SABBATH型真性ドゥーム・メタルで、BLACK SABBATHより ヘヴィでダークネスだ。演奏、楽曲は残念ながら BLACK SABBATHには及ぶべくもないが、緊迫感は良く出ているし、 おどろおどろしさはこの手のものでも、CANDLEMASSと並んで郡を 抜いている。そのおどろおどろしさが、このアルバムではクリアな 音作りのため、やや軽く感じるのは残念だ。このバンドとしては 特にどうこう言う作品ではないが、特に悪くはないし、 バンドらしい味わいもある。[78]

WELCOME TO PARADISE / TRADIA

アメリカのハード・ポップ・バンドの1995年にリリースされた アルバム。実際には、1988年に2ndアルバムとして 録音されたのだが、お蔵入りしてしまっていた物を発掘して CD化したものだ。基本路線は産業ロック風のキーボード中心の ハード・ポップで、非常に聴き易い楽曲が取り揃っている。 明る目の曲は爽やかではあるが、今一つ煮え切らない感を 受けるが、味わいがあるし、Hard Timeを始め、憂いを含んだ曲は 本当に素晴らしい。これが何故お蔵入りになったのか、 信じられない位楽曲のクオリティは高いし、アルバムとしての 仕上がりも十分満足の行くものだ。キャッチーで美しい楽曲の ハード・ポップが好きならば訴えて来るものがあるはずだ。[88]

IN THE BEGINNING / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1976年にリリースされた デビュー盤。後にメロディアス・ハード・ロック・バンドとして、 一世を風靡する事になるが、この作品ではまだデビュー作と言う 事もあってか、方向性は散漫だし、Let Me Get Next To You等は 明らかにLED ZEPPELINのRock N' Rollから取っているのが見て 取れる。RIK EMMETTのギター・プレイもそれ程印象的ではないが、 Blinding Light Showに見られるアコースティック・ギター等は、 以降のTRIUMPHの原形を見る事が出来る。粗削りではあるが、 原石の煌きは感じる事が出来る作品だ。[75]

ROCK & ROLL MACHINE / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1977年にリリースされた 2ndアルバム。前作同様、まだ自身の方向性が 決定付けられておらず、ロックンロール調の曲から プログレッシヴ・ロック風の曲まで、幅広いと言うより、やや 散漫な構成になっている。後のメロディアス・ハードを連想させる 様な大作、The Cityもあるものの、全体的にはまだそういう要素を 十分消化しきっていない感じだ。特にタイトル・トラックなどは 所々Speed Kingであったりするし、完成度においてはまだまだと 言ったところだろう。[77]

JUST A GAME / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1979年にリリースされた 3rdアルバム。メジャー移籍第一弾となったアルバムでそれまで、 まだバンドの方向性がはっきりと定まっていなかったが、この アルバムで遂に、後のNEVER SURRENDER、THUNDER SEVENと言った エナジー溢れるメロディアスなハード・ロック・サウンドを 確立したと言って良いだろう。完成度という点ではそれらの作品に 及ばないが、Just A Game等を初め曲の出来も良い。 Young Enough To Cryを始め、愁いを含んだ叙情的な ハード・ロック・ナンバーからは、哀しいメロディが心に染み 渡って来る。[83]

PROGRESSIONS OF POWER / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1980年にリリースされた 4thアルバム。前作で、後に築き上げる、扇情的で美しい メロディアス・ヘヴィ・メタルと言う方向性の原点の様なものが 感じられるようになったが、この作品では、前作より初期に揺り 戻した感がある。ロックンロール色、ブルーズ色が強く出ている アルバムで、哀愁味と言う点ではハード・バラード的な 曲はないし、どちらかと言うとのりの良い作品だ。 NEVER SURRENDERよりもTHUNDER SEVENが好きな人の方がまだ 受けるのではないだろうか。楽曲的には悪くないが、飛抜けた 曲もないので、今一つ面白味が感じられない。[79]

ALLIED FORCES / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドの1981年にリリースされた 5thアルバム。このアルバムがスマッシュ・ヒットして次作の NEVER SURRENDERでブレイクする足がかりとなるのだが、 方向的には少し連動しない部分がある。NEVER SURRENDERよりは かなりロックンロール色が強い作品で、 Hot Time(In This City Tonight)等は如何にもと言った感じの ハード・ロックンロール・ナンバーだ。しかし、 Fight The Good FightなどはNever Surrenderへの布石とも 言える、非常にドラマティックなナンバーに仕上がっている。 [84]

BEFORE YOUR VERY EARS / TRIARCHY

N.W.O.B.H.M.バンドのお蔵入りしていた音源を中心に CD化したもの。集録されているのは、再結成して新しく録音した Hiroshimaを含めた全9曲入りで、新曲以外は全て1983年以前に 録音されたものだ。復活しての新曲は昔と変わるところはなく、 音質も悪いのでクレジットがなければ昔の曲と区別はあまり 出来ないだろう。当時はシングルが2枚だけリリースされており、 そのうちSave The Khanも集録されている。いかにも N.W.O.B.H.M.らしい楽曲ではあるが、この手ではかなりキボードが 前面に押し出されていて、プログレッシヴ・ロック的なセンスも 一部感じることがある。特に飛抜けた曲がある訳でもないし、 B級を越えるものではないがN.W.O.B.H.M.ファンには十分納得 出来る作品ではあると思う。[83]

ONE WITH DARKNESS / TRISTITIA

北欧のゴシック/デス・メタル・バンドでケースは デジ・パックだが、自費出版のようだ。一曲目で延々と アコースティック・ギターによる インストゥルーメンタル・ナンバーが流れたり、 女性ソプラノ・コーラスが続いたりと如何にも ゴシックというような荘厳な雰囲気をかもしだしている。 ボーカルは声質を二つ切り分けて使うAMORPHIS的な手法を 取っており、片一方は完全なデス・ボイス、もう一方は野太い 陰鬱なボーカルで両方とも聴きやすいという感じではない。 アコースティックやキーボードの使い方は絶品だが、やはりこの ボーカルが受け入れられるかどうかの大きな 分岐点になっているだろう。とにかく、これまで出たほかの どのゴシック・メタルと比べても陰鬱だ。[85]

PLASTIC GREEN HEAD / TROUBLE

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの6thアルバム。初期 BLACK SABBATH的な色合いを強く見せていた4thアルバムまでの 方向性から、前作ではグルーヴィな方へと大きく転換を 計っており、非常にのりの良い中々の力作となっていた。今作も 言わばその延長線上にあると言える作品になっているのだが、 グルーヴィさでは前作より一歩劣り、のりは今一つだし、それ 以前のドゥームらしさを押し出している訳でも別にないので、 どうしても中途半端な感がいがめない。ヘヴィさだけが 突出している感じで、楽曲にも前作ほど印象的な曲がないのは 残念だ。[81]

UNDERCOVER / TRIXTER

アメリカのハード・ロック・バンドのカバー・バージョンばかり 集めた企画盤で、GREAT WHITEのRECOVERY LIVEみたいな 主旨なのだろう。GREAT WHITEと違うのはハード・ロックに 捕らわれない、幅広い選曲をしている点だろう。SUPER TRUMPの Take The Long Way Homeなど、彼等の音楽からはあまり 想像がつかない曲等もあり、幅広い音楽性を認識させてくれる。 純然としたハード・ロックと言えるのは、AC/DCの Dirty Deeds Done Dirt Cheap位だ。とは言え、各々の楽曲を 自分たちのものとして、良く消化出来ており、出来は中々良い。 [83]

TREDEGAR / TREDEGAR

イギリスのハード・ロック・バンドの未発表音源集。BUDGIEの メンバーによるバンドで、詳細は良く判らないが、メンバー的に 一貫して在籍しているのはドラマーのRAY PHILLIPSだけだ。 音源的には1978年から1991年迄の、非常に長い期間に録音された 音源の寄せ集めのようだが、その間どういった活動をしてきたかも 良く判らない。オーストラリアでファン・クラブ用に 作られたものらしく、アナログ・シングル用のパックにCDが 入れられているという風変わりなパッケージだ。1991年の最新の 音源は古めかしく作ってあるが、さして面白い曲ではないし、それ 以前のものの方が面白いが、どちらにしろマニア向け以上の 物ではないと言って良いだろう。[65]

IN CONCERT / TRIUMPH

カナダのハード・ロック・バンドのライヴ盤。ラジオ番組、 KING BISCUIT FLOWER HOUR放送用に集録されたものを CD化したものだ。1981年の音源で、時代的にはALLIED FORCESを リリースして、次作NEVER SURRENDERでバンドとしての頂点を 究めると言う、言わば最も脂の乗っていた頃のもので、 バンドとしての勢いを感じる作品だ。ラジオ用という事もあり、 変な処理は一切加えられておらず、非常に生々しい迫力を 伝えていて、彼等の後のライヴ作品、STAGESとはまた違った 雰囲気を味わえる。RIK EMMETTのヘヴィなギター、 ドラマティックで情感たっぷりな演奏は感動出来る。[86]

HEARTCORE / TRANSIT

スイスのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。キャッチーなメロディの硬質な明るい ハード・ロックだが、まずまずのりもあって素養としては 悪くない。ヨーロッパのバンドらしいメロディ・センスを 持っているし、楽曲も平均的ながら一応に楽しめる出来なのだが、 在り来たりでこれはと言ったものがなくて、コーラスを大幅に 入れていたりしているが、山場に欠ける感じは遺憾ともし難い。 全体的に明るめの洗練された楽曲で、テンポは良いのでのりは 感じられるし、センスは良いと思うのだが。[76]

LINE OF FIRE / TRACE

ドイツ出身のメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドで、今は亡き LONG ISLAND RECORDからのデビュー盤。キーボードはかなり大幅に 取り入れられているが、バランス的に前に出過ぎとは感じさせず、 そのセンスは中々良い。ドラマティックで湿り気を帯びた美しい 楽曲は扇情的で格好良く、非常に良い出来で素晴らしい。時には 扇情的に迫ってくるギターを始め、バックの演奏も楽曲を 生かしている。楽曲、演奏ともかなり高レベルなのだが、唯一 残念なのはボーカルの出来だ。作品をぶち壊すほど酷いとか 下手という訳では決してないし、クリアな声質はバンドの 色合いから外れる訳ではないのだが、鼻にかかったような 感じがするし、少し弱いような気がする。その点を除けば 素晴らしい出来栄えだ。[89]

TRIBE OF GYPSIES / TRIBE OF GYPSIES

アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。 元IRON MAIDENのボーカリスト、BRUCE DICKINSONの ソロ・アルバム、BALLS TO PICCASSOに全面的に参加して知られる 様になったギタリスト、LOY Z率いるバンドだ。アダルトで落ち 着いた雰囲気を醸し出す楽曲は、BALLS OF PICCASSOとはまた 違ったものだが、ROY Zのソング・ライターとしてのセンスの 良さは良く出ている。楽曲自体はそれほど派手さはないが、ラテン 調のテンポが小気味良く、ROY Zの演奏も非常にエモーショナルで リラックスして聴ける良い作品に仕上がっている。トライバル色が 非常に強く、異色の作品と言えるだけに好みは分かれるかも 知れない。[85]

CRUCIDICTION / TRISTITIA

スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。 前作と比べてデス・ボイスが占める割合が飛躍的に 大きくなっている。もちろんデビュー盤でも見られた独特の 重低音クリア・ボイスも健在で、これは好みの 分かれるところだろう。荘厳であることには変わりはないが、 よりダークネスで、ドゥーミィな作品になっている。それゆえ、 1stでのひたすら暗く物悲しい淡々とした雰囲気がやや 薄れてしまっているように思える。 インストルゥーメンタル・ナンバーのLioness' Roar等はつぼに はまっており、素晴らしいのだが、それ以外はやや苦しい 場面もある。[78]

CHRISTMAS EVE & OTHER STORIES / TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA

SAVATAGEの面々によるいわば別プロジェクトと言って良い作品だ。 PAUL O'NEILLを中心に、バックをSAVATAGEのメンバーや JON OLIVAが勤めており、オーケストラと共演している。 コンセプトとしては、いわゆるクリスマス・アルバムで、 SAVATAGEらしい壮大でドラマティックな内容になっている。 オリジナルの楽曲のほか讃美歌や、クラッシク・ナンバーが 使われている。演奏的にはロック的要素はあまり強く 打ち出しておらず、クラッシク色の強い作品となっている。 作品の性質上、合唱等を多用しており、ロック的なボーカルも 楽曲によって使われている。[83]

DIRTY PLEASURES / TRANSIT

スイスのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。アメリカ的なからっとした明るいメロディに ヨーロッパ的な叙情感を持った楽曲で構成されたおり、コーラスが 大幅に取り入れられている。デビュー作とは思えない、良く 作られた作品で、コーラスの出来などは非常に素晴らしい。 ストレートな楽曲だが、むしろこういったコーラスには 合っている。サビ以外がいま一つな気はするが、Take Your Loveを 始め、サビは非常に印象的で、つぼを押さえている。センスは 良いと思えるだけの作品に仕上がっている。[81]

CATCHFIRE / TRANSIT

スイスのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 3rdアルバム。キャッチーで明るい叙情的な作品だが、 TV Never Lies等、相変わらず印象深いさびの楽曲を書いている。 スイスのバンドらしい、叙情的でキャッチーな幾分 アメリカナイズされた楽曲が中心となっている。特にコーラスを 上手く生かしているので、印象度もより高く感じさせる。確かに 良く出来たアルバムなのだが、その割には楽曲が進むにつれて、 それ程強く心を動かされないのは割と単調なせいかもしれない。 割と良いメロディ・センスをしていると思うし、もう少し曲調の 変化があって幅が広がると良いと思うのだが。[78]

MINDSCAPE / TRIVIAL ACT

ノルウェーのプログレッシブ・メタル・バンドのデビュー盤。 叙情的なメロディにかなりめりはりの感じられる楽曲は、 フックがあって結構聴きごたえがある。北欧のバンドらしい 哀愁もそれなりに織り込まれており、この手のものとしてはかなり メタル色の強い作品に仕上がっている。同郷のCONCEPTIONにも 通ずる様な、寒々とした冷たい雰囲気を醸し出しながらも、時には 扇情的でメロディ・センスは中々素晴らしい。ややリズムが よれていて頼りなさを感じない訳でもないが、完成度が増せば かなり良くなる素養は持っていると言って良いだろう。[83]

NOTHING LASTS FOREVER / TRIBE OF GYPSIES

BRUCE DICKINSONに見出されたギタリストROY Z率いるアメリカの ハード・ロック・バンドのデビュー作に続くミニ・アルバム。 ラテンのリズムが支配する、パーカッションをより中心に置いた 作品で、軽快なリズムの中にも叙情的な哀愁が漂っている。 ROY Zのセンスの良さを伺える楽曲がずらりと並んでおり、 アルバムから外すのがもったいないと感じるくらい、良く 出来ている。FLEETWOOD MACのカバーOh Wellも実に彼等らしい 味付けで調理している。軽快だが軽すぎず、のりの良いラテンの リズムに、叙情的なメロディと、オリジナリティ豊かな、 良く出来た作品だ。[87]

SUPEREVIL / TRANSPORT LEAGUE

スウェーデンのミクスチャー・ハード・コア・バンド、B-THONGの ボーカリスト、TONY JELENCOVICH率いるバンドの2ndアルバム。 基本的にはB-THONGの路線と同じく、ハード・コア 的なものなのだが、B-THONGにはなかったドゥーム・ロック色を 打ち出し、サイケデリックさはないが、ヘヴィ・ロック的な 雰囲気さえ感じる作品に仕上がっている。強烈なパワーと グルーヴィさを有しており、TONY JELENCOVICHの強力なボーカルが その感を一層強くしている。その一方で、従来のハード・コア的な 雰囲気がかなり薄くなってしまっているが、バンドの 方向性としては悪い選択ではないと思う。[83]

WIDOW'S WEEDS / TRISTANIA

詳細は良く判らないが、ノルウェイの ゴシック/デス・メタル・バンドのアルバム。MORTEN VELANDの デス・ボイスとVIBEKE STENEの女性クリア・ボイスによる ツイン・ボーカルだが、主体はあくまでもデス・ボイスだ。 デス・ボイスを除けば、全体的にゴシックらしい耽美さが 漂っており、バイオリンや混声のコーラスを入れているあたりは 非常に効果的だ。VIBEKE STENEのボーカルがこの手のものらしく 非常に美しいので、デス・ボイスを主体にしている事は少々 残念だ。楽曲は重過ぎもせず、軽すぎもせず、キーボードも 良い味付けになっていて中々美しいだけに尚更だ。特に バイオリンは非常に良い味付けになっている。[83]

GATEWAY / TREASURE LAND

詳細は全く不明だが、恐らくスウェーデンの プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバムだろう。 ボーカル・ライン自体は正統派ヘヴィ・メタルと言う感じで、やや ネオ・クラシカルっぽい。だが、間奏でジャズっぽいフレーズを 入れてきたりと小技を効かせて来て変則的な部分も見せている。 DREAM THEATER等よりもっと北欧的で、ややダークな部分を 感じさせながらも、Where Tomorrow Will Remainのさび等は ジャーマン・パワー・メタルっぽくもある。楽曲の出来は 悪くないし、演奏力もあるのだが、ややこじんまりとした 感があるのは少し残念だ。[84]

WARRIOR / TROUBLE

スウェーデンのハード・ロック・バンドの1985年にリリースされた アルバム。方向的にはややTHIN LIZZYっぽいところも感じられる サウンドの作品だ。決してうまいとは言えないが、 GUNNAR UONSSONのボーカルもPHIL LYNOTTを思わせるような声質や スタイルの部分がある。やや哀愁を感じさせるような叙情的な メロディで、かなり古臭さが伺える。録音状態も実際かなりそう 言ったところが感じられ、十数年以上昔の作品ではないかと 思える。哀愁を効かせたメロディの出来は悪くないし、 楽曲もまずまずなのだが、プロダクションが今一つなのが 残念だ。[78]

QUESTIONS / TREASURE LAND

詳細は全く不明だが、恐らくスウェーデンの プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1997年に リリースされたデビュー盤。緊迫感溢れる扇情的なThe Giftで幕を 開け、この辺りは中々期待をもようすのだが、残念ながら楽曲の レベルにはばらつきがある。DREAM THEATERより激しく、扇情的で より正統派ヘヴィ・メタル的な色合いがある。部分的には ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスを感じる 部分もあるが、それ程あざとくない。ZENNY GRAMのボーカルも 伸びがあって中々良いし、全体的な演奏も悪くない。ただ 惜しむらくはキーボードの音色が安っぽい感じがする部分がある 事だろう。[84]

A TRIBUTE TO THE PAST / TREASURE SEEKER

詳細は全く不明だが、恐らくクリスチャン・メタル・バンドの アルバムだろう。自分達の楽曲はタイトル・トラック1曲のみで、 その他は歴代のクリスチャン・メタル・バンドの楽曲のカバーと 言う少々変った形態を取っている。STRYPERの To Hell With The Devilを始め、BRIDE、LEVITICUS、SAINTと 言ったそこそこ名の知れたバンドから、ほとんど無名と言って良い バンドまで幅広くカバーしている。方向的には割とパワフルな ヘヴィ・メタルで、To Hell With The Devilにしても割とヘヴィな 作りになっている。OLAF HAYERのボーカルも割と高音が 伸びるので、こう言うカバーをやっても見栄えが良い。演奏的にも 悪くはないし、企画盤的な域を出ない作品だが、決して悪くない 作品だ。[83]

REVOLUCION 13 / TRIBE OF GYPSIES

BRUCE DICKINSSONのアルバムでプレイし、プロデューサーとしても 活躍する、アメリカ人ギタリスト率いるハード・ロック・バンドの 2ndアルバム。方向的には前作でのラテン系トライバルと ハード・ロックの融合を更に押し進めたもので、大作の Revolucion 13等はプログレッシヴ・ロックと言っても良い様な 作品に仕上がっている。どちらかと言うとサルサ色が濃く、 ハード・ロック色はそれ程感じさせないので、ハード・ロックの ファンにはかなり異色の作品に映るだろう。ゆったりとした メロディにパーカッション、ROY Zのエモーショナルなギターと 異色なサウンドの中にもかなり聴きごたえがある。SEVENTHSIGNの GREGORY ANALLAがボーカルを取っているが、バンドの色に良く 合っており味わい深い。これだけハード・ロック色が薄れると 賛否両論になるかもしれないが、作品の出来事態は良い出来だ。 [84]

DISCLOSURE IN RED / TRAIL OF TEARS

ノルウェイのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。方向的には、オーソドックスな感じのする、耽美で ドゥーミィなゴシック・メタルで、意外と走る部分では走って 来るので、メロディック・デス・メタル的な部分も感じる。 RONNY THORSENとHERENA IREN MICHAELSENのツイン・ボーカルで、 RONNY THORSENは咆哮型のデス・ボイスだが、 HERENA IREN MICHAELSENは非常に美しい女性ソプラノだ。この女性 ボーカルが非常に良く雰囲気を出しており、このバンドの魅力の 大きな部分を占めている。むしろ。デス・ボイスは邪魔だと言って 良いくらいで、もっとクラシカルで幻想的な部分を強く打ち 出しても良いのではないだろうか。[85]

THE WORK / TRESPASS

後にBLUE BLOODを結成する、SUTCLIEFE兄弟を中心とした N.W.O.B.H.M.バンドの1992年にリリースされた、解散までに リリースされた3枚のシングルと、未発表音源を集めたもの。 当初、通信販売でのみリリースされたものを日本でリリースするに 当って、ボーナス・トラックを追加している。追加されているのは Look Alive1曲のみで、このバンドの楽曲としては、特にどうと 言う事のない楽曲だ。全体的に、N.W.O.B.H.M.らしい、煮え 切らない哀愁を漂わせた楽曲が取り揃っており、N.W.O.B.H.M. ファンには貴重なアルバムだ。こういったバンドが、アルバムすら 残せずに解散していったのは残念に思える。[87]

STANDING ON THE SHOULDERS OF GIANTS / TRIBE OF GYPSIES

アメリカのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。 BRUCE DICKINSSONのソロ活動において、片腕として活躍してきた ギタリスト、ROY Zの率いるバンドだ。方向性は、 BRUCE DICKINSSONのそれとは違い、これまでの彼等らしい、 ラテンのメロディとリズムに溢れた作品だ。むしろこれまで以上に ラテンらしいと言えるもので、ROY Zのハードなギター・プレイも 所々差し挟まれるが、愁いを含んだラテン調のパートが大部分を 占めている。ラテン調でも、全体的にサルサっぽい要素が強く、 SANTANA等よりもラテン的な雰囲気が溢れている。GREGG ANALLAの 艶っぽいボーカルが、こう言った雰囲気にまた良く合っていて 効果的だ。GARY MOOREのParisienne Walkwayをカバーしているが、 彼等らしいラテン風のアレンジで、中々面白い。[85]

LIVE WAY BACK TO THE BONE / TRAPEZE

イギリスのハード・ロック・バンドの1998年にリリースされた ライヴ盤。詳しくは判らないが、恐らく1972、3年頃の ライヴだろう。メンバー編成は、後にDEEP PURPLEに加入する ベーシスト兼ボーカリストのGLENN HUGHES、後にJUDAS PRIESTに 加入するドラマーのDAVE HOLLAND、後にWHITESNAKEに参加する ギタリストのMEL GALLEYと今思えば豪華な組み合わせの トリオ・バンドだ。方向的にはブルーズ・ロックのセンスに溢れた ハード・ロックで、非常に情感が豊かだ。GLENN HUGHESの ボーカルも素晴らしく、ソウルフルでエナジーを感じさせる。[83]

CELESTIAL MESSENGER / TRYTAN

詳細は全く不明だが、恐らくアメリカのハード・ロック・バンドの 1987年にリリースされたアルバム。LARY DEANのボーカルは非常に GEDDY LEEやDAVID CARSANPっぽい感じのするヒステリックな ハイ・トーン・ボーカルで、楽曲自体にもRUSHっぽさを 感じさせる。とは言うものの、プログレッシヴ・ロック的な エッセンスは薄く、よりハード・ロック然とした作品だと言っても 良いだろう。楽曲の出来は散漫な感じがするし、特別良いと言う 程でもないが、意外と叙情的な部分もあって悪くはないし、 It's War等は若干JEZEBEL'S TOWERっぽさを感じたりもする。[78]

SMPT:E / TRANSATLANTIC

DREAM THEATERのドラマー、MIKE PORTNOY、SPOCK'S BEARDの ボーカリスト、NEAL MORSE、THE FLOWER KINGSのギタリスト、 ROINE STOLT、MARILLIONのベーシスト、PETE TREWAVASによる プロジェクト・バンドのアルバム。参加メンバーを見れば判る 通り、ややハードさの強いプログレッシヴ・ロックだ。 シンフォニック・ロック的な色合いが強く、流麗な中にも プログレッシヴ・ロックらしい変則的な部分も感じられる。 演奏的には安心して聴いていられるし、フックのある楽曲は聴き 応えある。特にギターとキーボードの掛け合いは見事で、30分を 超えるAll Of The Above等、大作指向ではあるが聴き 飽きさせない。[87]

BEETHOVEN'S LAST NIGHT / TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA

アメリカ人プロデューサーによるプロジェクトの3rdアルバム。 SAVATAGEのプロデューサーで知られるだけあって、ボーカル兼 キーボードのJON OLIVAやギタリストのAL PITRELLIが 参加している。その他にも大勢のミュージシャンが 参加しているが、全く聞いた事のないミュージシャンばかりだ。 方向的にはこれまでの延長線上とも言える様なオペラティックな ロック作品で、タイトルが示す通りベートーベンの楽曲を アレンジして取り入れたりもしている。ピアノやキーボードが かなり前面に押し出された作品だが、楽曲にはSAVATAGE的な部分が 多分にある。[80]

THE LAST GRIEF / TRISTITIA

スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの4年振りとなる 3rdアルバム。LOUIS B.GULVES以外のメンバーが全て 脱退しており、彼のソロ・プロジェクト的な作品となっている。 方向的にはこれまで同様、初期CANDLEMASSの流れを汲む、 重苦しいまでにドゥーミィなゴシック・メタルで、 スパニッシュ・ギターを導入したりと、より哀愁のメロディの 満ちた荘厳な作品となっている。ただ重苦しい雰囲気だけが 支配していた前作と比べると、楽曲のドラマティック性が増し、 その成長の後が伺える。ボーカルが見つからず、エンジニアが 代わりに歌ったそうだが、野太いパワフルなクリア・ボイスで 作品の雰囲気に良く合っている。[84]

THE WORKS II / TRESPASS

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。1992年に リリースされたレア・トラック集の第2弾となる作品だ。 音源的には半分は彼等としても末期にあたる音源で、それ以外の 音源と比べると、その音楽性の変化が見て取れて興味深い。その後 彼等はBLUE BLUDと名を変えて再デビューする事になるが、 これらの末期の楽曲にはそのBLUE BLUDの片鱗が伺える。 Man And Machineと言った初期の楽曲に通ずる、如何にも N.W.O.B.H.M.らしい裏侘しいロックンロール調の楽曲である 一方で、Beat Of The Nightの様な、ややアメリカナイズされた ポップな楽曲もある。この中途半端さに当時彼等の置かれていた 状況の厳しさと言うものが感じられる。[84]

WINGS OF ANTICHRIST / TRIUMPHATOR

スウェーデンのブラック・メタル・バンドのアルバム。チープな キーボードによるオーケストラレーションを持ち込むのが、最近の ブラック・メタルの時流ではあるが、そう言った時流からは一切 背を向け、ブラスト・ビートを前面に押し出した狂暴さを 感じさせるアルバムだ。それ故、ブラック・メタル特有の 荒涼としたメロディは全くなく、あくまでもブルータルで禍禍しい 作品に仕上がっている。最近のメロディ主体のサウンドが気に 入らないと言う、初期のエクストリーム系のファンには嬉しい 作品だろう。混沌としたブルータルさはが良く出ており、凶悪な エナジーを感じさせてくれる。[80]

BRIDGE ACROSS FOREVER / TRANSATLANTIC

DREAM THEATERのドラマー、MIKE PORTNOY、SPOCK'S BEARDの ボーカリスト、NEAL MORSE、THE FLOWER KINGSのギタリスト、 ROINE STOLT、MARILLIONのベーシスト、PETE TREWAVASによる プロジェクト・バンドの2ndアルバム。方向的には叙情的で ポップさも伺える、ややハードでシンフォニックな プログレッシヴ・ロックで、前作の延長線上と言える作品だ。前作 同様の大作主義で、4曲で76分と言う長大な 構成となっているのだが、楽曲の展開や流れ、ソロの演奏が上手く 嵌め込まれており、決して飽きさせないのが評価出来る。 古めかしいプログレッシヴ・ロックと言う感じで、懐かしさを 感じさせるアルバムだ。[87]