STRENGTH IN NUMBERS / TYKETTO
アメリカのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた
3年振りの2ndアルバム。元WAYSTEDのボーカリスト、
DANNY VAUGHNを中心とするバンドだが、音楽性はWAYSTEDとは
異なり、叙情的なメロディの洗練されたハード・ロックを
聴かせてくれている。製作してからかなり時間が経過していたにも
関わらず、メジャー・レーベルから解雇されて長い間
お蔵入りになってしまっていたが、ようやくリリースされた
作品だ。前作にあった、Forever Youngの様な名曲は
残念ながらないが、楽曲の粒は揃っていて、出来は決して
悪くない。[82]
WILDCAT / TYGERS OF PAN TANG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた
デビュー盤。N.W.O.B.H.M.のバンドらしい、ロックンロールを
基調としたヘヴィ・メタルだ。次作でギタリストのJOHN SYKESと
ボーカリストのJON DEVERILLが加わり、一気に
ステップ・アップする事になるが、ここでは後の方向性とは掛け
離れているし、まだまだ粗の見えるサウンドだ。ギタリストが
ROBB WEIR一人なのもそうだが、JESS COXのだみ声である影響が
大きいだろう。これだけでは数多くあるN.W.O.B.H.M.のバンドと
比べてもそれ程大差ない内容で、あくまでも資料的価値しかない。
[63]
SPELLBOUND / TYGERS OF PAN TANG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた
2ndアルバム。ボーカリストがJESS COXから元PERSIAN RISKの
JON DEVERILLに交代し、ギタリストとしてJOHN JAMES SYKESが
加わり、ツイン・ギター体制になっている。ロックンロールを
基調としたヘヴィ・メタルである事は変わりないが、より叙情性を
増した内容となっている。GanglandやTyger Bay、哀愁の
バラード、MirrorやDon't Stop Byと佳曲がずらりと並んでいる。
楽曲の出来は素晴らしいし、時にはパワフルに、時には切々と歌う
JON DEVERILLのボーカルは、前任者より遥かに上と言って
良いだろう。[86]
CRAZY NIGHTS / TYGERS OF PAN TANG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた
3rdアルバム。前作ではロックンロール色の強いものから、より
叙情的なメロディを押し出した音楽性へと大きく変化していたが、
その成功もあってかボーカル・ラインを中心とした、より判り易い
アルバムに仕上がっている。かなりポップ色の強い
作品となっており、楽曲の出来も決して悪くないのだが、
アイデアをまとめきれておらず、散漫な感じのする部分も
残念ながらある。前作で見せたDon't Stop By等での強烈な
哀愁がないのにも不満を憶えなくもない。前作での
成功のおかげか、プロダクション事体はかなり
良くなっているので、かえってそう言う部分が浮き出た
形になっている。[80]
THE CAGE / TYGERS OF PAN TANG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた
4thアルバム。先行シングルのTHE SEARCHERSのカバー、
Love Potion No.9も好評で期待された作品だったが、アルバム発表
直前にJOHN SYKESが脱退し、一気にスケール・ダウンした感を
受ける。とは言え、作品自体は前作から顕著になったポップ性を
より前面に押し出したもので、前作からの流れとしてはそれ程
違和感はないし、楽曲の出来は中々良い。カバーや外部の
ライターが書いた楽曲が多いのも、そう言った特徴を
現しているだろうし、そう言ったポップ性の重視がJOHN SYKESの
脱退を引き起こした訳で、バンドがこう言う方向性を目指す限り、
当然の帰結と言えるものだろう。プロダクション自体は更に
良くなっており、アルバムの出来自体は決して悪くない。[82]
SINGLES / TYGERS OF PAN TANG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。アルバム
未収録曲を集めたレア音源集で、シングルのみに収められていた
音源で構成されており、アルバム未収録曲が中心となっている。
シングル自体は1979年から1982年にかけてリリースされたもので、
そのタイトル通り、デビュー・シングルからTHE CAGEまで、彼等の
全盛期と言える頃のシングルを網羅したものだ。そう言う意味では
ボーカリストがJESS COXの楽曲と、JON DEVERILLの楽曲が
混在しており、楽曲によって内容や音楽性の落差を
感じずにはいられないが、資料的価値は高いと言って良いだろう。
[80]
SHINE / TYKETTO
アメリカのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。元々
ハード・ロックという事を意識させるバンドではなかったが、更に
ソウルフルでアメリカン・ロックという傾向が強くなっている。
ギター・サウンド等は結構ハードで、サイケデリックな
アルバム・ジャケットに見合った様なグルーヴィな幅広い作品に
仕上がっている。新加入のSTEVE AUGERIの
ボーカル・スタイルもあって、Rawthigh等は非常に
LED ZEPPELINっぽく感じられる。のりというよりも雰囲気を楽しむ
バンドで、肩肘張らずに楽に聴ける作品だ。[80]
OCTOBER RUST / TYPE O NEGATIVE
アメリカのゴシック・ロック・バンドの3年振りとなる
4thアルバム。ゴシック・メタルに通ずる、その耽美でヘヴィな
サウンドは憂欝だが、ゴシック・メタル一般に感じさせるような
陰鬱さは無く、一種独特の雰囲気を持っている。大幅に
機械処理されたスローな楽曲は、けだるさを漂わせながらも
官能的で聴く者の心を捉える。決してヘヴィ・メタルの土俵の
上だけで語られる内容ではないが、ヘヴィなギターと重厚な
サウンドはヘヴィ・メタルのファンにも十分訴えれるものを
持っている。NEIL YOUNGのカバー、Cinnamon Girlも彼等が
カバーすると、如何にもらしいものに仕上がっている。[88]
TAKE OUT & SERVED UP LIVE / TYKETTO
アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。ボーカル交代に
前後したライヴやデモ音源を収録した企画盤だ。DANNY VAUGHNの
パートでまず目を引くのは、何と言っても代表曲、
Forever Youngのデモ・バージョンで、荒々しいが非情に
生めかしい出来は、オリジナルよりむしろ格好良いと言っても良い
程だ。未発表曲のDrag The RiverとTearin Up The Nightも
飛抜けて良いとは言えないが、ボツになったとは思えない位の
出来だ。STEVE AUGERIサイドは全曲ライヴで、DANNY VAUGHNの
キャッチーな雰囲気とは変わりソウルフルな面が強い。[77]
MOONFLOWER LANE / TY TABOR
KING'S Xのアメリカ人ギタリストによる2ndソロ・アルバム。昨年
通信販売のみで発売された自主制作された初のソロ・アルバム、
NAOMI'S SOLAR PUMPKINから6曲をリメイクしたものに新曲4曲を
追加したものだ。KING'S Xと比べるとよりポップな面のみを強く
押し出した作品で、ハード・ロック的な色合いはほとんどない。
良質のメロディのポップ・ロック・アルバムで、TY TABORの
THE BEATLES指向が出た結果といえるだろう。より洗練されて
柔らかい感じの曲調は聴いていて実に気持ちが良いし、良く作り
込まれている。全体的に曲調の変化が少ないので、もう少し変化が
欲しいような気がする。[82]
WORLD COMING DOWN / TYPE O NEGATIVE
アメリカのゴシック・ロック・バンドの5thアルバム。前作と
比べると、かなりBLACK SABBATH的なドゥーミィさがあり、
ヘヴィな作品に仕上がっている。ゴシック・ロックの
バンドとしては、最もヘヴィなサウンドをやっているだけあって、
ゴシック/ドゥーム系のANATHEMA等が好きならば、結構
聴けるのではないだろうか。陰鬱でダークさを醸しながら、
官能的なイマジネーションを与えてくれる。PETER STEELEの
ボーカルが、そう言った色彩をより際立たせていて効果的だ。
ゴシック・ロックとしては、やや異色とも言える部分のある、
独自の雰囲気を持ったバンドだけに、むしろ取っ付き易いかも
知れない。[86]
CRIMES OF INSANITY/BEWARE OF THE DOG / TYSONDOG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
1stアルバム、BEWARE OF THE DOGと1986年にリリースされた
2ndアルバム、CRIMES OF INSANITYをカップリングしたもの。
ボーナス・トラックとして1985年にリリースされた
ミニ・アルバム、FOUR TRACK EPが集録されている。時代的にも
判る様に、末期N.W.O.B.H.M.のバンドで、この手のものとしては
ロックンロール色が強いヘヴィ・メタルとなっている。あまり
メロディは押し出されておらず、重厚でドライヴ感のある
サウンドはのりが良い。プロダクション的にはこの
手のものとしてはまだましな方だが、特別良いと言う程でもない。
[80]
THE LEAST WORST OF / TYPE O NEGATIVE
アメリカのゴシック・ロック・バンドのベスト盤。
ゴシック・ロック・バンドとしては、最もヘヴィ・メタル的な
色合いの強いバンドで、ヘヴィ・メタル側のリスナーにも聴き易い
作品と言って良いだろう。3rdアルバム、BLOODY KISSESのヒットで
一躍スターダムにのし上がったが、その後はややじり貧
傾向になっている。未発表の音源としては、既発曲の別
バージョンが5曲、未発表曲が2曲含まれている。別バージョンの
音源には特にこれと言って特別注視すべきものはない。
未発表曲では、It's Never Enoughはアップ・テンポのヘヴィな
ナンバーで、Stay Out Of My Dreamsとも、それ程どうと
言うものではないが、BLACK SABBATH的な味わいがあって出来は
悪くない。[80]
LIVE AT NOTTINGHAM ROCK CITY / TYGERS OF PAN TANG
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。後にWHITESNAKEに
加入し、その名を知られる様になったJOHN SYKESを擁し、
N.W.O.B.H.M.では中堅バンドとして活躍していた。このライヴは
JOHN SYKESが在籍していた頃の、1981年に行われたイギリスでの
公演の模様を収めたものだ。N.W.O.B.H.M.バンドと考えると、
プロダクションはかなり良いと言って良いレベルで、
良くこれだけの音源が残っていたなと感嘆させられる。
アップ・テンポのロックンロール調の楽曲が、勢いを感じさせて
一気に聴かせてくれる。ここに、MirrorやDon't Stop Byと哀愁
漂う楽曲が配されており、バランスも中々良い。[81]