TIME CAPSULE / WAR & PEACE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。元DOKKENのベーシスト、JEFF PILSONを中心とした バンドだが、ここではボーカリストとして参加している。元々 優秀なボーカリストとしても知られていただけに、実力的には 問題はない。結局アルバムをリリースする事無く改選し、 JEFF PILSON自身はこの後紆余曲折を経てDIOに加入している。この アルバムはそのとき録音された、お蔵入りになっていた発掘音源を アルバムにしたものだ。アコースティック・ギター等も使った アメリカらしい骨太なヘヴィ・メタルで、楽曲自体はやや平凡な 気もするが、出来は悪くない。[80]

WAR BABIES / WAR BABIES

アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。シアトル出身のバンドと言うと、グランジや オルタナティヴ・ロックと言う辺りがすぐに思い浮かぶが、彼等に 関しては意外や意外、オーソドックスなハード・ロックを 聴かせてくれている。枯れた哀愁を感じさせる、1970年代の アメリカのバンドを思わせるサウンドだ。それもそのはずで、 ボーカリストは元TKOのBRAD SINSELで、彼のしゃがれたボーカルが 楽曲の雰囲気に良く合っている。派手さはないが、メロウで しみじみと聴かせる、味わいのあるアルバムに仕上がっている。 [80]

HELLBOUND / WARLOCK

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。女性ボーカリスト、DORO PESCHを擁するバンドで、 叙情的なメロディながらも、勢いの良さを出したアップ・テンポの ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。やや臭さも感じさせる、 ある意味ドイツのバンドらしい垢抜けなさがあるのだが、そう 言った愚直な部分も決して悪くない。楽曲はまだまだ月並みと言う 感じもしなくはないが、ドラマティックでのりが良いし前作より 随分良くなった様に感じられる。DORO PESCHのボーカル自体は、 声質は軽いものの、パワフルにシャウトして来て悪くない。[80]

TRIUMPH AND AGONY / WARLOCK

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 4thアルバム。1980年代における、女性ボーカリストを擁する ヘヴィ・メタル・バンドの代表的な存在で、DORO PESCHの力強い ボーカルは好感が持てる。音楽的にもパワフルな正統派 ヘヴィ・メタルと言ったところだが、メロディ自体はやや キャッチーさを増し、より聴き易いものへと変わって来ている。 彼らの代表曲とも言えるAll We Are等では従来の力強さを 感じさせるし、バラードのFur Immer等、楽曲の出来は悪くない。 DORO PESCHのボーカルは、より女性的な 感じのするものとなっているが、音楽的には合っている。[83]

BEST OF WARLORD INCLUDING DELIVER US / WARLORD

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた ベスト盤。ベスト盤と銘打ってはいるが、実際にはあまり音源の 存在しないバンドで、全曲集と言った方が近い。1984年に リリースされたミニ・アルバム、DELIVER USを中心に、1983年に リリースされたコンピレーション、METAL MASSACRE 3に 収められていた、Mrs.Victoriaと1984年にリリースされた シングル、LOST AND LONELY DAYS、ビデオ、 THE CANNONS OF DESTRUCTION HAVE BEGUNの音源からなっている。 源氏名を使い、一切のライヴ活動を行わず、その正体を隠すと言う ユニークな活動方法を取っていたが、その実体はDESTROYER事 BILL TSAMISと後にFATES WARNINGに加入するTHUNDER CHILD事 MARK ZONDERによるプロジェクトと言った方が良いだろう。後に SAHARAを結成するDIANE ARENSもSENTINELと言う名前で 加わっている。方向的にはL.A.メタルのバンドとしては最も N.W.O.B.H.M.的な色合いを感じさせるもので、キーボードを 効かせた哀愁が強いため、北欧メタルと言う感じがする 楽曲もある。意識してかプロダクションが悪いのもそう言うB級 N.W.O.B.H.M.的な印象を強く与える結果になっており、特に Deliver Us From EvilとWinter Tears等は楽曲の出来も良いので こう言う系統のマニアにはたまらない内容だろう。[90]

DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH / WARRANT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはL.A.メタルとしては最も遅く出て来た L.A.メタルらしいヘヴィ・メタルを聴かせてくれるバンドの一つと 言って良いだろう。朗らかでカラッとした明るさを 感じさせてくれるし、ロックンロール的なのりも良く出ている。 楽曲自体にはやや波も感じるが、メロディ・センス等 非凡なところを感じさせてくれる。バラードのHeavenが Billboardのシングル・チャートで2位まで上昇した事もあって、 新人としては破格の成功を収める事になったが、それだけの クオリティはある。[82]

CHERRY PIE / WARRANT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には叙情的なメロディを押し出した、 アメリカのバンドらしい明るくコマーシャルなヘヴィ・メタルと 言う、前作の延長線上の作品だ。前作ではバラードのHeavenが 大ヒットとなったが、I Saw RedやBlind Faithもそれに劣らぬ 憂いを帯びたバラードの佳曲と言って良いだろう。前作では楽曲の 波を感じたが、今作では平均的に楽曲のレベルが上がっており、 よりパワー・アップしたアルバムに仕上がっている。明るく楽しい 彼ららしい魅力の良く出た作品で、じっくり聴かせる部分もある。 [84]

DOG EAT DOG / WARRANT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。やや方向的な変化が見られ、これまでの 明るく楽しい、コマーシャルなヘヴィ・メタルから、よりヘヴィな サウンド作りに変わって来ている。彼らのコマーシャルなセンスと 言う面は決して失われてはいないが、この重厚さは旧来の ファンには戸惑うところだろう。とは言え、Let It Rainや ピアノを用いたThe Bitter Pill、Andy Warhol Was Rightと言った バラードもあり、彼ららしさは決して失われていない。特に後半は コマーシャルなヘヴィ・メタルと言う、これまでの延長線上と言う 色合いが濃くなっている。[83]

LAST DECADE DEAD CENTURY / WARRIOR SOUL

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。ポスト・パンク色の強いヘヴィ・メタルだが、そう 言う言葉だけでは表せないユニークさがある。 ストリート・パフォーマンスとして詩の朗読を行っていたと言う、 ボーカリストのKORY CLARKEによる詠唱は、非常に不思議な 世界観を醸し出している。Four More Yearでは、実際に詩の 朗読までやってしまうのは少しやりすぎと言う気もするが、彼の 独特の詠唱に、モダンでサイケデリックでグルーヴィなサウンドが 渾然一体となって、後にも先にもない彼らの独特の音楽性を導き 出している。The Loosersを始め、緊迫感のある楽曲を徐々に盛り 上げていく攻撃性も素晴らしい。現代のJIM MORRISONとも 言われる、KORY CLARKE歌詞も聴きどころだ。[89]

DRUGS, GOD AND THE NEW REPUBLIC / WARRIOR SOUL

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。前作ではポスト・パンクとヘヴィ・メタルが 融合した、ユニークな音楽性を見せてくれていたが、この作品も その延長線上と言えるものだ。モダンでサイケデリックな サウンドは奇妙なグルーヴィ感があり、そこにKORY CLARKEの 独特の詠唱がのって来る。前作で既に築いていたスタイルだが、 今作でその音楽性がより磨かれていると言って良いだろう。 Drugs, God, And The New Republic等では不思議な浮遊感も 感じられ、あまりにも個性的過ぎる故、聴き手を選ぶかも 知れない。ただ、そこから発散するエナジーは凄まじく、社会に 対する怒りと悲しみを感じさせてくれる。[94]

SALUTATIONS FROM THE GHETTO NATION / WARRIOR SOUL

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3rdアルバム。これまで、シンプルなパンク的な手法を 取りながらも、グルーヴ感を強く押し出したサイケデリックな 音楽性が妙な煩雑さを生んでいて、それが彼らのサウンドの 特徴となっていたが、今作ではよりヘヴィネスで ハード・ロックンロール的色合いが濃くなっており、逆に シンプルになった様に感じられる。音作り等もそれに 合わせているので意識してやっているのだろうが、逆に持ち味が 薄くなった様な気がするのは残念だ。KORY CLARKEの独特の ボーカル・スタイルと強烈なメッセージ性を持った歌詞は 健在なので、彼のファンならば大きく外す事はないだろうが。[85]

CHILL PILL / WARRIOR SOUL

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 4thアルバム。初期にはグルーヴ感を押し出した、スペイシーな 音作りをしていた彼らだが、前作でセルフ・プロデュースをやる 様になってから、そう言った部分は排除され、よりシンプルに 感じられる音作りになったが、それは今作でも引き継がれている。 トリップ感のあるサウンドが、KORY CLARKEの強烈なメッセージに 合っていただけに、やや不満に思えるところだったが、今作では その代わりにややカオチックな音作りで煩雑性を出している。 初期での強烈なオーラは薄まった気はするが、KORY CLARKEの カリスマ性は決して失われてはいない。[86]

INSIDE THE ELECTRIC CIRCUS / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 3rdアルバム。方向的にはロックンロールをベースにした オーセンティックなヘヴィ・メタルで、これまでの延長線上と 言える作品だ。前作ではややコマーシャル性を優先した 面もあったが、今作ではよりヘヴィ・メタル然とした作品に 仕上がっており、当初のファンにはむしろ納得がいくところかも 知れない。これまで、BLACKIE LAWLESSと並ぶバンドの支柱だった ギタリストのRANDY PIPERが脱退し、元KING KOBRAのベーシスト、 JOHNNY RODが加入し、BLACKIE LAWLESS自身はベーシストから ギタリストに転向しているが、音楽的にはそれ程大きな 影響はないが、楽曲自体は前作に比べると弱い気がする。[82]

THE HEADLESS CHILDREN / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 3年振りの4thアルバム。ドラマーのSTEVE RILEYが脱退し、彼に 代わるドラマーが見つからなかった事もあって、元QUIET RIOTの FRANKIE BANARIがゲスト参加している。しかし、FRANKIE BANARIが 加わる事によって、サウンドのダイナミズムが増しており、逆に 良い結果となったと言って良いだろう。サウンド面での一番大きな 変化は、元URIAH HEEP、BLACK FOOTのキーボード、KEN HENSLEYが レコーディングに参加している事で、それによってサウンドの 厚さが増し、スケール感の感じれらる作品に仕上がっている。[84]

THE CRIMSON IDOL / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3年振りの5thアルバム。バンドに残っていたギタリストの CHRIS HOLMESとベーシストのJOHNNY RODが脱退し、 BLACKIE LAWLESSのソロ・プロジェクトと化している。音楽的には コンセプト・アルバムと言う事もあってよりドラマティックな 作りになっているが、前作でキーボードを導入することによって 見せたスケール感を上手く生かしている。自らが仕掛けたイメージ 戦略のおかげで、強烈なデビューを飾れたものの、逆にそれが 足かせとなってしまったバンドで、Animal(F**k Like A Beast)と 言う強烈なシングルとそのファッション性から、あまりにも猥雑で 過激なイメージをリスナーに植え付けてしまい、その音楽性が 正当な評価をされなかったのは残念だが、クオリティ自体は高く、 それはこのアルバムでも証明されている。[84]

VICES / WAYSTED

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。元UFOのベーシスト、PETE WAYとギタリスト兼 キーボードのPAUL RAYMONDを中心としたバンドで、 元DEF LEPPARD、LIONHEART、WILD HORSESのFRANK NOON等が 参加している。音楽的にはオールド・スタイルのロックンロール的 エッセンスを押し出したヘヴィ・メタルで、N.W.O.B.H.M.も終息に 向かっていたこの時期の作品としては、少し古めかし過ぎる 感じがする。アップ・テンポで憂いのあるNight Of The Wolf等、 悪くない楽曲もあるのだが、やや焦点のぼやけた アルバムとなってしまっている。[79]

THE GOOD THE BAD THE WAYSTED / WAYSTED

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。1984年にリリースされたミニ・アルバム、 WAYSTEDがボーナス・トラックとしてカップリングされている。 今作より元UFOのギタリスト、PAUL CHAPMANと元HUMBLE PIE、 FASTWAYのドラマー、JERRY SHIRLEYが加入している。特にその 加入が大きかったのはPAUL CHAPMANで、前作ではその音楽的 方向性が今一つ定まっていなかったのに対して、今作では はっきりとUFO的な色合いを出してきている。楽曲の出来も 悪くないし、PETE WAYとPAUL CHAPMANと言う組み合わせには沿った 内容だ。[80]

LET BATTLE COMMENCE / WARRIOR

N.W.O.B.H.M.バンドの1980年にリリースされたアルバム。日系2世 ギタリスト、TOMMY ASAKAWAのいたあのL.A.METAL バンドではなくて、単なる同名異バンドだ。やはりN.W.O.B.H.M. 特有の憂いを帯びたメロディに、気だるさが加わって独特の 静的な世界を現出している。どことなく1970年代的な部分を 引きずっている様に感じられる作品で、プログレッシヴ・ロックの 影響も感じられる。プロダクションはやはりこの手のバンドらしく チープだが、奇妙なのりと哀愁のあるメロディが特徴的だ。特に 飛び抜けた部分はないが、全体的に出来は悪くない。[86]

LIVE...IN THE ROW / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた ライヴ盤。同年に行われたINSIDE THE ELECTRIC CIRCUSでの ツアーの模様を収録したものだ。ギタリストのRANDY PIPERが 脱退したために、BLACKIE LAWLESSがギターを担当して、 ベーシストとして新たに元KING COBRAのJOHNNY RODが加入しての 新編成でのライヴだ。RANDY PIPERがギターを弾いていないのは 残念だが、兼任にしてはBLACKIE LAWLESSのボーカルはライヴでも ちゃんと歌えているし、ギターも悪くない。 I Wanna Be Somebodyを始め、初期の代表曲と言えるものが全て 網羅されていて、ベストと言える選曲だ。[84]

FIGHT FOR THE EARTH / WARRIOR

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。日系二世ギタリスト、TOMMY ASAKAWA率いる L.A.メタル・バンドで、その中ではKEELの楽曲の中でも臭さを 感じさせる楽曲群に相通ずるものがある。明るいという タイプではなく、その辺はL.A.メタルの他の多くのバンドと一線を 画していると言って良いだろう。Only The Strong Survive等は 流麗で哀愁を感じさせたりもする。B級臭さはあるものの、 全体的に出来は悪くない。バンド自体はこれ一枚きりだったが、 ボーカルのPARRAMORE McCARTYは、その後ROUGH CUTTや ATOMIC PLAYBOYSで活躍した。[77]

ULTRAPHOBIC / WARRANT

アメリカのハード・ロック・バンドの4thアルバム。これまでの 作品と比べると、随分骨っぽいところを見せていて、曲の良さは さすがというところだ。新たにメンバーとして元KINGDOME COMEの RICK STEIERとJAMES KOTTAKの二人が加入しているが、さほど 音楽的な影響はないと言って良いだろう。L.A.メタル時から 活動していることもあって、そういう雰囲気が見て取られ、 郷愁感を感じる。その一方で現代的なALICE IN CHAINSの様な うねりが感じられるサウンドになっていて、これまでの ファンからすると戸惑う所かもしれない。[81]

STILL NOT BLACK ENOUGH / W.A.S.P.

異彩を放つL.A.メタル・バンドのアルバム。良くも悪くも BLACKIE LAWLESSが居れば、それだけでW.A.S.P.であると言える。 個々のアルバムによって多少出来の良さは確かに違うけれど、 レベルはいつもながら高い。今作も良い出来なのだが、それでも このバンドがあまり評価されない悲劇は、やはりデビュー当時の イメージにあるのだろう。インパクトを持って華々しく 登場したものの、以降音学性よりイメージで語られる はめになってしまったのは今も変わりない。全体的に楽曲は良く 出来ているが、JEFFERSON AIRPLANEのカバー、Somebody To Loveは GREAT WHITEのバージョンの方が良い。[83]

THE SPACE AGE PLAYBOY / WARRIOR SOUL

New Yorkアンダー・グラウンド界の帝王と詠われる、アメリカの ヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。GEFFINとのディールを 失い、新たにMUSIC FOR NATIONからのリリースとなっている。 3rd、4thと今一つ中途半端で煮え切らないと言う感があったが、 メジャー・ディールを失って逆に吹っ切れたのかデビュー当時の 様な勢いを感じさせる。パンキッシュでグルーヴィな サウンドはうまいというものではないが、のりが強烈にあるし、 それがこのバンドの特色と言って良いだろう。ヘヴィ・メタル 界のJIM MORRISONと言われるKORY CLARKEのその独特の個性は 存在感を非常に感じるし、彼の詩の価値も大きい。彼等のこう 言ったオリジナリティが好きな人間にはたまらない作品だが、 好みの分かれるところだろう。[92]

SUICIDE NOTES / WARGASM

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのラスト・アルバム。今や 絶滅寸前とも言える様な状況の インディ・スラッシュ・シーンにおける、数少ない良質の スラッシュ・メタルを聴かせてくれるバンドだったが、あえなく これがラスト・アルバムで解散ということになってしまった。 疾走型のサウンドはハード・コア的な要素も見えるが、ANTHRAXを 思わせる部分もある。BOB MAYOのボーカルを始め、全体的に力が 漲っており、エネルギッシュで楽曲の出来も優れているだけに 惜しい事だ。今、これだけスピード感とのりを持った スラッシュ・メタルはそう聴けない。[87]

INSIDE THE ELECTRIC CIRCUS / W.A.S.P.

L.A.メタルにおいて異彩を放ったバンドの1986年にリリースされた 3rdアルバム。このバンドの場合、そのセンセーショナルな登場で 一躍知られるようになったが、以降そのイメージがつきまとい、 それに翻弄される事になったのは何とも皮肉な話だ。 BLACKIE LAWLESSがギタリストに転向し、JOHNNY RODが加入した 本作でも、BLACKIEのボーカルの個性は置いておくとして、 方向的には前作の延長線上である、正統派ヘヴィ・メタルとでも いうべき、扇情的な内容の濃い質の高い作品である。こういう良い 作品がバンドのイメージ故に評価されないのは残念な事だ。 BLACKIEの声も好き嫌いはあるだろうが、味があって良い。[86]

THE LAST COMMAND / W.A.S.P.

BLACKIE LAWLESS率いるL.A.メタル・バンドの1985年に リリースされた2ndアルバム。彼等としてはかなり異彩を 放っているロックンロール・ナンバー、Blind In Texas 等もあるが、まさに彼等らしさの出ている作品で、彼等にとっても 最高傑作とも言える内容に仕上がっていると言って良いだろう。 BLACKIE LAWLESSの作る楽曲は非常に扇情的で、非常に個性的な 彼のボーカルが上手く生きている。ビジュアル的な面でのみ 語られる事の多いバンドだが、楽曲を始め全体的に非常に良く 出来たアルバムに仕上がっている。[88]

THANKS TO FRANK / WARREN CUCURULO

元FRANK ZAPPA BAND、MISSING PERSONSで、現DURAN DURANの アメリカ人ギタリストによる初のソロ・アルバム。内容はいわゆる ギター・インストルゥメンタル・アルバムと言われるもので、 ライヴ録音という事もあってかプロダクションには少し疑問は 残るが、演奏自体は流石と言うレベルで全く問題はない。全体的に テクニカルだが、それほど派手さは感じさせず、どちらかと言えば 聴き易い作品と言って良いだろう。FRANK ZAPPA BANDと言う事で、 STEVE VAIと若干似た部分もなくはないが、あれほど フュージョンっぽくはない。楽曲自体はグルーヴィではあるが、 ややインパクトに欠ける感じがするのが残念だ。[78]

FUCKER / WARRIOR SOUL

アメリカのカルトなヘヴィ・メタル・バンドのアウト・テイク集の イギリス盤。ジャケット、タイトルを変えてアメリカ盤も 出ている。いきなりメジャー・デビューしたバンドだが、 あまりにもカルトな内容にアンダーグラウンドから 浮上することはなかったが、この作品でもその姿勢は一切 変わらない。このバンドが発する鬼気迫るパトスとのりと JIM MORISONに比肩されるKORY CLURKEの歌詞を持つこのバンドが あまり評価されることがなかったのは残念だ。楽曲は パンキッシュなロックンロールが主体で、割と ワン・パターンなのだが、独特の雰囲気を作り出しており、それが 緊張感を作り出していた。このアルバムもまさに WARRIOR SOULらしい作品であり、これまでのアルバムと比べても 遜色は全く無いし、むしろSALUTATIONS FROM THE GHETTO NATIONや CHILL PILLよりも初期の破天荒さが見えて良いくらいだ。[89]

KILL FUCK DIE / W.A.S.P.

L.A.メタル・バンドの新作で、オリジナル・ギタリスト、 CHRIS HOLMESが復帰しての初のアルバム。前作までの方向を幾分 保ちながらも初期に帰ったという感じだ。特にオープニングの Kill Fuck Dieでの圧倒的な疾走感と荒々しさは、初期のそれを 思い起こさせるものだ。BLACKIE LAWLESSが担当した、 ややオーバー・プロデュースとも思える音作りだが扇情感を 買うのには一役買っている。楽曲の出来には、やや出来、 不出来が分かれなくもないが、決して悪い作品ではない。初期の 破天荒なまでの暴力的な雰囲気は味わえる。[87]

JUST ANOTHER STRANGER / WAYNE SMART

詳細は良く判らないが、カナダ人ボーカリストによる ソロ・アルバム。キャッチーなメロディのハード・ポップだが、 音質は結構ヘヴィだ。このアルバムを特徴づけているのは彼の 声質で、TOMMY HEART、KLAUS MEINEにやや似た、粘質的な 感じがありながら通ったボーカルだ。キャッチーだが叙情的な メロディを配しているこのアルバムで非常に不思議な魅力を 発している。Fighting For A Miracle等はFAIR WARNINGを 思い起こさせる様な佳曲だ。全体的にスロー・テンポの バラードより哀愁味のあるミディアム・テンポの曲の方が めりはりが効いていて面白い。バックも意外と扇情的で、 盛り上げるのに一役買っている。[90]

DOUBLE LIVE ASSASSINS / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みライヴ・アルバム。 イメージ的に下劣さを押し出しながらも、その作品は意外と メロディアスで、L.A.メタルに咲いた徒花とでも言うべき バンドだったが、そのパワフルでポップなメロディは今、こうして ライヴで聴いても変わりない。BLACKIE LAWLESSのだみ声がかった ボーカルは相変わらず力強いし、出戻ったCHRIS HOLMESのギターも 悪くない。スタジオ・アルバムではいささかこじんまりとした 感がなくもないが、こうしてライヴ・パフォーマンスを聴くと、 もっと突き抜けたものを持っているように感じられるのだが。[84]

RIDERS / WARHAMMER

詳細は全く不明だが、1995年にリリースされた自費出版の ミニ・アルバム。方向的には扇情的なパワー・メタルで、非常に 芋臭い作品だ。自費出版と言う事もあって、そのプロダクションは あまり良くないのだが、作品的傾向からするとそれ程大きく 気にはならない。全体的にダークでバラエティには欠けるが、割と テンポが良いので、ミニ・アルバム位の長さならば飽きる 事はない。WIKTOR SODERSTROMのこもったボーカルにはB級臭さが 漂っているが、それ以上に楽曲は臭い。面白味という点では 今一つだが、B級ヨーロピアン・パワー・メタルが好きならば それなりに聴けるだろう。[70]

AND THE CANNONS OF DESTRUCTION HAVE BEGUN... / WARLORD

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた ビデオをCD化したもの。L.A.メタルのバンドとしては最も N.W.O.B.H.M.の影響を受けた特異とも言えるバンドだったが、 それはここでも変わりない。N.W.O.B.H.M.に比べてもう少し アメリカナイズされた感じのする、哀愁のメロディの ヘヴィ・メタルだ。彼等のアルバムはN.W.O.B.H.M.並みに音が 悪かったが、それはここでも同じで、プロダクションは 酷いものだ。元々ライヴを行わない代わりにリリースされた、 スタジオ・ライヴ・ビデオをCD化したものだけあって、台詞が 入っていたりもする。後にFATES WARNINGに加入する THUNDER CHILDこと、MARK ZONDERや、クレジットされていないが、 当時SENTINELと言う名前で、後にSAHARAを結成するDAIANが 在籍している。名曲、Deliver Us From Evilを始め、臭い泣きの メロディが好きな人間にとってはやはりたまらない作品だ。[83]

WARNING / WARNING

フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた アルバム。方向的にはフランスと言うかヨーロッパ大陸的な感じは あまりなくて、どちらかと言うとアメリカ的な能天気さが全体的に 漂っているのだが、その中にも叙情的な香りはある。フランスの バンドと言うよりもアメリカのバンドと言う様な意識で聴いた方が 外さないだろう。哀愁のバラード、Tel Que Tu L'imaginaisも それ程ヨーロッパのバンド臭さが強いとは思わない。音質的には この頃のフランスのバンドとしては、意外にクリアな音質で奇麗な 方で、この頃のマイナーなバンドとしては良い方だろう。 RAPHAEL GARRIDOはややMARK SLAUGHTERに似た、高音で ヒステリックな感じのするボーカルを聴かせてくれるが、 MARK SLAUGHTER程超絶的と言うレベルに達している訳ではない。 [78]

ANCIENT FUTURE / WARRIOR

L.A.メタルバンドの再結成しての13年振りとなる2ndアルバム。 日系2世ギタリスト、TOMY ASAKAWAもいたが、消息不明と言う 事で、PARRAMORE McCARTYとJOE FLOYDが中心となっての再結成だ。 TRIBE OF GYPSIESのROY Zが参加して、一部ギターを弾いている。 解散前に作曲した曲を使っていたりと、昔と比べてそれ程 違和感のない作品に仕上がっていると思える。元々、L.A.メタルの 中でもより硬派でヘヴィ・メタル然としたサウンドであったが、 1stと比べると更にヘヴィで厚い音作りになっているが、再結成で 昔の面影すらないバンドもある中で、これだけヘヴィ・メタル 然としたサウンドを聴かせてくれる辺りは非常に好感を持てる。 アルバムとしての流れの中では変化が乏しいような気がするのが 残念だが、出来は悪くない。[81]

WARNING / WARNING

フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた アルバム。方向的には前作同様、ヨーロッパのバンドと 言うよりは、どちらかと言うとアメリカ的な能天気さが全体的に 漂っている。縦のりと言った感じもする ハード・ロックンロールで、かなりAC/DC的な方向性へと歩み 寄っている。特にGERALD MANCEAUのボーカル・スタイルがそう 言った感をより一層強めさせている。明るくてのりが良く、B級 臭い作品だが、それなりには聴かせてくれる。全体的に小粒な 感はいがめないが、それなりに聴くべき所もある。[78]

HELLDORADO / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。方向的には、 よりロックンロール色の強かったTHE LAST COMMAND辺りに近い 作風だと言えるだろう。のりが良くて、ワイルドな ハード・ロックンロールで、出来自体は悪くないのだが、 彼等にしては今一つ軽すぎてのり切れない感じがする。重厚な 楽曲のDamnation Angels等は、かえって異彩を放っていて面白い。 楽曲は、シンプルなロックンロール決して悪くないだけに、もう 少し重厚な曲が多ければ結構めりはりが出たと思うのだが。 High On The Flames等は、中々良い出来だし、彼等らしい 作品ではある。[80]

SHOCK TO THE SYSTEM / WALL OF SILENCE

カナダのハード・ロック・バンド、THE WORKSがバンド名を 改名して1992年にリリースした2ndアルバム。方向的にはカナダの バンドらしい、叙情的なハード・ロックではあるが、より アメリカナイズされた印象を受ける。楽曲によっては方向性にやや ばらつきがあるが、中にはDEF LEPPARDっぽいものもある。同郷の VON GROOVEのメンバー等がゲスト参加しているだけあって、 バラード等はそれっぽい。楽曲の出来は良いし、プロダクションも 良いので、安心して聴いていられる。特別、抜きんでた 楽曲はないが、キャッチーなメロディは良く出来ている。[83]

LIVE AND LEARN / WAYNE SMART

カナダ人シンガー・ソング・ライターの3rdアルバム。前作では、 愁いのあるハード・ポップで、叙情派アメリカン・ハード・ポップ 系のリスナーにとっては傑作と言って良い作品だった。今作では、 ある意味大きな方向転換がされており、哀愁味は全く 無くなっている。どちらかと言うと、後期BON JOVI風の リラックスした爽やかなアメリカン・ロックと言う感じだ。その 分、どこを聴いても同じ様な印象を受け、前作よりめりはりが 感じられない。高い水準での話だから、決して出来が悪いという 事ではないのだが、あの哀愁のハード・ポップが聴かれないのは 全く寂しい限りだ。[84]

THE FLESH AND BLOOD SESSIONS / WAR & PEACE

アメリカのハード・ロック・バンドの未発表音源集。DOKKENの JEFF PILSONを中心としたバンドで、1989年に制作されたデモを CD化したものだ。後にリリースされたデビュー盤と比べると、その 趣はかなり異なっており、叙情的でキャッチーなメロディの ヘヴィ・メタルと言ったところだろう。特にJEFF PILSONが全ての パートを録音した後半になって来ると、DOKKEN的な色合いがより 濃くなってくる。Bringing It On等、DON DOKKENが歌っていても 違和感のない楽曲もある。デモと言うことで、プロダクションに 関しては残念ながら完成度を求めるのは酷なところだが。[78]

GREATEST & LATEST / WARRANT

アメリカのハード・ロック・バンドのベスト盤。全て リレコーディングし直されているが、オリジナルより もたっとした感じで、バラードやスロー・テンポの楽曲は 悪くないのだが、ミドル・テンポの楽曲にはややめりはりが 感じられない結果になってしまっている。とは言え、楽曲の出来は 一世を風靡しただけあって、I Saw Red等、こうやって 聴いてもさすがと言えるだけの楽曲が揃っている。新曲の Bad Tattooは彼等らしい叙情的でキャッチーな アメリカン・ハード・ロックと言ったところだ。 ボーナス・トラックは変なダンス・ミックスになっており、正しく おまけと言ったところだろう。[79]

UNKNOWN SOLDIER / WARMEN

フィンランドのブラック・メタル・バンド、CHILDREN OF BODOMの キーボード、JANNE WIRMANによるソロ・プロジェクトのアルバム。 SINERGYのKIMBERY GOSSが2曲歌っているが、それ以外は全て インストルゥーメンタルだ。CHILDREN OF BODOMの様な エクストリーム系といった色合いはあまりなく、全体的に様式美系 ヘヴィ・メタルと言えるものでCHILDREN OF BODOMを期待するなら 外すだろう。全体的に楽曲はまずまず良く出来ていると思うが、 The Evil That Women Do等、ネオ・クラシカル的な色合いが 出ている楽曲は少し鼻につく。キーボードの ソロ・プロジェクトであるのだから仕方ないだろうが、 キーボードを前面に押し出し過ぎていて少しチープに 感じられるのが残念だ。[78]

WILDERNESS OF MIRRORS / WAYSTED

イギリスのハード・ロック・バンド、UFOのベーシスト、PETE WAY 率いるバンドのアルバム。元MOTORHEADのギタリスト、 EDDIE FAST CLARKとFASTWAYを結成しながら、その直後に脱退して 結成したバンドで、これはその頃のデモ音源集だ。1986年に リリースされた2ndアルバム、SAVE YOUR PRAYERSのデモ音源で、 大半の曲は重複している。これにUFOのギタリスト、 PAUL CHAPMANがギター・ソロを被せて仕上げたものだ。昔のデモ 音源だけあって、古臭くてラフな感じがするのはいがめないが、 このラフさが却ってのりの良さを出している。ドライヴ感の漂う ハード・ロックンロールで、勢いの良さを感じさせてくれる 作品だ。[80]

LIGHT AT THE END OF THE TUNNEL / WAR AND PEACE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、DOKKENのベーシスト、 JEFF PILSONによるソロ・プロジェクトの7年振りとなる 2ndアルバム。元々はDOKKEN解散後にJEFF PILSONが自分の バンドとして始動したが、デビュー盤がリリースされる前に解散、 今作で彼のプロジェクトとして復活した。その間に、未発表 音源集もリリースされているが、純然たる新作としては 2作目になる。方向的には前作とかなり趣の異なる 作品となっており、楽曲によってはかなりポップでDOKKEN 風のものが含まれている事だ。それを考えるとJEFF PILSONが DOKKENにおいてクリエイティヴ面でかなり貢献している事が 伺え、実に興味深い。[78]

BEYOND ABILITIES / WARMEN

フィンランドのブラック・メタル・バンド、CHILDREN OF BODOMの キーボード、JANNE WIRMANによるソロ・プロジェクトの 2ndアルバム。前作でもCHILDREN OF BODOMからブラック・メタル 的な色彩を無くした様な作品であったが、今作もその延長線上と 言って良いだろう。前作同様、インストルゥーメンタルが 主体となっているが、ボーカリストとしてSINERGYの KIMBERLY GOSS、STRATOVARIUSのTIMO KOTIPELTO等が 参加しており、ボーカル入りの比重が高くなっている。唯一 Dawnのみがエクストリーム的なボーカルを聴かせてくれるのみだ。 JANNE WIRMANのキーボードが当然主体なのだが、 CHILDREN OF BODOMと比べると、より聴き易くてその分 インパクトは薄い。[80]

DYING OR THE WORLD / W.A.S.P.

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの10thアルバム。ドラマーに FRANKIE BANALIが復帰し、オリジナル・メンバーのギタリスト、 CHRIS HOLMESが再び脱退している。そう言った大きなメンバー 交代があったが、中心人物であるBLACKIE LAWLESSがいる限り、 音楽性自体には前作から大きな変化はなく、タイプ的には初期と 言うよりは中期に近いが、如何にも彼等らしい作品に 仕上がっていると言って良いだろう。BLACKIE LAWLESSの独特の ボーカルはもちろんこれまでと全く同じだし、憂いを帯びた メロディに疾走する楽曲は非常にシリアスでドラマティックで実に 格好が良い。[84]

RISING OUT OF THE ASHES / WARLORD

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの19年振りの2ndアルバム。 L.A.メタル期に現れた怪バンドとも言えるバンドで、 L.A.メタルでありながら、ヨーロッパ的な哀愁を効かせたB級 メタルを聴かせると言う、マニアックな指向を目指していたが、 復活作となる今作でもその姿勢は全く変わっていない。 中心人物であるギタリスト、WILLIAM J TSAMISと結成当初からの メンバーである現FATES WARNINGのドラマーに、HAMMERFALLの ボーカリスト、JOACIM CANSと言う構成になっている。 プロダクションこそ良くなっているが、当時のどことなく しょぼさを感じさせるB級の魅力が満載で、過去の曲を リメイクしたりしているのも正解だろう。今でもマニアックな 一部のリスナーにしか受けないだろうが、この魅力は捨て難い。 [87]