BLOOD & BULLETS / WIDOWMAKER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。元TWISTED SISTERのボーカリスト、DEE SNIDERを 中心としたバンドだ。彼が歌っているだけあって、確かに TWISTED SISTERっぽさを感じさせる部分もなきにしもあらずだが、 実際にはもっと正統的なアメリカン・ヘヴィ・メタルと言って 良いだろう。それだけに、逆にTWISTED SISTERの様なユニークさが あまり感じられず、彼のボーカル以外にこれと言った特徴が 見つけられない結果になっている。楽曲自体はオーセンティックで 勢いも感じられるし、アルバムの出来自体は悪くないのだが。[80]

TENSION & DESIRE / WILD RIDE

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。方向的にはアメリカ的なキャッチーさを持った、 洗練されたヘヴィ・メタルだ。アップ・テンポののりの良い 作品だが、Love Will Find Its Wayの様なミドル・テンポの バラードもあって、バランスは悪くない。STEAL MY HEARTや Fool Fool等の憂いを帯びた叙情的なメロディを持った楽曲は、 よりのりを押し出した部分もあるものの、ややWHITE LIONっぽさを 思わせるところがあるが、FRED PIETERSのハスキーなボーカルが MIKE TRAMPを思い起こさせ、そう言った感をより一層 強くしている。惜しむらくはプロダクションが今一つ良くない 事で、変にエコーが効いていたりバランスの悪さを感じる。[82]

WINGER / WINGER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。元ALICE COOPERのベーシスト、KIP WINGERと キーボード、PAUL TAYLORを中心としたバンドだ。DOKKENや NIGHT RANGER、RATTと言った、アメリカのヘヴィ・メタルの エッセンスを上手く取り入れながらも、独自のスタイルを築き 上げている。叙情的なメロディを押し出したヘヴィ・メタルで、 楽曲や演奏はもちろん、コーラス・ワークに至るまでかなり レベルの高さを伺わせるアルバムに仕上がっている。色の違う JIMI HENDRIXのカバー、Purple Hazeまでやる辺りは少しやり 過ぎと言う気もするが。[84]

IN THE HEART OF THE YOUNG / WINGER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。方向的には大成功した前作の延長線上と 言えるもので、ミドル・テンポ中心の叙情的なヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。とは言え、全体的にタイトでリズム感のある 作品となっているため、この手のものとしては非常に良くのりが 出ていると言えるだろう。楽曲のレベルも高く、 Easy Come Easy Goではホーン・セクションを押し出したり、 Rainbow In The Roseではオーケストレーションを上手く取り 入れる等の工夫の跡も見られるし、前作の成功に留まらない 貪欲さが名作を作り上げている。[86]

PULL / WINGER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りの3rdアルバム。基本的にはこれまでの路線の 延長線上ではあるが、彼等が沈黙している間にヘヴィ・メタルは 斜陽し、グランジやオルタナティヴ・ロックが台頭して来た影響を 如実に感じさせるアルバムだ。相変わらずタイトなサウンドを 聴かせてくれているが、全体的にダークさが出てきており、その 分勢いが殺がれている様に感じられる。その意味でも批判のあった 作品ではあるが、楽曲の質自体は決して他の作品に 劣ってはおらず、彼等のメロディ・センスの素晴らしさは十分良く 出ている。[83]

HEART OF A KILLER / WINTERS BANE

アメリカのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた 唯一のアルバム。ボーカリストのTOM OWENSが後にJUDAS PRIESTの ボーカリストになった事で、彼等を知る人も多いだろう。 方向的にはJUDAS PRIEST的なものとは違い、どちらかと言えば QUEENSRYCHEをヨーロッパ的にした感じのする、 オーセンティックなパワー・メタルを聴かせてくれている。 エキセントリックなTOM OWENSのボーカルが、そう言った雰囲気を 助長しており、緊迫感の漂うアルバムに仕上がっている。そう言う 意味ではICED EARTH等にも通ずる部分はあるが、 ドラマティックさはそれ程ない。[80]

DEATH PENALTY / WITCHFINDER GENERAL

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた デビュー盤。ドゥーム・メタルのリスナーにも良く知られた、ある 意味伝説的なバンドで、方向的には初期BLACK SABBATHの影響を強く 受けたもので、N.W.O.B.H.M.のバンドとしてはかなり特異な 位置にいるバンドと言って良いだろう。特にZEEP PARKESの ボーカル・スタイルは、聴けばすぐに判るが、かなり OZZY OSBOURNEを意識したもので、それだけにそう言った感をより 一層強くしている。呪術的な雰囲気と妙なのりの良さがあり、 楽曲も印象的で、意外と面白いアルバムに仕上がっている。[83]

GIVE'EM HELL / WITCHFYNDE

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた デビュー盤。サタニズムを前面に押し出した、ブラック・メタルの 一派だが、N.W.O.B.H.M.のブラック・メタル・バンドとしては DEMONと並んで最もポップな音楽をやっていると言って 良いだろう。キャッチーなメロディの中にも、おどろおどろしさを 感じさせるものがり、中々ユニークな音楽を聴かせてくれている。 ロックンロールを基調にし、オールド・スタイルの古臭さを 感じさせながらも、静寂感を醸し出しており、上手く自己の音楽に 結び付けている。N.W.O.B.H.M.のものとしてはプロダクションは かなり良い方で、N.W.O.B.H.M.の中堅バンドを語る上で外せない 作品だろう。[85]

STAGEFRIGHT / WITCHFYNDE

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 2ndアルバム。古臭さを感じさせるロックンロールを基調にし、 ミドル・テンポのキャッチーな楽曲で、方向的には前作の 延長線上とも言えるものだが、かなりヘヴィな音作りに変わって 来ている。エコーを効かせて静寂感を出しているが、前作と 比べるとヘヴィでおどろおどろしさを優先した分、それはあまり 感じられない。ブラック・メタルらしいおどろおどろしさは十分 出ているものの、静寂感から来る不気味さがなくなった分、彼等の 持つ神秘性は薄れてしまっているのは残念だが、出来自体は決して 悪くない。[82]

MAKING TIME / WITHOUT WARNING

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1993年に リリースされたデビュー盤。DREAM THEATERの流れを汲む バンドだが、Taste Of Sin等にはFATES WARNING的な哀愁味を 帯びた流れる様なフレーズがある。明るく伸びやかな、如何にも アメリカらしい叙情さを持ったプログレッシヴ・メタルで、時には 憂いも押し出してバランスも悪くない。但しそれは前半だけで、 Thrash Polka以降になるとそれも一変する。Thrash Polkaはその 名の通り、ポルカをスラッシュ風にやった インストルゥーメンタルでこれはお遊びとしても、FIREHOUSEの 様な甘いメロディを押し出していたりと、前半とやや分離した様に 感じられるのが問題だ。[80]

LORDS OF SIN / WITCHFYNDE

N.W.O.B.H.M.のバンドの1984年にリリースされた4thアルバム。 このバンドにとっては、ブラック・メタル(今で言う ブラック・メタルとは意味が少し違うが)という一面が逆に 災いしたようにも思えるが、DEMONと同様、ポップなセンスを持つ 良質のヘヴィ・メタルをやっていた。この作品ではポップさと メロディがさらに前面に押し出されており、ブラック・メタルと 言う印象を全く与えない。これまでの作品以上に聴きやすい作品に 仕上がっており、それが一方でインパクトのなさにも 繋がっていると言えるだろう。その割にはジャケットのセンスが 最悪なのはいかんともしがたいが。[83]

SUMMER LIGHTNING / WILDFIRE

N.W.O.B.H.M.後期のマイナー・バンドで1985年にリリースされた 2ndアルバム。元々メロディアスで、幾分 アメリカナイズされていたバンドだったが、その傾向はデビュー 盤よりはっきりと現れている。楽曲によってはPAUL MARIO DAYの ボーカルは、ややBIFF BYFORDっぽい感じもする。音質はこの 手のものとしては若干ましな方で、楽曲もそこそこの レベルなのだが、デビュー盤より垢抜けた感じが、逆に印象 薄いものとしてしまっている。楽曲の出来は悪くないだけに、 これと言った楽曲がないのが非常に残念だ。ドラマーには現 PRAYING MANTISのBRUCE BISLANDが在籍している。[84]

BRUTE FORCE AND IGNORANCE / WILDFIRE

N.W.O.B.H.M.後期のバンドの1983年にリリースされたデビュー盤。 ドラムは元WEAPONで、後に再結成PRAYING MANTISに参加して名前を 知られるBRUCE BISLANDだ。楽曲的にはいかにもN.W.O.B.H.M.という 感じのメロディアスなナンバーなのだが、以外と アメリカナイズされていて、キャッチーでアップ・テンポの ナンバーが中心でのりは中々良い。次作に比べると、 プロダクションや楽曲の出来も劣るが、出来自体は悪くない。 アメリカナイズされていると言っても、そこはN.W.O.B.H.M. バンドなので、ブリティッシュらしい哀愁をまとった楽曲もある。 楽曲の出来的にはまだまだと言った印象を受けるし、N.W.O.B.H.M. ファン向けと言った範疇を超えていないが。[80]

WILD ONE / WILD ONE

詳細は良く判らないが、デンマークのハード・ポップ・バンドの 1991年にリリースされたアルバム。グループ・ショットを見ると、 メンバー中で長髪は一人だけな上にかっこもそれらしくないし、 ルックスも今一つだ。楽曲は全体的にはもの悲しく、叙情的で メロディアスだが、残念ながら平凡な曲が多い。ただ、全体的に ポップで非常に聴き易いし、特にSteal Your Heartなどは佳曲と 言って良い出来だ。叙情的で愁いを帯びた甘いメロディは日本人の 心を打つ部分はあるだろう。プロダクションが今一つと言う 感じもするが、むしろ楽曲のレベル・アップが重要だろう。[79]

THE BEST OF WITCHFYNDE / WITCHFYNDE

N.W.O.B.H.M.バンドのベスト盤。時期的にはN.W.O.B.H.M.全般に 渡って活躍したバンドで1979年にリリースされたデビュー盤から、 1983年にリリースされたCLOAK AND DAGGERまでの選曲で、1984年に リリースされたラストとなる4作目のLORADS OF SINは、権利 関係からか、含まれていない。いわゆるサタニック・メタルと 言われていた訳だが、実際にそういう傾向が強かったのは 3rdアルバム以降だ。Give 'EM HellからGettin' Heavyまでが GIVE 'EM HELL、Stage FrightからIn The Starsまでが STAGEFRIGHT、The Devil's PlaygroundからFra Diaboloまでが CLOAK AND DAGGERからの選曲だ。Pay Nowのみどこからの音源かは 判らないが、多分2ndアルバム前後のものだろう。1st、2nd、 4thアルバムは既にCD化されており、ここで注目すべきはやはり 3rdアルバムの6曲だろう。前述の通り、この頃から サタニック・メタル的な色合いが強くなっており、キャッチーで 明るい曲調の中に見せていた暗さが特徴だった 2ndアルバムまでとは打って変わって、キャッチーさが減退し、 ヘヴィなサウンドになっている。[80]

STAND BY FOR PAIN / WIDOWMAKER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 ボーカリストで、メイン・コンポーザーでもあったDEE SNIDERが、 TWISTED SISTERの再結成に伴う復帰のため、結局これが最後の アルバムになった様だ。前作が非常に良質なハード・ロックと言う 感じだったのに対して、商業的な成功を得ることが出来なかった 所為かどうかは判らないが、サウンド的にかなりヘヴィネスな 路線へと方向転換している。幾分キャッチーなエッセンスは 残っているものの、今更モダン・ヘヴィネスと言うのも何だか 勘違いしている様にしか思えない。[78]

BELIEVE / WITHOUT WARNING

アメリカのテクニカル・ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。 方向的には、かなりプログレッシヴ・ロックがかってはいるが、 DREAM THEATERと言う様なタイプとは若干違い、 DREAM THEATERと比べると、いくらか曲調は明るいが 派手さがないので盛り上がりに欠ける。JACK BIELATAの声は かすれて高音がいかにも苦しそうだが、その他の部分においては 演奏的には問題ない。楽曲の出来という面ではデビュー盤より テクニカルな部分が強調され、その分逆に曲自体の面白味に 欠ける。総合的な出来は悪くないと思うのだが。[80]

LOST IN LOVE / WILLOW

ドイツのハード・ロック・バンドの恐らくデビュー盤。 キャッチーなメロディの楽曲が並ぶポップ・センス溢れる アルバムだ。ボーカルのFRANK TAUSCHERは若干実力不足で 苦しいが、まだ許容範囲内なので我慢出来るだろう。これと言った 楽曲はないものの、全体的に平均点はいっていると言う感じで、 キャッチーとポップさを求めるならば悪くないはずだ。メロディも 中々良質で、聴いていて気持ちは良い。とはいうもののこれと 言ったものがないので、聴いていてもう一つ煮えきらず、盛り 上がりに欠けるのも事実だが。[83]

WIZARDS / WIZARDS

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。同郷のANGRA 的な雰囲気がある、ややジャーマン・パワー・メタル香りが漂う サウンドだ。ANGRAほどクラシカルではなく、叙情的な ヘヴィ・メタルである。CHRISTIAN PASSOSのボーカル・スタイルも うまさはともかくANGRAのANDRE MATOSになかなか似ているし、 ギターの雰囲気も良く出ている。全体的な完成度においては 劣るであろうが、ANGRAがクラシカル過ぎると感じる面においては むしろこちらの方が無難ではある。ANGRAと比べるとやはり出来は 一歩劣るが、今後に十分期待出来る。[84]

ONE WAY TO HEAVEN / WILD FRONTIER

ドイツのハード・ロック・バンドの自費出版アルバム。非常に ポップでキャッチィーな楽曲が並んでおり、メロディ・センスと 言った点では、この手のバンドでもかなり上位の部類に入る 作品と言って良いだろう。優しく情感がたっぷりこもった楽曲は 何とも言えず、良い出来だ。特にI Can't Believeや Standing Of The Edgeと言ったところは、佳曲と言って良い位 素晴らしい内容の楽曲だ。ボーカルのJENS WALKENHORSTは MIKE TRUMPをもっと下手にしたような感じではあるのだが、 バンドの色には合っているし、見逃せるレベルだ。[90]

SOUND OF LIFE / WIZARDS

ブラジルのクラシカルなヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 同郷の先輩ANGRAをかなり意識した内容で、ボーカルの CHRISTIAN PASSOSの高音の取り方は、明らかにANDRE MATOSを 意識していて少し失笑ものなのだが、まぁ 下手という訳ではないのでよしとしておこう。ANGRA程 大仰さはなく、より普遍的でヘヴィー・メタルらしい楽曲だが、 やはり端々にANGRAを感じずにはいられない。それだけ個性に 欠けているとも言えるが、KADU AVERBACHのギターも なかなかのものだし、ANGRAコピーである事を考えなければ割と 良い作品だと思うが。[82]

WINTER ROSE / WINTER ROSE

DREAM THEATERのボーカリスト、JAMES LaBRIEがDREAM THEATERに 参加する以前にいたバンドの、当時のデモ音源をCD化したもの。 デモ音源とは言っても、そこら辺のマイナー・バンドの音源よりも 遥かに良い出来で、1989年のデモとは思えないような想像以上に 良い音質だ。方向性は当然のことながら、DREAM THEATERとは かなり違い、叙情的でお洒落なハード。ポップだ。扇情的で キャッチーでメロディアスな楽曲は中々出来が良く、演奏も全く 問題なく、これが当時何故デビューに至らなかったか 不思議なくらいだ。JAMES LaBRIEの名声抜きで考えても十分聴く 価値はある。[84]

ILLUMINATIONS / WISHBONE ASH

5年ぶりの20thアルバムとなる ベテラン・ブリティッシュ・ロック・バンドの新作。 プログレッシヴな要素はやや減り、あまりハードでもなくなり、 随分落ち着いてしまったなという印象を受ける。叙情的な部分は まだ健在だが、かなりポップな作りになっており、ソフトな 作品だ。どちらかというとハード・ポップと言った方が 良いだろう。Tales Of The Wise等で聴かれる哀愁が効いた 心地よいメロディは随分聴きやすく、しっとりとしている。 こういった部分はまだプログレッシヴ的色合いがあり、中々 味があってよい。[82]

THE FIRST ALBUM / WILD HORSES

元RAINBOWのJIMMY BAINと元THIN LIZZYのBRIAN ROBERTSONによって 結成されたブリティッシュ・ハード・ロック・バンドの1980年に リリースされた1stアルバム。THIN LIZZYのコンポーザーの 一人でもあったROBERTSONがいるだけに、Face Down等は 明らかにTHIN LIZZY風の楽曲である。このようなTHIN LIZZY風の 楽曲を挟みながらも、様様な面を見せている。方向的には 70年代風のブリティッシュ・ハード・ロックという感じで、 ほのぼのとしながらもどことなく叙情的な作品だ。ポップな メロディを配しており、これというところはないが、それなりに 楽しめる。[80]

ENTER / WITHIN TEMPTATION

オランダのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの デビュー作。ROBERT WESTERHOLTのデス・ボイスも取り 入れられているのだが、実際には女性ボーカルSHARON DEN ADELの ソプラノがほとんどだ。SHARONのボーカルはやや安定感を 欠いているのが残念だが、実に奇麗な声で、こなれてくればかなり 良くなるはずで、そうすればデス・ボイスも入れなくても 良いのではないだろうか。同郷のTHE GATHERINGに比べると、 ソプラノ声質は結構似ているが、サウンドはあそこまで ニュー・ウェーブ色は強くなく、もっとソフトで落ち着いた 感じだ。キーボードが中心なので全体的に若干柔らかく感じるが、 楽曲の出来もなかなか良いし、耽美さも出ていて幻想的で良い アルバムだ。[86]

SON OF DARKNESS / WIZARD

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた恐らく デビュー盤。録音状態は完全とは言い難く、ジャケットの だささや、芋臭さを感じさせる楽曲は、いかにもB級という感じの 作品なのだが、これが意外に面白い。全体的な雰囲気としては 1980年代のB級叙情派パワー・メタルと言った感じなのだが、 泣きのメロディがなかなか良い具合なのだ。例え芋臭くとも、 アルバム全体にちりばめられている、どことなくうら侘しさを 湛えながら展開するメロディは素晴らしい。洗練されていないが ゆえの扇情感という感じだが、こういう持ち味は大事にして 欲しい。[83]

WISHING WELL / WISHING WELL

元SURVIVORのドラマーMARK DROUBAYとRANDY RHOADS脱退後の QUIET RIOTに加入し、その後GEORGE LYNCH加入前のDOKKENに 在籍したL.A.のギタリストGREG LEON等を中心としたアメリカの ハード・ロック・バンドのデビュー盤。楽曲は経歴からいかにもと 思わせるDOKKEN風の哀愁を含んだ叙情的な メロディアス・ハード・ロックで、よりブルージィな感覚は あるものの、今のDOKKENよりも遥かにDOKKENらしい サウンドになっている。GREG LEONのボーカルも ソウルフルで意外に良く声が出ていて良い。[84]

DEFLOWER / WITHOUT GRIEF

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。 バックはいわゆるIRON MAIDEN的なパワー・メタルで、そう言った 意味ではIN FLAMESに近いだろう。但し、IN FLAMESよりはもっと パワフルで破壊力と言った部分に重点を置いているように思える。 Suicidal Strokeにおけるギター・リフ等は中々印象的だし、 勢いとのりが感じられる。楽曲に関しては特に目新しさは 感じられないが、出来自体はまずまず良く出来ていて悪くない。 デス・ボイスはかなり強烈で、少し聴く人間を 選ぶかもしれないが、聴きごたえがあって、演奏も良いし、 全体的に結構出来は良い。[84]

RESTLESS & DEAD / WITCHERY

スウェーデンのスラッシュ/デス・メタル・バンド、THE HAUNTEDの ギタリスト、JANSEN率いるプロジェクト・バンドのデビュー盤。 バックは古き良きスラッシュ・メタルと言う感じさえ漂う、楽曲に モダンさを持ち込んだようなサウンドで、中々聴きごたえがある。 特にほぼインストルゥーメンタルと言って良い、 Born In The Night等は、名曲と言って良い様な格好の 良さがある。扇情的でのりがあって、演奏も含めて素晴らしいと 言えるだけの楽曲に仕上がっている。それ以外の楽曲に関しては 悪くはないが、平均的で面白味にも欠けるのは残念だ。TONYの デス・ボイスは結構強烈で、聴くものを選ぶかもしれない。[82]

THE DANCE / WITHIN TEMPTATION

オランダのゴシック・メタル・バンドのミニ・アルバム。 エンハンスドCDになっており、ツアーの写真やビデオが 収められている。本編の方は、SHARON DEN ADELの美しい ボーカルを全面に押し出したゴシック・メタルで、方向的には これまでと変化はない。キーボードがかなり全面にたった サウンドで、毒にも薬にもならない楽曲は今一つ面白味に欠ける。 思い出した様に入る、ROBERT WESTERHOLTのデス・ボイスも、何故 こんなに唐突に使うのか意味不明だ。唯一ハードなナンバー、 The Other Half(Of Me)は聴きごたえがあり、もっとこういう面を 追求した方が良いのではないかと思えるのだが。[79]

FRIENDS OF HELL / WITCHFINDER GENERAL

N.W.O.B.H.M.バンドの1983年にリリースされた3rdアルバム。初期 BLACK SABBATHのフォローワーとして、ドゥーム・メタル界では 有名なバンドであるが、その異彩振りはこの作品でも 発揮されている。とは言え、前作に比べるとBLACK SABBATH的な 部分がやや減退し、独自性を幾分かは出している。ZEEB PARKESの 如何にもOZZY OSBOURNEを意識したボーカルも非常に面白い。 前作に負けず劣らず下品なジャケットと言い、如何にもカルト的な バンドだと言って良いだろう。それ故、好き嫌いは 分かれるかもしれないが、多種多彩だったN.W.O.B.H.M.のバンド 群の中でも特にユニークなアルバムではある。[84]

REVIVAL / WINTERHAWK

アメリカのハード・ロック・バンドの1982年にリリースされた アルバムをリマスターしたもの。1982年の作品ではあるが、 内容的には更に古臭く、1970年代を思わせる作品である。 プロダクションもそれに合わせたように古臭く、 リマスターしているとは言え、その印象は拭えない。叙情的で 哀愁味の溢れるメロディは中々味があり、哀愁派のN.W.O.B.H.M.と 言う感じもする。古臭い哀愁のメロディは垢抜けていないと言う 感はいがめないが、非常に味のある作品である。全体的にこの レベルが保たれており、隠れた名盤と言っても良いだけの アルバムだ。JORDAN MACARUSのやや甲高いボーカルも、良い 味付けになっている。[88]

THOUSAND MILES AWAY / WILD FRONTIER

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1998年にリリースされた 4年振りの2ndアルバム。デビュー盤は、JENS WALKENHORSTの ボーカルは、非常にMIKE TRUMP的であったのを始め、その 楽曲もあいまって、WHITE LIONの香りを感じる作品であったが、 今作ではThe End Of The Road等で、アイリッシュ的なメロディを 持ち込んだりと、それなりに独自色を見せる様になっている。 JENS WALKENHORSTのボーカルは、相変わらずMIKE TRUMP的で、 決してうまくはないのだが、独特の味わいがある。適度に湿り気を 帯びた楽曲は、キャッチーさも失っておらず悪くないのだが、 前作と比べるとやや魅力にかけるのが残念だ。[84]

ABSORBING THE ASHES / WITHOUT GRIEF

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的には、パワー・メタルよりの スラッシュ・メタル型メロディック・デス・メタルで、 AT THE GATES等を、よりパワー・メタル気味にした感じだ。 前作では、かなりパワー・メタル然としたメロディで、 IN FLAMESの影響がそこはかとなく感じられたが、今作ではそこに AT THE GATESのエッセンスを持ち込んだと言って良い。もちろん ギター・ソロ等に見られるIN FLAMES風のメロディも決して 失われた訳ではないが、よりアグレッシヴな楽曲作りをしていると 言って良い。まだそう言った部分がこなれていなくて、やや ぎこちなさを感じるが、全体的に出来は良い。[84]

DEAD, HOT AND READY / WITCHERY

スウェーデンのデス・メタル・バンド、THE HAUNTEDの ギタリスト、JENSEN率いるプロジェクト・バンドの2ndアルバム。 実質的には、SATANIC SLAUGHTERの元メンバーに、MERCYFUL FATE、 ARCH ENEMY、SINERGY、DISMEMBERのベーシスト、 SHARLEE D'ANGELOを加えたバンドだ。バンド結成直後に 録音された、ミニ・アルバム、WITCHBURN7曲がそのまま ボーナス・トラックとして集録されている。興味深いのは、この ボーナス・トラックの内、4曲がカバーである事だろう。ACCEPTの Fast As A Shark、JUDAS PRIESTのRiding On The Wind、 W.A.S.P.のI Wanna Be Somebody、BLACK SABBATHのNeon Knightsを 取り上げており、彼等らしいアレンジがなされていて面白い。 基本的にスラッシュ・メタル色の濃い、 メロディック・デス・メタルで、楽曲、演奏とも中々レベルは 高い。スラッシュ・メタル系の メロディック・デス・メタルにあっても、より純然と スラッシュ・メタル的だ。[83]

MOTHER EARTH / WITHIN TEMPTATION

ノルウェイのゴシック・メタル・バンドのアルバム。CD-ROMの 付いた2枚組みとなっており、ライヴ映像等が収録されている。 女性ボーカリスト、SHARON DEN ADELのボーカルを前面に押し 出したゴシック・メタルだが、中世音楽の様な男女の混声 コーラスを入れて荘厳な雰囲気を出したり、この手のものとしては 全体的に楽曲のテンポをアップ目にして扇情感を出したり、色々と 工夫はされている。凛とした美しいボーカルは、澄んでいて楽曲の 雰囲気に良く合っている。適度にハードで適度に耽美で、叙情感を 前面に押し出した、如何にも女性ボーカルの ゴシック・メタルらしいアルバムとなっている。変な 捻りもないだけに、非常に聴き易いし、ドラマティックで壮大さを 感じさせてくれる作品に仕上がっている。[87]

CLOAK & DAGGER / WITCHFYNDE

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた 3rdアルバム。方向的にはいわゆるブラック・メタルと言われる サタニックなものを題材としたN.W.O.B.H.M.の一派だが、今の ブラック・メタルとは大きく違って、時折オカルティックな 雰囲気を入れたりしているが、割合とキャッチーなメロディを 聴かせてくれている。とは言え、前作まではもっと キャッチーだった訳で、この作品ではより暗くサタニックな 雰囲気が増している。前作までのキャッチーなヘヴィ・メタルが 好きだった人にとっては、この変化は残念に感じられるだろうし、 実際これ以降バンドはパワー・ダウンして行く事になった。 これまでこの作品だけCD化されておらず、ベスト盤で何曲かはCDで 聴けたとは言え、ようやく全てCD化されたのは有り難い。[80]

CARPE DIEM / WILL HAVEN

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。 ボーカリストのGRADY AVENELLがSOULFLYのPRIMITIVEに参加した 事で知る人も多いだろう。方向的にはノイズ的なエッセンスを 持ったヘヴィ・ロックと言えるもので、ハード・コア的な攻撃性、 ヘヴィ・メタル的なメタリックな演奏、現代的なデジタル風の サウンドを持っている。非常にダークでカオチックな楽曲は、 NEUROSISをヘヴィ・メタル的にしたと言っても良いかも知れない。 混沌としたその激情は強烈で、静と動の対比を巧みに使っており、 緊張感のある中々重厚なアルバムに仕上がっている。[82]

SYMPHONY FOR THE DEVIL / WITCHERY

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。THE HAUNTEDのギタリスト、JANSENが率いるバンドで、 SATANIC SLAUGHTERのメンバーが再び集まったバンドといえるが、 ベーシストにはARCH ENEMYやMERCYFUL FATE等々で活躍する SHARLEE D'ANGELOが引き続き参加している他、ドラマーには新たに THE HAUNTEDで同僚だったCRADLE OF FILTHのMARTIN AXEが 加わっている。方向的には前作の延長線上と言える、 スラッシュ・メタル型のメロディック・デス・メタルと言える 内容だ。そこにメロディック・デス・メタルらしい憂いのかかった メロディが振り掛けられている。同じスラッシュ・メタル型の メロディック・デス・メタルをやっているTHE HAUNTEDと 比べると、あちらはかなりモダンな色合いを出しているのに 対して、こちらはかなりオーソドックスなスタイルだと言う 事だろうか。[85]

THE VERY BEST OF WINGER / WINGER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。PULLの時に 未収録となったOn The Insideを新たにレコーディングし直して 収録している。On The Insideはどちらかと言うと、その後の KIP WINGERのソロに通ずる楽曲で、ねちっこさを感じさせる エモーショナルなナンバーだ。選曲はKIP WINGER自身が 行っており、ポップでキャッチーでありながら、捻りの効いた 楽曲が印象的だったが、その彼等の魅力が良く伝わって来る 内容となっている。シングル・ヒットしたSeventeenやHungryも 収められており、初心者入門用としても丁度良いだろう。[85]

REFLECTIONS OF THE 1 / WINDS

ノルウェイのゴシック・メタルの初のフル・アルバム。MAYHEM、 ARCTURUS、THE KOVENANTのドラマー、HELLHAMMER等による バンドだ。デビュー・ミニ・アルバムのOF ETERNITY AND MINDも 追加収録されている。全体的にダークな作品で、プログレッシヴな 色合いも濃い。オスロ・フィルハーモニック・オーケストラの バイオリンやビオラ、チェロ等も参加しており、厚みのある 弦楽器がクラシカルな雰囲気を否応に増しており、耽美感が良く 出している。ボーカルのLARS ERIC SIは透ったクリア・ボイスを 駆使しており、ゴシック・メタルらしいメランコリックな美しさが 感じられる。[85]

THE KINGDOM / WIZARDS

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りとなる4thアルバム。 方向的にはこれまでの延長線上と言える、初期VIPERやANGRAの 流れを汲む、ジャーマン・パワー・メタル系のヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。但し、この手のものとしては、キーボードの 専任メンバーがいる事からも判る様に、もう少し不偏的な ヘヴィ・メタルをやっていると言って良いだろう。ヨーロッパの 叙情的な憂いを含んだメロディをふんだんに盛り込んでおり、 ドラマティックな盛り上げ方も上手い。アレンジ面での成長が 伺え、Fallen Angels等、印象的なメロディもあり、これまでと 比べても成長の後が感じられるアルバムに仕上がっている。[83]

ASTRONOMICON / WITHOUT FACE

ハンガリーのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。デス・ボイスとクリア・ボイスを併用するANDRASと ソプラノのJULIETTEによる男女のツイン・ボーカルで、基本的に 耽美な音楽性を活かしたものにしている。ピアノやフルート、 バイオリン等も交え、JULIETTEの儚げなボーカルもあって、初期 LACNA COIL辺りを思い起こさせる音楽性だが、よりヘヴィ・メタル 的な色合いが強く、ドラマティックさを押し出していると 言えるだろう。それ故、LACNA COIL程の耽美さは感じられないが、 全体的にアップ・テンポでのりがよくて扇情的な作品に 仕上がっている。[82]

SUMMER LIGHTNING / WILDFIRE

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 2ndアルバム。以前もCD化されたが、MAUSOLEUMの倒産により 廃盤となっていた作品で、MAUSOLEUMの復活に伴って 再CD化された。それに伴って、ジャケットも一面使われており、 ボーナス・トラックとして1985年にリリースされたJerusalemが 加えられている。N.W.O.B.H.M.バンドとしてはやや爽やかさを 感じさせるアルバムと言って良いだろう。Jerusalemは、 じっくりと歌い上げる、ドラマティックなイントロで幕を開け、 彼等らしいキャッチーさを持ったナンバーで、起承転結も はっきりと出ていて悪くない。[83]

REFLECTED / WICKED SENSATION

オランダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。 ROBERT SOETERBOEKのボーカル・スタイルは、明かに DAVID COVERDALEを意識したもので、その音楽的方向性も WHITESNAKEに近いと言って良いだろう。キャッチーなメロディの、 ブルージィなフィーリング溢れる楽曲で、オーソドックスな ハード・ロックを聴かせてくれている。楽曲のレベルも平均 以上だし、エッヂの立った聴き応えのあるサウンドで、演奏面でも 十分満足が行く。セルフ・プロデュースなのだが、音が割れている 様に感じられる部分があったり、プロダクション面で不満が 残るのが残念だ。[81]