アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1987年に リリースされたデビュー盤。方向的には如何にもL.A.メタルらしい 明るくのりの良いサウンドで、楽曲的にはRATTを 思わせるものがある。聴きどころとなるのはギタリストの REX CARROLLが奏でるフレーズで、WARREN DE MARTINIや GEORGE LYNCHを思わせるところがあり、中々のテクニシャン振りを 見せてくれている。REX CARROLL以外のメンバーもテクニック 的には申し分なく、演奏的には新人のレベルを超えていると言って 良いだろう。楽曲自体は決して悪い出来ではないものの、やや 小粒で平凡と言う感はいがめない。[78]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1988年に リリースされた2ndアルバム。前作ではややRATTっぽさを 感じさせるものだったが、音楽的にはよりエッヂの効いたタイトな ヘヴィ・メタルになっており、、ボーカリスト、SCOTT WENZELの 声質がややMARK SLAUGHTERっぽい事もあって、どちらかと言えば SLAUGHTERを思い起こさせる作品となっている。それだけに聴き 応えも出ており、REX CARROLLと言う素晴らしいギタリストを 擁しながらも、ほとんど注目されずに終わって事は残念だ。 ギター・インストゥルーメンタルのThe Hammer And The Nailから Take It To The LimitでのGEORGE LYNCHを思わせるプレイは中々 素晴らしい。[81]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1989年に リリースされた3rdアルバム。音楽的にはロックンロール色の濃い ヘヴィ・メタルで、L.A.メタル的な色彩を強く感じさせる。前作で VINNIE VINCENT INVASION的な色合いを濃くし始めたが、今作でも その路線をより推し進めた形になっている。ややテンポはアップ 気味になっており、これまでよりものりが出ているのは好感が 持てる。SCOTT WENZELのMARK SLAUGHTERっぽいボーカルも健在で、 REX CARROLLのギター・プレイを始め、演奏的には問題はない。 Downの様な憂いのある楽曲もあり、新味を見せていて、 これまでよりバラエティさが出ていて悪くない作品だ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。この頃のアメリカのバンドとしてはやや趣が異なり、 音楽的には憂いも帯びた叙情的なメロディを押し出した ヘヴィ・メタルと言って良いだろう。そう言う意味では、アメリカ 的なポップ・センスはあるものの、どちらかと言えば北欧的な 感じのする部分もある。こう言う北欧的なセンスとアメリカ的な センスが上手く融合しており、特にボーカリスト、MIKE TRAMPの 決して上手いとは言えないが、粘着質で下手上手的な感じのする 歌唱が哀愁味を増して印象的なものにしている。楽曲的にはまだ 波があるものの、その出来は決して悪くない。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。方向的には前作の延長線上とも 言えるもので、アメリカ的なキャッチーなセンスと北欧的な メロディ・センスの融合したものだ。全体的によりヘヴィで メタリックな音作りになっており、それはHungryやLonely Nights 等と言った楽曲に良く現れている。When The Children Cryや Wait、Tell Meと言ったヒット曲にも恵まれ。彼等の代表作とも 言える作品だろう。VITO BRATTAの書く楽曲とMIKE TRAMPの 味わいのあるボーカルが上手くマッチしており、中々の佳作に 仕上がっている。[86]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。前作ではよりヘヴィさを打ち 出しながらも、彼等らしいキャッチーさも残し、バランスの取れた 良い作品となっていたが、今作では特にVITO BRATTAのギター等は 軽めの音作りがなされており、楽曲自体も全体的にダークな部分が 出ており、どんよりとした感じのものとなっている。元々そう言う 部分はあったのだが、楽曲の切れ自体もあまりなく、中途半端で 余計に散漫な印象になっているのが残念だし、特にHungryや Lonely Nightsと言った、哀愁の強い楽曲がないのが特徴的だ。 それでもCry For Freedomの様な佳曲もあり、出来自体は決して 悪くないのだが、前作と比べるとどうしても印象が薄くなる。[81]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの4thアルバム。前作ではダークでポップ色の強い、やや 淡白な作品となってしまっており、それ故やや印象の薄い アルバムだった。今作ではヘヴィな方向に揺り戻した感じで、 それはデビュー盤に収録されていたBroken Heartを セルフ・カバーした事でも伺える。彼等らしいポップ・センスも 健在で、決して悪い出来ではないのだが、前作での失敗が 大きかったのか、あまり話題になる事もなかった。これと言った 飛び抜けた楽曲に欠け、Broken Heartが一番印象的なのも問題だ。 [82]
イギリスのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた 3年振りのアルバム。元DEEP PURPLEのボーカリスト、 DAVID COVERDALEによるバンドだ。Here I Go Againや Is This Loveの大ヒットで知られる、有名過ぎるアルバムだけに 今更あまり語る事もないかも知れない。リズム&ブルースの 色合いの濃いハード・ロックを聴かせてくれていたバンドで、この 作品もそう言った音楽性を引き継いでいるのだが、非常に キャッチーさを押し出した作品となっている。SAINT & SINNERSの 収録曲だったHere I Go AgainとCrying In The Rainが セルフ・カバーされているが、そのアレンジにもそれが出ている。 それが成功に繋がった訳だが、古くからのファンにはそう言った 姿勢に異論のあるところかも知れない。[87]
イギリスのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた 2年振りのアルバム。ギタリストが元THIN LIZZYのJOHN SYKESから 元VANDENBERGのギタリスト、ADRIAN VANDENBERGに交代したが、 彼の負傷により、元ALCATRAZZのSTEVE VAIが代役にしている。 ヨーロッパ的なメロディ・センスを持っている、 ADRIAN VANDENBERGへの交代は納得の出来るものだったし、 楽しみでもあったのだが、このSTEVE VAIの代役は残念ながら 成功しているとは言い難い。もちろん、テクニック的には申し 分ないし、素晴らしいギタリストである事は間違いないのだが、 取り合わせとして合っているとは言えないだろう。前作同様、 セルフ・カバーとしてFool For Your Lovingをやっているが、 二番煎じと言う感じがするし、楽曲全体の魅力も前作には 及ばない。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 唯一のアルバム。IRON MAIDENのギタリスト、JANICK GERSが 在籍時のもので、後にBAD COMPANYのボーカリストとなった BRIAN HOWEも加入している。方向的には、DEEP PURPLE的な No ReprieveやDont Be Fooled、MALCOLM PEARSONのキーボードを 前面に押し出した、プログレッシヴ・ロック的なSuffragettesや 10分を超える大作のFool For Godsと言う2極化した音楽性で、やや この落差の大きさが気になるところだ。N.W.O.B.H.M.の バンドらしく、プロダクションはお世辞にも良いとは言い難いし、 自己の音楽性を完全に確立出来ているとも言い難いが、その エナジーは良く伝わって来るし、楽曲の出来も悪くない。 ボーナス・トラックとしてデビュー・シングルのCheetahと Back To The Grindが収められているのも興味深い。[85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3年振りの3rdアルバム。ファンク色の強い、雑多なイメージの サウンドで、それまでならアンダー・グラウンド的な 存在であったはずのバンドだが、音楽の細分化やミクスチャー系の バンドも頭角を現したりと、彼等の音楽がメジャー・シーンに受け 入れられる素地が出来てきたと言える証拠だろう。 Thunder Kiss '65をはじめ、グルーヴ感が出ており、のりと テンポの良さを感じさせるユニークな楽曲は面白い。このころは まだインディらしいダークさを残しており、それが緊迫感を 産んでいる。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 自費出版アルバム。いかにもといったジャケットどハードで メロディアスなスロー・ナンバーで幕を開けるが、どちらかと 言うと方向的には枯れたアメリカン・ロックという感じのする 作品だ。特に、アコースティック・ギターによる弾き語りの Tears And Pain等は、より一層そう言った感が強い。 叙情的で清々しいおおらかなサウンドは中々気持ちが良いし、 キャッチーなメロディの出来も悪くない。特にこれと言った 楽曲がある訳ではないし、それ程個性も見えて来る 訳ではないので、手放しで誉められないが。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。前作で一挙に ブレイクした感のある、ファンキーなサウンドの ヘヴィ・メタル・バンドだ。ファンクなMETALLICAと称されれた 事もあるが、この作品ではどちらかと言うと インダストリアル・ロック的なサンプリングを使った手法で、 どちらかというとファンクなMINISTRYという感じと言った方が 良いだろう。前作よりはダークで軽いのりといものは 感じられないが、これはこれで悪くない作品だ。ヘヴィで おどろおどろしい雰囲気の中でファンキーにメロディが踊り、 独特の世界を築きあげている。[84]
フィンランドのゴッシック/プログレッシヴ・ロック系の シンフォニック・ロック・バンドのデビュー盤。AUDUN KJUSの フルートを前面に押出しゴシック風の楽曲に、透明感のある トラディショナルな女性ボーカリストSARA TORNDALの歌声が 絡んでくる辺りに何とも言えない風情がある。JAN TARIQ RAHMANの メロトロンも荘厳で、叙情感に良い味付けを見せているし、 ヴァイオリンの扇情感も坦々とした雰囲気の中で良い アクセントになっている。全体的に静寂感の漂っており、そこに 憂いを帯びたフルートやトラディショナルなボーカル、 キーボード、バイオリン等が彩りを添えて、非常に幻想的な世界を 作り上げている。ヘヴィ・メタル的なエッセンスはないが、 ゴシック・メタル・ファンにもこの荘厳で静寂感漂うサウンドは 受けるはずだ。[92]
イギリスのハード・ロックンロール・バンド、THE WiLDHEARTSの 元ドラマー、STIDI率いるバンドの1stアルバム。本人たちは ロックンロール・スラッシュとかいってるが、方向的には 結局のところTHE WiLDHEARTSの延長線上であり、メロコアをもっと ハードにした様な感じのする作品だ。今のアメリカ辺りで今一つ 成功出来ないのは少し不思議な位、こう言った方向性の バンドとしては良い作品を作っていると言って良いだろう。とは 言っても、基本はハード・ロックンロールとメロコアなので、 それが駄目だときついとは思うが。[83]
カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドが1984年に リリースしたデビュー盤。扇情的でドラマティックなメロディは 哀愁を帯びていて非常に美しい。楽曲的にもNight Riderを始め、 中々の佳曲がそろっていて質的にも問題ないし、コーラスも ちゃんとしている。ただ全体的にはB級臭さはいがめないし、 キーボードのパートなど少々あざとらしさを感じなくもないのが 残念だ。DON WILKのボーカルが少しBIFF BYFORDっぽいので、 それが一種独特の味わいになっている。ギターの音色等、非常に オーセンティックでドラマティックなアルバムに仕上がっている。 [84]
現PROJECT XのDON WILK率いるカナダの メロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。クオリティとしては、1曲1曲と言う単位では前作に 譲るものの、叙情的なメロディは更に磨きがかかり、全体的な 仕上がりは更に良くなっている。カナダのバンドではあるが、 全体的に欧州的な叙情感をたたえており、愁いを帯びたメロディは 中々味わい深い。Crin To The Windを初め心に染みいるサウンドは 素晴らしいし、適度にキャッチーで、適度にフックがあって、 彼等のメロディ・センスの良さを窺わせてくれるアルバムに 仕上がっている。[86]
アメリカのクリスチャン・ロック・バンドの1995年に リリースされた10thアルバム。楽曲はダークでヘヴィなInsideと Living Sacrificeだけは少しバンドのカラーから外れる感じで、 方向性に少しばらつきが感じられる。方向的には湿っぽい バラードのSpeak Softly等、アコースティック・ギターを大幅に 取り入れた、アダルトで叙情的な優しいメロディのものが 中心となっている。先に挙げたダークなもの以外では、Ritualで ハモンド・オルガンを使ったハードなフレーズが出てくる事を 除けば、ハード・ロックとの接点はあまりない。[82]
3rdアルバムASTRO-CREEP:2000 SONGS OF LOVE, DESTRUCTION AND OTHER SYNTHETIC DELUSIONS OF THE ELECTRIC HEADをミックスしたもの。アルバム・タイトルを 変えているだけあって、大幅にリミックスされていて、 ボーナス・トラック辺りでついているような、ミックス違いとは 訳が違う。完全にテクノ調のヒップ・ホップになっていて、 サンプリング主体のサウンドは、ここまでやるかという 気にさせる。ヘヴィ・メタル的な要素は、ほとんど削げ 落としているので、ヘヴィ・メタル系の人にどれだけアピールする ものがあるか疑問ではある。発想は、これはこれで面白いとは 思うが。[79]
元POINT OF POWERのKENNEE LONEY、PRISMのDARCY DEUTSCH、 ANDY LORIMERらで結成されたカナダのプロジェクト・バンドの デビュー盤。キャッチーなメロディ・センスを備えたバンドで、 ミドル・テンポ中心の、爽やかなものから、哀愁味を 漂わせるものまで、飛抜けた楽曲はないものの粒は揃っている。 演奏、プロダクションも問題ないし、楽曲も含めて全般的に良く 出来たアルバムだ。LONG ISLAND RECORDSらしいポップな作品で、 ハードさも持っている。DARCY DEUTSCHのボーカルは エモーショナルで、こう言うアルバムでは効果的だ。[81]
DAVID COVERDALE率いるハード・ロック・バンドの復活アルバム。 前作であるSLIP OF THE TONGUEはギタリストのSTEVE VAIの個性が どうしてもバンドにマッチしているように思えなかった。 COVERDALE・PAGEも今一つ乗り切れない作品だった事を考えると、 久しぶりにDAVID COVERDALEらしい快心作と思える内容だ。 ブルージィな楽曲はまさにDAVID COVERDALEの歌声に合っており、 実に生き生きと聞える。その反面、ADRIAN VANDENBERGの らしさというものはどういうものなんだろうと 思わずにいられない。彼はもはや、VANDENBERGでやっていた様な 音楽にはまるで興味ないのだろうか?アルバムの核となる曲が もう一曲くらい欲しかったが、出来は良い。[84]
イギリスのハード・ロック・バンドの来日公演に先立っての プロモーションでの来日のおりに行われた アコースティック・ライヴの模様を収録したライヴ・アルバム。 ギターのADRIAN VANDENBERGとボーカルのDAVID COVERDALEの二人で 演奏されたものだが、こういうシチュエーションで録音された 音源が良くリリースされたなと言うのが正直な感想だ。ただ、 これまでもこういう作品はリリースされてはいないし、出来自体も なかなか良いので、十分聴きごたえはある。ただ、やはり観客が 少数のところでやっただけあって、拍手が妙に浮いて聞えるのは いかんともしがたい。[82]
詳細は全く不明だが、恐らくアメリカの ドゥーム/ゴシック・メタル・バンドの1998年にリリースされた アルバム。今ではかえって珍しくなった様にさえ思える、正統派 ドゥーム/ゴシック・メタルで、17分にも及ぶ Thus With A Kiss Dieを始め超大作指向だ。その割には淡々と 地味に進んでいくので、どうしても盛り上がりに欠けるように 感じられる。ボーカルはTOM PHILLIPSのクリア・ボイス 一辺倒だが、これが結構朗らかで軽いので尚更だ。部分的には 展開があったりするが、それ程印象は変わらない。タイプ的には TRISTITTIAをもっと軽くした様な感じで、更に聴き易い。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。既に 解散しているにも関わらず、今回録音し直してのリリースと言う 事になっている。とは言っても、再結成した訳ではなさそうで、 メンバーもボーカリストのMIKE TRAMPを除けば、かつての メンバーは居ない。選曲も、When The Children CryやWait、 Lonely Nightsは入っているものの、単純にベストと言う 選曲でもなく、何故今ごろこう言ったアルバムをリリースして 来るのかは非常に疑問に感じるところだ。FREAK OF NATUREで、 扇情的な哀愁を取り去って行ったのと同様、このアルバムでは オリジナルの録音に比べて哀愁感が大幅に減退しており、正しく FREAK OF NATUREがWHITE LIONの楽曲を演奏した様な印象を 受ける。[78]
イギリスのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた ベスト盤。ベスト盤と言っても、彼等がヒット曲を連発する 事になるGeffenレコードと契約して以降のSLIDE IT IN、 WHITESNAKE、SLIP OF THE TONGUEの3枚からだけの選曲で、純然と ベスト盤と言うには苦しいところだ。SLIDE IT INからの、 Love Ain't No Stranger、Slide It In、Slow An' Easyは アメリカでのリリース時にリミックスされ直したもので、 オリジナルとは違う。これ以外にレアな音源としては、 Here I Go AgainのシングルB面、1987 VERSION等に収められていた You're Gonna Break My Heart Again位だ。[81]