FIRE & ICE / YNGWIE MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストの1992年にリリースされた 6thソロ・アルバム。方向的にはこれまでの延長線上と 言えるもので、ネオ・クラシカルと言うジャンルを作り上げた、 彼らしいクラシカルなプレイもそのままだ。楽曲自体は平均的で 飛び抜けた楽曲もなく、Teaserの様なポップ過ぎて違和感を憶える 様な曲もあるが、円熟味を増していて出来自体は決して悪くない。 全体的にバラエティさを出そうとしたのだろうが、逆に 散漫になってしまっていて、成功しているとは言い難い。とは 言え、彼としても酷いと言う程の出来でもなく、 締まっているところは締まっている。[82]

THE SEVENTH SIGN / YNGWIE MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストの1993年にリリースされた 7thソロ・アルバム。GORAN EDMANに代わり、元OBSESSION、 LOUDNESSのアメリカ人ボーカリスト、MIKE VESCERAが、ドラマーは MIKE TERRANAに交代し、更にベースは彼自身が取っており、 前作でのメンバーはキーボードの MATTS OLAUSSONのみになっている。前作では幅を広げ 過ぎたためか、楽曲の出来は良かったものの、彼らしくない 曲があったりと、やや散漫な印象を受ける作品となっていたが、 そう言う意味では今作は統一感を持たせたものとなっている。捨て 曲もあるが、全体的な楽曲のレベルも高いし、出来は悪くない。 [84]

I CAN'T WAIT / YNGWIE MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストの1994年にリリースされた ミニ・アルバム。新曲3曲とライヴ2曲の全5曲と言う 構成になっている。ライヴは1994年に行われた公演の模様を 収めたものだ。新曲のI Can't Waitは爽快で明るいナンバーで、 彼としては非常に珍しいナンバーだと言って良いだろう。 Aftermathはクラシカルでドラマティックな楽曲で、新曲中最も 彼らしいものとなっている。Power And Glory-Takada's Theme-は プロレスラー、高田延彦のテーマ曲として作られたものだが、 楽曲は平凡だし、高田とコールするコーラスは不気味で、どの位 真剣に作ったのかと疑われる内容だ。[75]

MAGNUM OPUS / YNGWIE MALMSTEEN

いまや巨漢ギタリストというイメージの方が強いスウェーデン人 ギタリストのアルバム。ネオ・クラシカルな要素は 変わるべくもなく、方向的にはいままでとそう大きな 違いはないのだが、何と言っても曲がつまらない。 ボーカル・ラインからギター・ソロへ移る流れが不自然で、 一曲一曲の構成がなっていない。MIKE VESCERAのボーカルは 彼としては悪い出来だと思う。こういった楽曲のつまらなさを 除いても、ギター・アルバムとして面白いかどうかは疑問だし、 今までで最もつまらない作品だった。[72]

INSPIRATION / YNGWIE MALMSTEEN

YNGWIE MALMSTEENは確かに素晴らしいギタリストだが、どうも 彼の作る曲にこれは凄いと感じる事が出来るものがない。もちろん 良い曲だと思う曲はあるし、パターン的に狭い世界なので、 新鮮味を持って聴かせるのが難しいと言うのもあるが、特に前作 MAGNUM OPUSは酷い出来だったと思う。今回、名曲と言える楽曲の カバー・アルバムを集めれば、問題は演奏の方になるのだが、 JOHANSSON兄弟を始め、過去に分かれた実力の確かな人たちが 参加しているのでさして文句を付けるものもないと言うものだ。 ボーカリストとして参加している、JEFF SCOTT SOTO、 MARK BOALSの歌唱も非常に素晴らしい。自作の曲でもこれだけの アルバムを作れればたいしたものだが。[86]

FACING THE ANIMAL / YNGWIE MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストによるアルバム。ドラマーには COZY POWELを迎え、更にボーカリストして元SWEDISH EROTICA、 ABSTRAKT ALGEBRA等で活躍していたMATS LEVENというやや意外な 人選を行っている。MATS LEVENは元々うまい ボーカリストだったが、今までやってきたものがやや方向性の 異なるものだっただけに、思ったよりはまっていると言う印象を 受け、人選的には悪くない選択だろう。楽曲はこれまで通りの ネオ・クラシカル路線は変るはずもなく、聴いた事があるような フレーズも飛び出すが、目新しさもそれなりに感じる部分もある。 楽曲は飛び抜けてこれと言うものは感じないが、安定した レベルにはある。[82]

CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA IN FLAT MINOR OP.1 / YNGWIE JOHAN MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストのソロ・アルバム。 チェコ・フィルハーモニー・オーケストラによる競演作品で、こう 言う趣旨の作品をそのうち作るだろうというのは少し想像が 付いていたが、意外なほどマッチングしている。かつて DEEP PURPLEがオーケストラと競演したが、これ程クラッシックに マッチングした作品が出来るとは思わなかった。あまり長い楽曲に 免疫がないメタル向けのファンにとっては1曲が適度な長さに 構成されているのも良い結果となっている。1曲聴けばその後の 雰囲気も全て想像がつくのも事実だが、企画盤としては面白いと 思う。[82]

LIVE!! / YNGWIE MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリスト率いるヘヴィ・メタル・バンドの2枚 組みライヴ盤。初回限定盤としてシングルが付いていると言う 事だったが、そのシングルはブラジルのヘヴィ・メタル・バンド、 DR.SINのライヴなので、DR.SINが好きでなければあまり 価値はない。多分、同じマネジメントで前座も務めたと言う事で、 こう言う紹介的なシングルが付いたのだろうが、その是非は いささか疑問だ。ネオ・クラシカル系ギタリストの祖とも言える 人だけに、昔ほどとは言えないが、彼らしいギター・プレイが 聴ける。ただ自己満足的な部分が感じられる冗長なギター・ソロは 2枚組みと言う長い作品を聴いていると最後はやや 辟易としてくるし、アルバムが進につれその傾向が 顕著となっているのはいかんともし難い。ボーカルは元 SWEDISH EROTICA、TREAT、ABSTRAKT ALGEBRAのMATS LEVENが 取っているが悪くない出来だ。RAINBOWのGates Of Babylonを カバーしているが、ギター・ソロを除いて扇情感があって結構 聴きごたえはある。DR.SINは爽やかな アメリカン・ハード・ロックと言う感じで可もなく不可もなくと 言ったところだ。[80]

ALCHEMY / YNGWIE J.MALMSTEEN'S RISING FORCE

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。実質的には これまで同様、ギタリストのYNGWIE J.MALMSTTENの作品と言って 良いのだが、今作では久々にバンド名義でリリースされている。 方向的にはこれまで同様の、ネオ・クラシカルと言われるもので、 クラシカルな様式美を湛えた作品だ。前半ではやや陰鬱にすら 感じられる様な荘厳さがあったりもするし、よりメタル然とした アルバムに仕上がっている。かつての彼からすると、ここ最近 精細さを欠いている様に感じられたが、久々に弾きまくっていると 言う感じだ。MARK BOALSのボーカルも中々のものだし、久しぶりに 凄みを感じるアルバムだ。[84]

ANTHOLOGY 1994-1999 / YNGWIE MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストのベスト盤。アルバム・タイトルが示す 通り、PONY CANYONに移籍した後の、THE SEVENTH SIGN以降の アルバムから選曲されたベスト盤だ。新曲が3曲集録されており、 ABBAのカバー、Gimme! Gimme! Gimme!は割とオリジナルに忠実に ヘヴィ・メタル化した感じで、STORMWINDのアレンジに近いが、 それよりも捻りがなくて目新しさに欠ける 結果となってしまっている。むしろ注目されるのは アコースティック・ギターによるギター・インストルーメンタル、 Flamenco Dabloで、フラメンコ調のアコースティック・ギターが 味わい深い。Amadeus Quattro Valvoleは CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA IN FLAT MINOR OP.1に 収められていても違和感のないものだ。[81]

WAR TO END ALL WARS / YNGWIE J.MALMSTEEN'S RISING FORCE

スウェーデン人ギタリスト率いるヘヴィ・メタル・バンドの アルバム。良くも悪くも彼らしいネオ・クラシカルな様式美の ヘヴィ・メタルだ。このアルバムで一番の聴きどころは MARK BOALSのボーカルで、彼の歌唱は素晴らしい。メロディ等 如何にも彼らしいのではあるが、楽曲の練りが足りなくて、 一本調子で聴いていて飽きて来る。アレンジ面で工夫すればもっと 良い作品になったとは思うが、これではプロダクションも踏まえて 作り込み不足としか言い様がない。決して酷い出来ではないし、 彼の作品と思わなければそれなりに納得させられるかも 知れないが。[79]

CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA IN E FLAT MINOR LIVE WITH THE NEW JAPAN PHILHARMONIC / YNGWIE JOHANN MALMSTEEN

スウェーデン人ギタリストのソロ・ライヴ盤。2001年に行われた 日本での新日本フィルハーモニー交響楽団との公演の模様を 収めたものだ。1997年にリリースされた、 CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC GUITAR AND ORCHESTRA IN FLAT MINOR OP.1のに 続くオーケストラとの共演作品だが、前作がオーケストラを後から 被せたものであるのに対して、この作品は完全に共演したライヴ 作品と言う事で意味があるだろう。元々前作でオーケストラ用に 作られていた曲はともかく、それ以外の楽曲もクラシック用に 上手くアレンジされている。但し、残念なのはプロダクションが 今一つであると言う事と、ギターとオーケストラが場面によっては 乖離している様に感じられる事だ。[82]

ATTACK!! / YNGWIE J.MALMSTEEN'S RISING FORCE

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りのアルバム。 スウェーデン人ギタリスト、YNGWIE J.MALMSTEENによる作品だが、 オーケストラとの共演ライヴを間に挟んで、前作同様にバンド 名義でのリリースとなっている。メンバーとすぐ衝突する 彼らしく、メンバーは一新され、ボーカリストには 元RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWのDOUGIE WHITEが加入している。 RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWではやや印象が薄い ボーカリストだったが、この作品では意外にもパワフルな ボーカルを聴かせてくれている。キーボードは元DREAM THEATERの DEREK SHERINIANと言う意外な取り合わせになっている。 楽曲的にはこれまでの延長線上と言える、ネオ・クラシカル系の ヘヴィ・メタルで、クオリティは高いものの、飛びぬけた 楽曲はない。[84]