IN ROCK WE TRUST / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドの1984年にリリースされた
アルバム。元々、叙情的で憂いを含んだ
アメリカン・ハード・ロックとして高い評価を得ていたが、
セールス的に大きな成功を得るまでに至らなかったためか、この
作品よりやや変化が見受けられ、全体的にポップな曲が増えて
来ている。その分、ミドル・テンポの楽曲が増え、全体的に切れが
今一つ感じられないのが残念だ。とは言っても、This Timeの
様な、実に彼等らしい泣きのメロディを持った名曲も存在し、
これまでの彼等らしい部分も幾分見せてくれているのが救いだ。
それらの楽曲を除くと、全体的にポップな曲は印象が薄いので、
方向性を変えようとする姿勢にはかなり疑問が残る。[82]
BLACK TIGER / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドの1982年にリリースされた、
YESTERDAY AND TODAY時代から通算4作目となるアルバム。名曲、
Foreverのイントロ部分だけを切り出した、
オープンニング・イントロダクションのFrom The Moonから
Open Fireへの導入部、中盤の名曲のひとつForever、そして
ラストのアコースティック・バラードのWinds Of Chanceと
それぞれ盛り上がりは見事だが、残念ながらそれ以外の曲が今一つ
弱い。エモーショナルで情感豊かな演奏の出来も、雰囲気をより
盛り上げていて申し分ないだけに少し残念だ。[81]
EARTHSHAKER / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドの1981年にリリースされた、
メジャー移籍後初のアルバムとなる3rdアルバム。メジャー移籍に
伴ってバンド名をYESTERDAY AND TODAYから改名している。それに
見合った、グレイド・アップを図っており、その後多くの扇情的な
名曲を放っていった走りのRescue Meが大きな存在感を
示している。その他にもクオリティの高い楽曲は存在するが、
残念ながら全体的に楽曲の出来のバランスが今一つ良くない様に
感じられる。とは言え、DAVE MENIKETTIのギターを始め、演奏の
レベルはさすがと思わせる出来だし、十分満足の行く出来の
アルバムだ。[81]
MEAN STREAK / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドの1983年にリリースされた
5thアルバム。方向的には前作同様、叙情的なメロディの
アメリカン・ハード・ロックを聴かせてくれている。名曲と
言える、Midnight In Tokyoを始め、佳曲がずらりと並び、
彼等にとっての最高傑作と言っても良いだろう。彼等らしい愁いを
帯びたメロディが全体を配されており、心を打つアルバムに
仕上がっている。楽曲だけでなく、演奏的にも素晴らしく、彼等の
充実振りが伺える。思えばこの頃が彼等の絶頂期で、この後
ポップな方向へと路線を転向する事で失速していく事になるのは
残念だ。[86]
DOWN FOR THE COUNT / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドの1985年にリリースされた
7thアルバム。A&Mでのラスト・アルバムとなる作品で、方向的は
前作の延長線上のアルバムだ。前作、IN ROCK WE TRUSTで取敢えず
商業的な成功は幾らか納めたのだが、そのポップよりとなった
路線には旧来のファンを失望させた事は事実だ。その延長線上と
言う事で、商業的な成功はともかく、旧来のファンが離れ、
バンドが失速していった原因になったのは間違いない。これまでの
独自のハード・ロック路線からすると、かなりL.A.メタル的な
エッセンスが伺え、非常に一般受けしそうな内容になっている。
ヒット曲のSummertime Girlを始め、楽曲の出来は悪くないし、
決して悪いアルバムではないのだが。[80]
MUSICALLY INCORRECT / Y & T
1980年代初頭に活躍したアメリカのハード・ロック・バンドの
再結成第一弾となるアルバム。ではあるのだが、これをY&Tの
名義で出す意義がどれ程あるのだろうかと首を傾げたくなる
作品だ。内容的には決して出来は悪くないとは思うのだが、以前の
彼等のようなポップさも、バラードも、叙情的なメロディとも全く
無縁のアルバムとなってしまっている。以前の彼等の音像は
ここにはないので、それを期待していると外される
事になるだろう。SAMMY HAGERの様な楽曲やら、ENUFF Z'NUFFの
様な楽曲やらで、彼等と思わなければ良いかも知れないが。[80]
ENDANGERED SPECIES / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドの再結成第2弾となる
アルバム。L.A.メタルが起こるより以前から活躍してきたアメリカ
西海岸のバンドで、愁いのあるメロディアスなハード・ロックを
聴かせてくれていた。前作では前期の叙情的な
メロディアス・ハード路線とも後期のキャッチーな
ハード・ロック路線とも異なる作品で、多くのファンの失望を
呼んだが、この作品では以前の様な叙情的な哀愁の素晴らしい
ハード・ロック・ナンバーも収録されており、それなりに納得の
行く作品になっていると思う。今風の楽曲もあるが、
Still Fallingの様ないかにもといったDAVE MENIKETTI節を
聴かされると感慨に浸ってしまえる。[84]
LIVE ON THE FRIDAY ROCK SHOW / Y & T
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ盤。イギリスのラジオ
番組、FRIDAY ROCK SHOWの放送用に収録された音源をCD
化したものだ。前半が1982年のREADING FESTIVALに出演した
時のもので、後半が1984年のMONSTERS OF ROCKでの音源だ。まだ
彼等がポップよりに走る前の、ハード・ロック然としていた
頃のものが中心だ。10年以上死蔵された音源とは言え、ラジオ
放送用に収録されただけあって、音質は非常にクリアで状態が
良い。選曲は決してベストとは言い難いが、名曲Rescue Me等、
決して悪いものではないし、演奏力も元々あるバンドだけに中々
良いライヴ作品に仕上がっている。[84]