THE LAST TEARDROP '84ー'92 / VENGEANCE
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
ベスト盤。ボーカリストがLEON GOWIEからIAN PARRYに
交代しており、彼のボーカルで録音された新曲が6曲
収録されている。実質的にはこのとき既にバンドは解散しており、
本来は新しいアルバムとして録音されたものだ。ここで叙情的な
メロディのドラマティックなヘヴィ・メタルを
聴かせてくれているのだが、これが実に素晴らしくアルバムを
リリース出来ずに終わってしまったのは非常に残念だ。
プロダクションは飛躍的に良くなっており、特に新加入の
IAN PARRYのボーカルは特筆すべきものだ。特に
アコースティック・バラードのAs The Last Teardrop Fallsは
佳曲と言って良いだろう。[87]
THE LAST OF THE FALLEN HEROES / VENGEANCE
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
5年振りの5thアルバム。実質的にはバンドは既に解散しており、
その直前に録音された音源だ。解散時にリリースされたベスト盤、
THE LAST TEARDROP FALLS '84ー'92に6曲が収められており、
シングルのB面に収められていたKeepin' Up With The Jonesesや
Hold On Tightを除けば、全くの未発表音源は4曲しかない。やはり
ベスト盤に収められていた楽曲と比べると、未発表曲の出来は一歩
劣るとと言う感はいがめない。しかし、IAN PARRYのボーカルを
始め、レベルの高い作品である事は間違いないと言って
良いだろう。ゲストとしてデビュー前のVALENSIAが
参加しているところも興味深い。[85]
WELCOME TO HELL+SINGLES / VENOM
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。1982年に
リリースされた初のアルバム、WELCOME TO HELLと
デビュー・シングル、IN LEAGUE WITH SATAN、2ndシングル、
BLOOD LUST、1983年にリリースされたシングル、DIE HARDと
WARHEADをカップリングしたものだ。もちろん現代の
ブラック・メタルとはその音楽性は大きく異なるが、
N.W.O.B.H.M.におけるブラック・メタルの代表格的なバンドだ。
そのサウンドはむしろスラッシュ・メタルよりで、後に誕生する
スラッシュ・メタルへ大きな影響を与えた事は疑い様もない。
プロダクションは悪く、決してその出来は良いとは言えないが、
In League With Satan等、個性的な楽曲を揃え、混沌とした
エナジーを感じさせる。[80]
AT WAR WITH SATAN+HELL AT HAMMERSMITH EP AND MORE / VENOM
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。1984年に
リリースされた3rdアルバム、AT WAR WITH SATANに1986年に
リリースされたライヴ・シングル、HELL AT HAMMERSMITH EP、
1985年にリリースされたシングル、MANITOUとNIGHTMAREと言う
構成になっている。彼らの最高傑作とも言える、前作の
BLACK METALで、N.W.O.B.H.M.において独自の地位を築き
上げたが、この作品はその延長線上と言って良いだろう。
ハード・コアの影響が見え、非常にノイジーな
サウンドとなっているが、これはそのままスラッシュ・メタルの
バンド達が継承している。[82]
PRIME EVIL / VENOM
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
2年振りとなる6thアルバム。その音楽性は初期と比べるとかなり
変化を見せており、スラッシュ・メタルの元祖とも言える、
ハード・コア系のリフは控えめになり、よりメロディ重視の
色合いが濃くなったと言って良いだろう。それ故のダークさは
出ているが、代わりにその破天荒さは失われており、初期の
ファンからすれば違和感を感じない訳にはいかない。
プロダクションも良くなっているし、決して悪い
作品ではないのだが、こじんまりとまとまってしまった感じで、
破壊力にかけるアルバムとなってしまっている。[80]
TEMPLE OF ICE / VENOM
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
2年振りとなる7thアルバム。前作ではメロディを押し出し、
方向性の変化を出していて戸惑いの感じられる作品だったが、
今作ではどちらかと言うとリフが中心となっており、まだ安心して
聴ける作品と言って良いだろう。ただし、どちらかと言うとのりの
良さを打ち出した作品で、非常にアップ・テンポな
楽曲となっている。それが如実に現れているのがDEEP PURPLEの
カバー、Speed Kingでオリジナルと比べると、かなり速い
アレンジとなっており、非常にユニークではあるのは確かだ。[80]
GRAND TIME / VENUS & MARS
アメリカの女性ソング・ライターROBIN RANDALLに
DIANNA DE WITTと言う女性ボーカルをフュチャーした
プロジェクト・ユニット。ソング・ライティングを担当している
RANDALL母娘は、MARK FREE等に楽曲を提供しており、
ハード・ロック系のリスナーにも馴染みがあるだろう。その2人が
作っているだけあって、楽曲のレベルはさすがに高い。
キャッチーな叙情的なメロディの優れた
アメリカン・ロック・アルバムで、楽曲的には後期HEARTという
雰囲気が感じられる。恐らく自費出版アルバムと思われるが、
プロダクションも悪くない。[83]
WITTEN IN WATERS / VED BUENS ENDE
詳細は良く判らないが多分イギリスの
プログレッシヴ・ゴシック/ブラック・メタル・バンドの
アルバム。プログレッシヴではあるが、テクニカル・ロック的な
要素が強く、部分的にはブラック・メタル的にブラスト・ビートと
金切り声を入れたりとかなり変則的だ。MONUMENTUM等と同一の
方向性と言えるが、もっとブラック・メタル的な指向だ。かわりに
ゴシック的な部分が弱いので陰鬱さは感じず、むしろダークな
雰囲気を醸し出している。変則的なテクニカル・ロックと
ブラック・メタルが許容出来ないと耐えれないだろう。[48]
OPPOSIES / VERALIN
オランダのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。AYREON
プロジェクトにも参加していた、元FINCHのベーシスト、
PETER VINK、キーボード、CLEEM DETERMEIJERによる新しい
バンドだ。そう言う人脈もあって、ARJEN ANTHONY LUCASSENが
ギターでゲスト参加している。MIRJAM VAN DOORNなる女性
ボーカルを擁しており、オープニング・ナンバーの
Lay Your Heart On The Lineは、叙情派
メロディアス・ヘヴィ・メタルにACE WOUNDERのボーカルを乗せた
様な不思議な楽曲だが、これが中々良い味を出している。それ
以降はマイナー調のハード・ポップ・ナンバーが並ぶが、楽曲と
ボーカルが遊離している様に聞え、今一つ面白味に欠け乗り
切れない。[80]
VERTEX / VERTEX
L.A.メタル・バンド、RATTの元ボーカリスト、
STEPHEN PEARCYによるプロジェクト・バンドのアルバム。RATT、
ARCADEと、セールス的にはじり貧状態と言う感じだったが、
それぞれ決して悪い出来ではなかっただけに、
忸怩たるところがあっただろう。この作品では、今までとはかなり
方向性が違っていて、ヘヴィ・メタルというよりは
インダストリアル・ロックと言った感じの作品に仕上がっている。
サンプリングと人工的な音処理は、これまでのファンに拒否反応を
産むかも知れないが、割と彼のボーカルが良くあっている。
プログラミング、プロデュース、ドラムを日本人の
HIRO KURETANI、ギターはAL PITRELLIが参加している。[84]
BACK FROM FLIGHT 19 / VENGEANCE
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる
6thアルバム。IAN PARRYがELEGYに加入しているためもあってか、
LEON GOEWIEがボーカルをとっているが、あまりボーカルの比重が
高くない作品だけあって、問題は全くない。良く判らないのは
ARJEN ANTHONY LUCASSENがメンバーとして
クレジットされておらず、アディショナルとして、
クレジットされている事だ。中心人物のはずの彼が、何故そういう
立場になっているのか判らないが、プロデュースと
ソング・ライティングは彼が行っているので、中心人物である事は
変わりないだろう。今までのVENGENANCEとはその方向性を大きく
変えており、かなりヘヴィ・メタル然としていて、昔の
ポップさというのは全く感じられない。キーボードがかなり前面に
出ている部分もあり、そういう場面ではARJENの
プログレッシヴ・ロック的な嗜好が出された結果だろう。かなり
ヘヴィな作品に仕上がっており、昔のファンの期待は外す
結果になっているかもしれないが、出来自体は良い。[85]
IMPACT / VELOCITY
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。いかにも
アメリカらしいめりはりの効いた叙情的なヘヴィ・メタルで、
中々パワフルなサウンドを聴かせてくれている。方向的には今の
アメリカと言うよりは一昔前の1980年代後半のカラッとした
メロディアス・ヘヴィ・メタルと言う感じだ。メンバーは現在
二人しかいないため、ヘルプとしてMR.BIGのPAT TORPEYが全曲
演奏している。楽曲の出来、プロダクションも中々の仕上がりで、
めりはりの効いた格好の良い作品に仕上がっている。
DAVID VICTORのボーカルも力強くてバンドの方向的に合っている。
[84]
WE HAVE WAYS TO MAKE YOU ROCK / VENGEANCE
先ごろARJEN LUCASSENを抜いた形で再結成されアルバムを
リリースした、オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1986年に
リリースされた2ndアルバムにボーナス・トラックを9曲追加して
CD化したもの。BIFF BYFORDに似た声質のLEON GOEWIEの
ボーカルも、後任のボーカルで名を上げたIAN PARRYとはまた
違った味わいを出している。楽曲はパワフルで明るくのりの良い
パーティ・ロックが並び、叙情的で落ち着いた感のある
IAN PARRY時代とはかなり雰囲気が異なるのだが、出来自体は
これはこれで悪くない。ボーナス・トラックはこのアルバムの
デモが5曲、ライヴが2曲、未発表曲のデモが2曲という
構成になっている。[83]
ARABIA / VENGEANCE
オランダのパーティ・ロック・バンドの1989年にリリースされた
4thアルバムの再発で、アルバム制作前に録音られたデモ
音源集との2枚組みのアルバムとしてリリースされた。このデモ
音源集とアルバムでは、1曲が異なるだけで、後は全て同じ
楽曲という構成になっている。この間に片一方のギタリストが
PEER VERSCHURENからJAN SOMERSに交代した様だ。この頃になると
方向性はやや変質してきており、中東風のメロディを入れた
Arabia等、ARJEN ANTHONY LUCASSENのそうした趣味が出ていると
言っても良いだろう。Broadway-Hollywood-Beverlyhillsの様な
パーティ・ロック然とした楽曲も、もちろん収められているが。
[80]
CAST IN STONE / VENOM
N.W.O.B.H.M.バンドの、オリジナル・メンバーでの復活作に初期の
リメイク・アルバムを合わせた2枚組みアルバム。メンバーが
メンバーだけに、初期VENOMらしいサウンドにはなっているが、
今聴くと、このインパクトのなさは何なのだろうか。
スラッシュ・メタルに多大な影響を与えた彼等のサウンドも
現代ではそのエクストリーム性があまり感じられないのは
ともかく、変にサウンドが良くなってしまった為に、破天荒さが
ほとんど感じられないのだ。過去のリメイクにおいてもその印象は
変わらないし、オリジナルを聴いていた方がパワーを感じる。
リメイクにおいて代表曲とも言えるBlack Metalがないのも
難点だ。[72]
NEW MOON RISING / VENUS & MARS
アメリカの女性ソング・ライターROBIN RANDALLに
DIANNA DE WITTという女性ボーカルによるデュオ・ユニット。
JUDITHE RANDALLとROBIN RANDALL母娘はMARK FREEの
LONG WAY FROM LOVEを全曲作曲する等、FMやSTARSHIP等にも楽曲を
提供しているソング・ライティング・チームで、このアルバムでも
ほとんどこの母娘が作曲している。方向的には1stの後期HEART的な
延長線上ではあるが、ややアップ・テンポ気味でテンポ良く進んで
行く。そういうところからすると、LANA LANEからプログレッシヴ
色を抜き、よりポップでソフトにした感じと言っても良いだろう。
元々、ソング・ライティングをやっていただけに、メロディの
良さは確かで、実に美しい作品だ。[83]
TAKE IT OR LEAVE IT / VENGEANCE
オランダのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた3rd
アルバム。アルバムのデモ音源10曲をボーナス・トラックとして
収録し、CD化したものだ。AYREONのARJEN ANTHONY LUCASSENや、
その後ELEGYのIAN PARRYが在籍していた事で知られるが、当時は
オランダ勢ではVANDENBERGに次ぐと言って良いバンドだった。
この当時はまだオリジナル・メンバーのLEON GOWIEがボーカルで
劣らぬ声を聴かせてくれている。パーティ・ロックらしい
Ain't Gonna Take You Home等はいかにも彼等らしい。
ドラマティックで扇情的なWoman In The Worldと楽曲の出来も粒が
揃っていて悪くない。[84]
ROCK 'N ROLL SHOWER 1984-1998 / VENGEANCE
オランダのパーティー・ロック・バンドのベスト盤。解散寸前の
一時期、現ELEGYのIAN PARRYがボーカルを取っていたが、この
作品ではオリジナルのボーカリストであるLEON GOEWIE時代の
音源ばかりで構成されている。新録音のものや、未発表曲が数多く
収録されており、ファンにとっても興味深いさくひんである。
録音しなおしたものもある為、従来のイメージよりはよりヘヴィで
重厚な感じを受ける。未発表曲であるBig Fat Carや
Rock 'N Roll Manも悪くないが、特にバラードのLonely Riderは
切なく、美しく、IAN PARRYが居れば必ず使われていただろうと
思わせる様な曲だ。[82]
VERTU / VERTU
元RETURN TO FOREVERのベーシスト、STANLEY CLARKとドラマー、
LENNY WHITEによるアメリカのフュージョン・プロジェクトの
アルバム。ギターにはRICHIE KOTZENが参加しているが、決して
ハード・ロック系のサウンドではない。KAREN BRIGGSの
バイオリンを押し出したフュージョンで、じっくりと聴き込める
作品ながら、彼等のテクニックたるものは素晴らしい。特に
バイオリンとギターのユニゾンは絶品で、聴きごたえは十分だ。
全曲、インストルーメンタルで、この手のサウンドに
免疫がないと、最後まで聴き通すのは少し辛いかもしれないが。
[83]
ORDINARY EXISTENCE / VENUS
詳細は全く判らないが、ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの
アルバム。EDUARDO FALASCCHIのボーカルは、イントネーション
的に明らかにANDRE MATOSを意識している様に思えるが、ああ言った
ハイ・トーンが出せるはずもなく、本人もそれは判っていてか、
ボーカル・ラインはあくまでも無理のないものになっている。
ANGRAのギタリスト、KIKO LOUREIROがゲスト
参加しているところからも、ANGRAに受けている
影響はあるのだろうと思えるが、楽曲的にはそれ程
ANGRAっぽくはなくて、もっと普通の叙情派のヘヴィ・メタルと
言った感じだ。むしろボーカルも言った感の強い、バラードの
LEAVING THE LIGHT等の方が出来は良いと言っても良い位だ。
まだまだ未熟な部分が感じられるが、叙情的なメロディは中々良い
センスをしていると思う。[78]
RESURRECTION / VENOM
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの13thアルバム。N.W.O.B.H.M.
期に登場した、言わばブラック・メタルの始祖とも言うべき
バンドだが、その音楽性は今のブラック・メタルとは大きく
異にしている。前作辺りでもそうだったが、彼等本来の
スピード感と言うものが感じられない作品で、よりヘヴィさに
重点を絞ったアルバムだと言えるだろう。作品の出来としては
決して悪いものではないが、従来のファンがこう言った方向性を
望かどうかは疑問なところではあるし、彼等らしいユニークさは
感じられない。モダンでヘヴィな作品で、それなりに聴き
応えのあるアルバムには仕上がっている。[80]
WINGS OF AN ARROW / VENGEANCE
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの解散後の1994年に
リリースされたアルバム、THE LAST OF THE FALLEN HEROESを
リマスタリングしたもの。曲順も変っており、更に未発表曲の
One 'O' Nine(109)、Football Crazyと
As The Last Teardrop Fallsの未発表バージョンが
追加されている。One 'O' Nine(109)はアップ・テンポののりの
良いハード・ロックで、当時未発表になっていただけあって、
取りたててどうと言う事のない楽曲だ。
As The Last Teardrop Fallsはデモ・バージョンで、確かにそう
言った感じの出来なのだが、アコースティックの生々しさが
出ていて面白い。[84]
A NEW MILLENNIUM / VERSITAL
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りとなる2ndアルバム。
方向的にはアメリカの正統派ヘヴィ・メタルと言った感じで、
QUEENSRYCHEの流れを汲むものと言って良いだろうが、いわゆる
QUEENSRYCHEフォローワーと言う程QUEENSRYCHE然とはしていない。
PAUL RITTERのボーカルは、高音部はともかく、中低音部では
DAVE MUSTAINEと言った感じもあり、楽曲的にも後期のMEGADETHと
言った趣が感じられるところもある。そう言った意味では、
QUEENSRYCHEとMEGADETHを混ぜ合わせた様な作品と言って
良いだろう。楽曲の出来も悪くないが、やや盛り上がりに欠ける
感じで、これと言った決めになるところに欠けているのが残念だ。
[79]